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【男から見た結婚のリアル】第12回 女子が言う「かわいい」の裏側

  • 2018.1.19

先週の土曜日も、また飲みすぎました。
日常的にお酒というものを飲まない、というか、飲んでいる暇がないので、平日は飲酒そのものに興味が向かないのですが、週末はヤバい。
じつは今、大学で哲学と文学を学んでおり、週3~5日も大学に通っています。当然、仕事の合間を縫って。
それプラス、結婚式の打ち合わせやら、結婚後に住む家の打ち合わせなどがあり、毎日分刻みのスケジュール、ということになればつい、飲む日はとことん飲むということに。

というわけで、先週の土曜日は、お酒というものを1滴も飲まない(飲めない)ヨメの隣で、前後不覚におちいるくらいまで飲みました(ワインと焼酎と日本酒)。
で、翌朝、ヨメがぼくに妙なことを言いました。
「あなたは酔っぱらったら、90度のお辞儀をするのね。お寿司屋さんの大将も、タクシーの運転手さんも、お地蔵さんじゃないのだから、ふつうにお辞儀をすればいいのに」と。

酩酊状態の自分がなにをやったのか、もちろん覚えていないぼくは、少々バツが悪かったので、朝から(ウソです、昼過ぎから)ヘラヘラと笑って聞き流すしかありませんでした。
やおらヨメは、「酔っているときのあなたはかわいかったよ」と、笑顔で言いました。
ここでぼくの危機察知能力がしっかり目を覚ました。

女子が言う「かわいい」には気をつけるべきだと、ぼくは常々思っています。
自慢じゃないけれど、ぼくは小学生くらいから現在にいたるまでなぜか、いろんな女性に「かわいい」と言われ続けてきました。
なにも元カノの話をしているわけではありません。
袖触れあっただけの人(つまりちょっと知り合いになっただけの人)も含め、ぼくは「かわいい」のだそうです。
がしかし、大のオトナの男のことを「かわいい」と言う女性に対して、ぼくがずっとかわいく振る舞い続けていたら、やがて女性は、「持って帰るものは、ちゃんと持って帰ってきなさい」と怒るようになります。つまり、金を持って帰ってこいと。

だから、昨日のチリワインやら、緑茶割やら、八海山やらがたっぷりしみ込んでいる脳であっても、危機察知センサーだけは、よく機能した。
「ヨメに『かわいい』と言われて、気をよくしたらバカを見るぞ」と、自分に言い聞かせた。「女子が言う『かわいい』は、割り引いて受け止めて(あるいは聞き流して)、明日からもしっかり働いてお金を稼ぐんだぞ」と、自分に言い聞かせた。

でも、二日酔いの翌朝はこれだけでは済まないのがまた、ぼくのかわいい(?)(愚かな)ところで、まだ半分酔っぱらっているぼくは、気がついたらヨメに向かって90度のお辞儀をして「かわいいと言ってくれてありがとう」と言っていました。
ヨメは「あなたの、そういう、すぐに調子に乗るところがイヤなのよねぇ」と言いました。続いて「昨日貸した3000円、返してね」と、真顔で言いました。
生まれ変わったら、かわいい犬になりたいと思った瞬間でした。(ひとみしょう/文筆家)

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