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日本の教育が悪い?これからの時代に必要なバイリンガル教育的思考法とは?

  • 2018.2.6
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みなさま、こんにちは!
海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。

実はバイリンガル教育が子どもに創造的思考を持たせる効果があるという研究結果があるのです。

バイリンガル教育が子どもの思考法にどのように影響を与えるのか。詳しく説明させていただきます。

●バイリンガル教育による思考法:拡散的思考

バイリンガルとモノリンガルを比較研究する場合、知能テストのような方法は取りません。思考のプロセスを比較検討するのです。

バイリンガルとモノリンガルの思考方法に違いはあるのか。情報処理の方法において違いはあるのか。

2つ以上の言語に習熟することによって、言語に対する捉え方は変わってくるのだろうか。それらのような疑問に答えるデータを収集し、比較していくのです。

知能テストという方法には、問題点があります。子どもたちに、各質問に対して、1つしかない正しい解答を答えさせようとする ことです。

このような思考方法を、集中的思考(convergent thinking)と呼びます。知能テストを受ける子どもたちは、たった1つしかない正しい答えを見つけることに思考を集中させなければなりません。

この集中的思考の反対の思考方法を、拡散的思考(divergent thinking)といいます。

唯一の正しい答えを求めるのではなく、多様で多量の、それぞれに意味のある答えを追い求める思考方法 です。

この拡散的思考に優れた子どもたちは、想像力豊かで、創造力に富み、柔らかく頭を使うことができ、型破りで自由な考え方をすることができます。

●バイリンガル教育による思考法テスト

子どもが拡散的思考に優れているかどうかを調べるには、「レンガの使い方をいくつ考え出せるか」、「車のタイヤを利用する方法をいくつ思いつくか」、「缶の普通と違ったおもしろい利用方法をいくつ考えられるか」などといった質問をします。

子どもたちは、様々なアイデアをできるだけたくさん答えることを要求 されます。

たとえば、「レンガの使い方をいくつ考え出せるか」という質問に対して、集中的思考方法で答えを見つける訓練しかしてこなかった子どもは、家を建てる、壁を作るまどといったありきたりな考えしか思いつかない場合が多いのですが、拡散的思考に優れた子どもは、思いつくアイデアが多いだけでなく、窓を割るのに使う、小鳥のお風呂を作る、ぐらぐらしているテーブルを固定するなどと、非常に独創的であったりするのです。

イギリスでは「集中的思考」という言葉に対応する形で「拡散的思考」という名前がついていますが、アメリカでは「創造的思考(creative thinking)」と呼ぶ方が多いようです。アメリカ式の名前の方が、理解しやすいかもしれません。

アメリカにおける研究で、Torrance(1974a, 1978b)という人が、「物の利用法」テスト(段ボール箱のおもしろい使い方、ティッシュペーパーの新しい利用方法など)の回答結果を、4つに分類する方法を編み出しました。

①なめらかさ(fluency)
(得点数は、その子どもが出したアイデアの数で決まります)
②柔軟性(flexibility)
(得点数は、アイデアを整理できるカテゴリーがいくつになるかで決まります)
③独創性(originality)
(統計に出てくる頻度の低さによって測定される、解答の独創性で得点数を決めます)
④緻密さ(elaboration)
(基本的な使い方だけではなく、細部に渡って緻密に説明できたかで得点数が決まります)
以上の4つの切り口です。

●バイリンガル教育による思考法を養う言語教育

バイリンガルとモノリンガルの比較研究において、拡散的思考(創造的思考)を調査する理由は、2つ以上の言語に習熟することは、思考におけるなめらかさ、柔軟性、独創性、緻密さを伸ばす効果があるのではないか、という仮説 がその背景にあるのです。

なぜならば、バイリンガルの人の場合、1つの物や概念に対して複数の言葉を知ることになります。

例えば、ウェールズ語の“ysgol”には「学校」という意味だけではなく「はしご」という意味もあります。

ウェールズ語の“ysgol”と英語の”school”ということばを2つ同時に思い浮かべること、学校をはしごという概念でとらえることによって、バイリンガルの視野は広がっているのではないか、と考えられるのです。

ひとつの物や概念に対して複数の言葉があることを知ることが、その子どもの思考の自由さや豊かさを伸ばすことによい影響を与えるかどうかについての研究が、拡散的思考を測定する方法を用いて、アイルランド、カナダ、シンガポール、メキシコ、アメリカなどにおいて多く行われてきました。

そして、その多くの研究で、バイリンガルの方がモノリンガルよりもハイレベルな拡散的思考を持っているという結果が出ているのです。

いろいろな場面で、2つの言語をほぼ同じくらい流暢に使える人のことを均衡バイリンガル(balanced bilingual)と呼びますが、Cummis(1975,1977)の研究によると、均衡バイリンガルは、4分類法の③の独創性において、モノリンガルよりもかなり高い点数を獲得したそうです。

●「言葉の意味」に反応するバイリンガルの子どもたち

Doyle他(1978)は、バイリンガルの人はモノリンガルの人よりも、ストーリーを語ったり、ストーリーの内容を説明する能力が優れていることを発見しました。

Leopold(1939-1949)という研究者 に、彼の娘のHildegardの英語とドイツ語の発達を記録した有名な事例研究がありますが、そこには明らかにバイリンガリズムの影響であると考えられる内容が記されています。

Hildegardが大好きなストーリーは、1つの型にはまった表現の仕方で繰り返されることがなく、彼女が記憶した歌でさえ、言葉が自由に置き換えられていました。

幼稚園における研究も興味深い結果を出しています。幼稚園でバイリンガルの子どもとモノリンガルの子どもに、童謡を教えたそうです。

モノリンガルの子どもは童謡の歌詞を、ほとんど、または全く変えることなく繰り返す傾向があるそうです。音と押韻に思考のポイントが置かれているのです。

それに対し、バイリンガルの子どもは、言葉をオウム返しに繰り返すことよりも意味の方に注目をする傾向が高いことがわかったそうです。

バイリンガルの子どもは替え歌を作る傾向が高いのですが、この替え歌における言葉の置き換えという作業は、バイリンガルの子どもは童謡の歌詞を意味で処理していることを示しています。

4歳から6歳までの子どもたちの間では、バイリンガルは言葉の意味に反応し、モノリンガルは言葉の音に反応する傾向があることが研究の結果わかっています。

Lanco-Worrall(1972)は「バイリンガルは同年代のモノリンガルよりも2~3年早く意味的発達の段階に達する」と結論づけています。

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①バイリンガルの方がモノリンガルよりもハイレベルな拡散的思考を持っているという結果が出ている。2つ以上の言語に習熟することは、思考におけるなめらかさ、柔軟性、独創性、緻密さを伸ばす効果があると考えられる

②バイリンガルは同年代のモノリンガルよりも2~3年早く意味的発達の段階に達し、ストーリーを語ったり、ストーリーの内容を説明する能力が優れている場合が多い

人生は日々発生する問題との格闘です。問題を解決する方法を考えなければなりません。しかし、それは簡単ではありません。

以前に経験をしたことのない問題、人に聞いても解決法がわからない問題、本で調べても解決法が見つからない問題に対処するには、自分自身で解決法を見つけ出すしかありません。

そんな時に、思考におけるなめらかさ、柔軟性、独創性、緻密さを持つ人、すなわち、拡散的思考、創造的思考において優れている人ほど、誰も思いつかなかった解決法を編み出す可能性が高いと思われます。

そして、その問題解決法を1つのストーリーとして、他の人々に伝える能力がリーダーには求められるのですが、バイリンガル教育はその面でも良い影響を子どもに与えるのです。

もちろん、バイリンガル教育だけが拡散的思考やストーリー伝達能力を身に付ける方法ではありませんが、その1つのきっかけになりうることは確かなことのようです。

あなたも愛するお子様に、将来問題に直面した時も自分で解決方法を考えることができ、そしてリーダ-シップの取れる能力を、バイリンガル教育を通じて身に付けさせてあげませんか?

参考文献
バイリンガル教育と第二言語習得
コリン・ベーカー著
岡 秀夫訳・編
大修館書店

The Daily NNA 中国総合版TOP NEWS 2017年10月16日(月)

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