【専業文筆家が答える!】向いている仕事と好きな仕事…どっちが幸せ?

「美容が好きなので、美容部員になりました!」と言っていたと思ったら、数ヵ月後…「美容部員ってお給料が安いので辞めましたぁ!キャバ嬢になりましたぁ!」と言い放つ女性が(女子が)いました。
これは2つのことを示唆しているように思います。


1つは「自分が美しくなるのが好きなのか、他人を美しくしてあげることが好きなのか」ということに関する考察が、まるで足りていないということ。
2つは、好きなことを仕事にしたいと言っている人の多くは「ある程度のお給料がもらえる前提で、好きな仕事に就きたい」と思っているということ。

残るのは1~2割だと思われる

たとえば、ぼくのように文章を書いてお金を得る仕事、つまり専業文筆家になりたいと思っている人の多くは、文章を読んだり書いたりするのが好きな人です。
以前、とある媒体の編集長をしていたとき、専業文筆家を夢見ている人や、文章を書くのが好きな人を、40人ほど見てきました。今思うとビックリしますが、あの小さな媒体に、ライターさんたちが40人ほどもいたわけです。

 それから5年ほど経ち、今でも文章を書いて、それなりにお金を得ている人は、ぼくが知っている限り、ざっと1~2割くらいです。
文章を書く仕事というのは職人仕事なので、自分のカラダを仕事に合わせてあげないと続かない。自分のことを優先しているようでは、あらゆる職人仕事はできない。
たとえば竹を編んでなにかをつくっている職人さんの指って、意外な箇所が曲がっていたり、飛び出ていたりすることがありますね。自分のきれいな指のことなどどうでもよく、自分の仕事に文字通り、自分のカラダを合わせてきた好例でしょう。


職人仕事以外の「好きな仕事」といえば、たとえば女性ならCA(キャビンアテンダント)がそれに該当するかもしれませんね。
これは努力とセンスと、持って生まれたものが必要なのでしょうか? 英語を必死に勉強しても、身長制限に引っかかるとなれないらしいですよね。
いろんな人をもてなす接客業だから、英語ができても人間嫌いの性格が直らないとCAになれないのでしょうか?

生まれ変わったら消防士さんになりたい

ぼくはしばしば「好きなことを仕事にできて、お金まで稼ぐことができていいですね」と言われますが、そのたびに居心地の悪さを感じます。
たとえば、世間体を気にして、自分が好きな仕事や自分に向いている仕事を封印してしまった人が、こう言ってきます。
ぼくは「あなたのやっている仕事だって価値のある素晴らしい仕事なわけで、なにも好きなことを仕事にできている人だけが素晴らしいわけではない」と思いますが、これを言うと話が長くなるので、いつも「いや、それほどでも」と答えます。


仕事って、他者が不自由に感じていることを、自分ができることを通して取り除いてあげること(快適にしてあげること)なわけだから、ことさら、好きとか、向いているということだけにこだわらなくてもいいのではないかと思います。
無論、ぼくは「高校生のときに文章を書いて飯を食いにいったろと思っていたにもかかわらず、いまだ文筆家になれていない自分は、まったくの無価値である」という激しい苦悩と、それゆえに生じる自分のことが大嫌いな気持ちともに20代30代を過ごしてきたので、職業における好きとか、向いているということを、人一倍気にしてきたほうだろうと思います。

でも今、人生が二度あれば就いてみたい職業って、消防士さんだったりするんですよねぇ。震災のときに毛布や水を配ってあげられるとか、火事のときに人を助けることができる仕事って、掛け値なしに素晴らしいと思わないですか?(ひとみしょう/文筆家)

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