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【男から見た結婚のリアル】第15回 男の気持ちが揺れるとき~4:30amのイエティ~

  • 2018.2.12
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年明け早々、ヨメの親戚の集まりに顔を出してきました。ヨメの親戚、その数、約40。アウエー感が半端ない。
とは言え、みなさんすごくいい人たちで、正月から明るい未来を夢見ることができて非常によかったです。
と書くと、なにやら自慢しているみたいに感じる人もいると思いますが、自慢ではなく……(身内をネタに書くというのは、非常にむずかしいものだと、毎回思います)。

たくさんの叔父様や叔母様、義理の兄弟姉妹たちに愛されているヨメを見つつ、ぼくは「ヨメのことをもっと愛して、幸せにしなくてはならない」という思いを新たにしました。
新たにしたどころか、強く強くそう思いました。
なにも、隙あらば浮気の1つや2つしてみようかなというヨコシマな気持ちを抱いていたわけではなく、素直に「もっと大切にせな」と思いました。

ひと様から、しかも身内から大切にされている人をヨメにもらったら、ふつうの男であれば、おそらくぼくと同じように襟を正すはずです。
人に大切にされている人のことは粗末に扱いづらいとよく言われますが、まあ、ホントにそのとおりです。
たとえ話として、ゴミが落ちている通りにゴミを捨てるのはたやすいけれど、ゴミ1つ落ちていない、よく手入れされている通りにゴミを捨てるのは勇気がいる、とかと言われますが、まさしくこんな感じ。
だから、なんらやましいことをしていなくても、また、やましいことをしようという気持ちがなくとも、「もっとヨメのことを大切にしないと」と思ったわけです。

で、数日経ったとき、ぼくは自分の気持ちに悩むことになります。
自主的に「ヨメのことを大切にしよう。もう二度と離婚せずにすむように、男として夫として頑張ろう」と思う気持ちと、ヨメのことを大切にしている親戚の顔を見ながら同じことを思った気持ちと、この2つの気持ちが、ぼくの心の中で拮抗していることに気づいたのです。
どちらの気持ちも「大切にしたい」というところで共通しているし、親戚の人たちを見てそう思ったというのは、なにも悪いことではなく、むしろいいことであるはずです。
でも、自主的な気持ちではない「大切にせな」という気持ちから、どこかしら義務のにおいがしてきまして……。

その昔、YMOという音楽のグループにいた高橋幸宏さんが『4:30amのイエティ』という歌をつくりました(作詞:鈴木慶一)。
奥さんのことが好きだけど、なぜかおうちに帰りたくないんだよね~というようなことを歌っていました。
この歌をはじめて知ったとき、ぼくは20代前半でした。
そのときは「おかしなことを歌う人だなあ」くらいにしか思っていなかったのですが、今はとてもよく理解できる。


いえ、ヨメのことを愛したいんですよ。すごく好きなんです。
でも愛することが、誰のせいでもなく、どこかしら義務を伴うようになったとき、男ってきっと、深夜にさまようイエティみたいな気持ちになるんだろうと思います。
イエティ、見たことないし、喋ったこともないけど。(ひとみしょう/文筆家)

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