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不倫・介護・引退「小室哲哉さんの記者会見からわたしたちが学べること」

  • 2018.1.23
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生きるということは、複数のことを同時に進行するということなので、しばしば物事の因果関係が複雑になりすぎて、よく理解できなくなることがあります。
たとえば、今回の小室哲哉さんの不倫疑惑報道。
「Aさんという看護師と、誤解されてもしかたないようなことをしてしまったが、じつはなにもやっていない……」という、1行で終わる話ではなく、かなりややこしい話になっているのは、みなさんがよくご存知のとおり。

 

■ややこしい話になってしまった

不倫疑惑に関する記者会見の中で小室さんは、奥様であるKEIKOさんの介護の話に触れました。介護疲れが彼の音楽活動に与えた影響についても、小室さんは会見で述べていましたが、このへんから話が見えづらくなっていきます。
介護で疲れた→音楽をするうえで必要な集中力が出てこない→引退する という簡単なストーリーではなく、そこにはご自身のメンタル的なことのみならず、フィジカルな病状のことも絡んでいるようで、また、KEIKOさんが音楽に興味を示さなくなったことに対する小室さんの気持ちも絡んでいるでしょうし、そもそも介護疲れは世間に向けた引退のきっかけの1つであり、じつは小室さんご自身の音楽的才能が枯渇したのかもしれないし、でもそれを表立ってハッキリ聞くわけにもいかないし、聞いたところで本人がきわめて正直に答えるとも限らないし……ややこしい話になってしまった。
 

■ユーミンも桑田さんもうまくやっているように見える

小室さんと似ている世代だと、たとえばユーミン、あるいはサザンの桑田佳祐さん、その少し上の世代だと小田和正さんなどは、浮気疑惑や介護のことを小耳に挟むこともありますが、今でも元気に音楽をつくって、歌っています。表立って浮いたウワサが聞こえてこないし、報じられない。
共通しているのは、小室さんもユーミンも桑田さんも小田さんもみな、国民的ヒットソングをたくさんつくったということ。また、いわゆる「CDバブル」を経験したということ。さらに年齢も似ています。ユーミン64歳。桑田さん61歳。小田さんは置いておいて(70歳!)、小室さん59歳。
無論、今のJ-POPの基礎をつくったのは、70年代後半の荒井由実さん(ユーミン)やその旦那さんである松任谷さん、少しだけ遅れてサザンオールスターズなどなど、ということになっているそうなので(ほかにも中島みゆきさんとか山下達郎さんとか)、小室さんは先行する諸先輩方の後ろを必死になって走っていた、とも言えるそうです。
以前なにかの媒体に、松任谷さんと小室さんの対談が載っていて、小室さんは必死になって日本におけるヒットメーカーである松任谷さんのアレンジを勉強したと言っていました。先人たちがやってこなかった音楽を追求することで、自分独自の音楽をつくりたい――こう渇望していた小室さんの姿が浮かんできます。
 

■なぜ小室さんだけなのか?

それにしても、なぜ小室さんだけ? ユーミンだって桑田さんだって小田さんだって、そのキャリアの途中で不倫につまずきそうなことがあったかもしれない。親族の介護に疲れたことがあったかもしれない。音楽的才能の枯渇を感じて引退したくなったときがあったかもしれない。
なのになぜ小室さんだけ?
もちろんアーティストはきわめて厳格な個人事業主だから、個々の考え方や生き方の違いゆえに小室さんだけが……ということが言えるはずですが、生き方や考え方に「これが正解」というものはない以上、ここを掘ってもさしたる結論は得られないように思います。
小室さんはなんらかがきっかけで、音楽の神様や恋愛の神様を怒らせてしまったのではないか――生きるということは、複数のことを同時に進行することという「複数」には、お祈りする気持ちも当然含まれます。「週刊文春だけには不倫がバレませんように」とか、「音楽的才能の枯渇時期をもっと後ろにずらしてくれますように」などと、お祈りする気持ち。
ここで言うお祈りとは、なんらかの特定の宗教のことではなく、人知を超えたなにものかの存在に敏感である、ということです。
 

■宮崎アニメのコアファンならまだしも

この気持ちが、小室さんの場合は運悪く、音楽の神様や恋愛の神様に届かなかった。
これしか言いようがないのではないでしょうか。なぜなら小室さんは、記者会見の前夜、ややこしい話を少しでも報道陣にわかりやすく伝えようと、文章を書いてきて、その紙を見ながら会見しますと言ったから。
つまり、今回の会見にしろ、音楽活動にしろ、介護にしろ、すべてに力(誠意)を尽くした結果がこれ、ということは、人知を超えたなんらかの力が作用したとしか推測できない。
たとえば平安時代ならまだしも、また、「宮崎アニメ」のコアファンならまだしも、いまどき「物の怪(もののけ)」を信じる人も少ないと思いますが、POPな報道の域を超えた会見を見てしまえば、そして憔悴した小室さんのお顔を見てしまえば、そしてなによりファンや関係者のためにあらゆる努力をしてきた小室さんを知れば知るほど、「神様のいたずら」という言葉しか浮かんでこないのです。
不倫はいけないなどと、にわか評論家じみたことは言いたくないので言いませんが、恋愛にしろなんにしろ、人知を超えたもの、つまり目に見えないものを怒らせないように楽しむ必要があるのではないか――ついこの前のお正月に、みずから進んで神社に行ったわたしたちが、小室さんの会見から学ぶことがあるとすれば、これに尽きるように思うのです。(ひとみしょう/文筆家)
(愛カツ編集部)
※参考・引用 小室11・27引退決めていた…不倫疑惑で発表10カ月前倒し(スポニチアネックス/Yahoo!ニュース)

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