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クラウディア・シファーが暮らす、イギリスの歴史ある邸宅。

  • 2018.2.24
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家の中には家族にとって大切なものだけを置きたい。

クラウディア・シファー、元祖スーパーモデルにとって、ランウェイを歩くのはお手のものだ。実は今から15年前、このドイツ人美女と現在は夫であるイギリス人映画監督マシュー・ヴォーンは、全長半マイルの私道を進み、その私道の先にある歴史的家屋を売ることを検討してもらえないか、その所有者に尋ねた。そしていつものことながらシファーは相手を魅了した。「私たちは突然ドアをノックしてこう言ったの。『ここがすっかり気に入ってしまったんです』」。シファーはその瞬間のことをそう回想する。「そこにいた人たちは、私たちが何者であるかも、そこで何をしているかもまるでわからなかったのよ」。数カ月後、無事に売買契約を締結したシファーとヴォーンは、そこに120名のゲストを招いて結婚式をした。

二人が結婚する前から運命的に惹かれた場所。

敷地面積530エーカーでベッドルームがもあるこのチューダー様式の大邸宅は今、夫婦と3人の子どもたち、すなわち、15歳のカスパル、13歳のクレメンタイン、7歳のコジマ、さらには犬、猫、羊、豚、カメからなるペットたちのフルタイムの住まいとなっている。ちなみにカメは、二人が知人の紹介で初対面でデートした直後にヴォーンがシファーにプレゼントしたものだ。「私たち、そのときはまだ付き合ってもいなかったのよ」と、今も彼の心遣いに感激している様子でシファーは言う。「ディナーをいただきながら、私が彼に言ったの。『カメって可愛いわよね。昔からずっと飼いたいと思っていたの』って」。すると、あら不思議!彼女の誕生日にマヨルカ島の自宅の玄関にカメが届いたのだ。そのカメは今、厩舎で幸せに暮らしている。

その1574年に建てられた邸宅−−−ヘンリー世に敬意を表して「H」の形に造られた−−−の名前の由来はエリザベス1世にあると言われている。エリザベス1世は滞在した際に冷たいハムを食事に出されたのに閉口し、そこをコールドハム・ホール(冷たいハムの館)と名付けた。一方、エリザベス王朝時代に迫害されたカトリックの聖職者たちの避難場所の役割を果たしており、司祭の隠れ場だった。ここはまた、1605年の火薬陰謀事件の犯人たちの合流場所であり、300年ほども最初の所有者たる一族のものであり続けたのだ。「ここには大切にすべきさまざまな歴史があるわ」。シファーはそう認める。その豊かな歴史への敬意から、シファーとヴォーンは室内装飾についてもゆっくりと慎重に進めることにしている。「気長にやっているわ。慌てて買ったものは皆無よ」家具は座り心地のよさそうなふんわりとした椅子やソファ類、アンティーク、先祖伝来の品などがミックスされている。「すばらしい家は個人的なディテールに欠けることがあると思う。でも私は家の中に家族にとって大切なものだけを置きたい」。そう説明しながら、応接室に置かれた自分の子ども時代の家にあったオーク材のチェストと、大広間にあるヴォーンの一族の紋章入りの盾を引き合いに出した。「こうしたものたちが伝える物語が大切なのよ」

家具類が伝統的なものに寄っているとすれば、室内のあちらこちらに飾られているアートはそれと見事な対比をなしている。熱心なコレクターであるシファーとヴォーンは、アンドレアス・グルスキー、ダミアン・ハースト、カンディダ・ヘーファーといった現代アートの巨匠たちのすばらしい作品を数多く収集している。最近、手に入れたのはデイヴィッド・ホックニーがイギリスの田舎をiPadを使って描いたもの数点で、シファーがそれらに心惹かれたのは「うちの敷地にありそうな風景だから」だと言う。シファーはパリのマレ地区で暮らしていた若きモデル時代に美術館や画廊巡りを始めた。モデル仲間たちがパーティー三昧だったとき、控えめで品行方正なことで知られていた彼女は、未来のアートコレクションの構想を練っていたのである。「ポンピドゥーセンターでアンディ・ウォーホルの展覧会があったの。そこでこう思ったことを覚えているわ。いつか、十分なお金が手に入ったら、ここにある作品のひとつを買いたいとね」。モデルになって10年ほど経ったとき、シファーは彼女にとって最初のウォーホルを買った。現在、書斎に飾られているカモフラージュの絵がそうである。

数年前にコールドハム・ホールの時計台が全焼してしまったとき、シファーとヴォーンはもし火が母屋にまで燃え広がったら何を救うべきかを考えざるを得なかった−−−幸い延焼は避けられた−−−二人はすぐに特に大切なアートのことを考えたという。とりわけ、子どもたち一人ひとりをアシュカン・サヒーヒに撮影してもらったレンチキュラー写真、アダム・フスに撮影してもらった赤ちゃんのころのコジマの写真(「残念なことに、彼がそのようなことをやっているとわかったときには、上の子たちは大きくなりすぎていたの」)、エド・ルシェの「MARRY ME」と「YES」という一対の絵画のことを。ヴォーンはシファーにプロポーズしたときに最初の1枚の制作を依頼した。2枚目はもちろん彼女の返事である−−−シファーは2枚目が完成する前にちゃんと口頭で返事をしたと力説するけれど。

コールドハム・ホールは当初、週末だけロンドンから離れて過ごす別荘だったのだが、一家は数年前にここに完全に住居を移した。最近では、子どもたちを学校まで送った後、シファーとヴォーンは一杯の紅茶とともに夫婦共同の書斎にこもる。二人は横に並んだ机で仕事をするのだ。また、この部屋で打ち合わせを行うことも多いという。シファーの華麗なる年間のモデル生活をテーマにした、発売中の卓上用豪華本『Claudia Schiffer』(リッツォーリ社)などの自身の企画に加えて、彼女は夫の映画の製作責任者も務めている。その最新作『キングスマン:ゴールデン・サークル』は公開中。「ここはとても静かで、私たちは本当にゆったりと過ごすことができるの」。シファーは牧歌的な環境をそう語る。「マシューと私は引っ込み思案で秘密主義なの。連日のパーティー通いを楽しめるタイプじゃないわ。私たちが好きな娯楽は自宅で楽しめるものなのよ」

人懐っこい幽霊も出ることを認めている。

週末になるとゲストを招き、シファーとヴォーンはドラマティックな演出の才を披露する。「私たち、幽霊話を始めるのよ」。彼女はそう説明する。面白い−−−場合によっては恐ろしいことに、その館には実際に幽霊が出るのだ。「ギシギシいう音が聞こえたり、音楽が聞こえるなどの不思議なことが起こるのよ」。これまで、その招かれざる客を追い出そうとしたことはあるのだろうか?「霊媒師に家の中を見てもらったことがあるんだけど、彼女が言うにはこの家にいる幽霊はみんないい幽霊なんですって」。シファーは真面目な顔でそう言った。「だから、誰も怖がる必要はないのよ」。シファーはにっこりと微笑んでこう付け加える。「基本的に、私たちはすべての幽霊を歓迎しているの」。あるいは、こう言ったほうがより正確かもしれない。幽霊たちがシファーと彼女の家族を歓迎しているのだ。

参照元:VOGUE JAPAN

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