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【男から見た結婚のリアル】第9回 男が結婚を決意する瞬間について

  • 2017.11.24

ネットに恋愛をテーマとしたエッセーを書くという商売をしていたら、どうしても同業者が書いた記事をついクリックして読んでしまいます。
読まなくてはならない本がそのへんに積まれてあるのを横目に、つい読んじゃうんですよねえ…。
先日、ついクリックしてしまった記事は「男が結婚を決意した瞬間」というものでした。
「ぼくは風邪を引いたときに、結婚しようと思いました」という、まだ風邪で完全に弱り切っていない男が述べたようなことが書いてあったり、まあそれなりに楽しく読んだわけですが。

ぼくが結婚を決意した瞬間って、いつだったのか、思い出せません。
ぼくの脳になんらかの欠陥があるのか、欠陥はないけれどそもそも記憶力が良くないのか(暗記ものの教科はことごとくダメで大学受験に失敗したから、記憶力に関するトラウマはかなり持っている)、なんなのか、理由はよくわからないのですが、とにかく思い出せない。

神の啓示…「ああ、この人と結婚するんだなあ、おれは」

でも、はじめて彼女と出会って数時間くらい経ったとき、気がついたら「ああ、この人と結婚するんだなあ、おれは」と思っていた、ということは覚えています。
「気がついたら」というのは、ある盛夏の日、自由が丘の居酒屋で、共通の知人を交えて飲んでいたときのことです。
もっとピンポイントで特定するなら、共通の知人がトイレに立って、ぼくと彼女が居酒屋の個室でふたりきりになって、なにかをしゃべってたときに「ああ、この人と結婚するんだなあ、おれは」と思った。
薄暗い照明の個室で、でもその灯りはエロすぎず、また、個室の狭さも手伝って、どこかしら銀閣寺の書院造のワビサビ的な雰囲気がありました。そういう雰囲気が、ぼくをして、そう思わしめたのかもしれません。
つまり、いわば直感的に「この人と結婚しよう(したい)」と思ったわけで、ぼくはこういうのを勝手に、神の啓示と呼んでいます。

神(カミ)という概念ができたのは、鎌倉時代くらいだと言われているそうです。
当時の神(カミ)さまは、いいことだけをする、ということでもなかったようで、たとえば四六時中酔っぱらっている神様もいれば、「こいつとこいつを戦わせたろ」という好戦的な神様もいたとされているそうです。
もちろん泉に銅の斧を1本落としたら、あとになって金の斧を100本渡してくれるような神様だっていたのでしょう。
どのような神様がぼくに啓示をくださったのか知りませんが、とにかく神様がなんらかをぼくにささやいた。これがぼくの結婚を決めた瞬間です。

「結婚したいと思ったときに、そばにいた男性と結婚した」と言う女性も、ままいるので、結婚に関する啓示(のようなもの)を神様から与えられた人(与えられるであろう人)って、それなりにいると思うんですよねえ。
あるいは、なかなか啓示が降りてこないのであれば、彼に風邪を引かせて、彼がくたばる寸前で寸止めしておくといいんじゃないでしょうか。それにしてもネットにはユニークな恋愛コラムがたくさんありますね。(ひとみしょう/文筆家)

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