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紗倉まな×志茂田景樹:あの「入院生活」が人生を変えた!?ふたりの意外な共通点

  • 2017.11.18
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「モノづくり大国」と言われる日本。その中でも「エロ」は世界でも有名。そんなアダルト業界で、自らを「えろ屋」と称しAV女優として活躍する一方、小説家としても活動する紗倉まなをホストに、文化やエンタメを支える様々な「クリエイター」をゲストにお届けする、『紗倉まな対談企画 モノづくり大国♡ニッポン』。

第2回目は、作家でタレントの志茂田景樹さんをゲストにお届けします。

■◆小説家になるまでに、20回ほど転職を経験

紗倉まな(以下、紗倉):唐辛子のレギンス、すごいステキですね!

志茂田景樹(以下、志茂田):ありがとう。これは夏用だからもうそろそろ終わりなんだけどね。
紗倉:あ、季節で違うんですね!志茂田さんのTwitterやLINEブログはいつも拝見しているので、今日はお話できて光栄です。志茂田さんは、小説家になるまでにいろんなお仕事をされたとお聞きしましたが、どんな職業を経験されたんですか?
志茂田:弁護士や探偵、保険調査員、週刊誌記者、塾講師などいろんな仕事をしましたよ。
紗倉:すごい経験値ですね。最初はどんなお仕事をされていたんですか?
志茂田:最初は営業職だったから、わりと頭を下げないといけなくて。犬の保険を販売したり英語の辞書を販売したり・・・・・・。営業の仕事の中でも何度か転職していたんだけど、ある日「僕は頭を下げるの好きじゃない」ってことに気がついて(笑)。
紗倉:(笑)。なんか違うなと?

志茂田:そうそう。売り上げも上がらないし、それならば頭を下げないで済む仕事をしようと思って。そんな感じで、合わないから転職したり、流れで似たような仕事に転職したりで、合計20社ぐらい渡ったかしらね。
紗倉:仕事探しはどういう風にしていたんですか?
志茂田:求人雑誌もあったけど、新聞広告で探すことが多かったかな。待遇を見て選ぶこともあったし、鉛筆を立てて、芯が倒れたところにしようって決めたこともあったりして。
紗倉:えーー!意外と適当なところもあったんですね(笑)。

■◆入院をきっかけに小説家を目指す

紗倉:そこからなぜ小説家になろうと・・・?

志茂田:小説家を志したのは保険の調査員をしていた、28歳の頃。小説雑誌の新人賞の記事を見て、こういう形で作家になる方法もあるのかと知って。「そういえば僕も書く材料があるな、書きたいことがあるな」と気が付いて、小説家を目指そうという気が湧いてきたのが最初のきっかけでしたね。
紗倉:このころはまだ思っていただけで、行動には移されていなかったんですか?
志茂田:漠然と考えているかんじだったかな。書くようになったきっかけで言うと、入院だったわね。
紗倉:え!?詳しく伺ってもいいですか?
志茂田:当時、盲腸と腹膜炎を併発しちゃったことがあって。命が危ない状況にもなったんだけど。
紗倉:えぇ・・・。
志茂田:だけど、手術して入院したら意外と早く持ち直すことができたの。どんどん回復していくから早く退院したかったんだけど、院長に「ここはじっくり養生するように」って言われちゃったから、一か月ぐらい退院できなくて。あとから聞いた話なんだけど、そこはやぶ病院で、ベッドを開けたくないからなかなか退院させてもらえなかったんだって(笑)。
紗倉:それはひどい!!

志茂田:でも、その時間があったから「そうだ、小説を書いてみよう」という気持ちになったから。入院がなければ今はなかったかもしれない。それで病院で小説を書いて、新人賞に初めて応募したんだけど、それが二次審査を通ったの。だから、2~3年懸命にやったら受賞できるかなと思って。それで、小説家を目指すことにしました。
紗倉:そう思うと、やぶ病院にあたったことは結果的にはよかったのかもしれないですね(笑)。
志茂田:紗倉さんは、なぜAV女優になろうと思ったの?
紗倉:中学生の頃、14歳ぐらいだったと思うんですが、父の留守中に書斎に入ってたまたまビデオを再生したら、AVが流れ始めたんですよ(笑)。
志茂田:あら(笑)。
紗倉:本当にたまたまだったんで、かなり衝撃的でした(笑)。「こんなふうに裸で表現をしている女性が世の中にいるんだ!」って・・・。
志茂田:14歳からAV女優になりたかった?

紗倉:まだ見てはいけない年齢のときだったので、その時は思いを封印していたんですが。「然るべきタイミングが来たときにぜひやってみたい」という思いはずっと持っていました。
志茂田:中学卒業後はどうしていたの?
紗倉:卒業後は、全然関係のない高専という工業系の学校に通っていました。勉強もすごく楽しかったんですが、裸で表現する仕事をいつかしたいという思いが、心のしこりとして、ずっと残っていて。ネットで「AV女優、募集」と適当に検索をかけて今の事務所に応募して、18歳でデビューしました。

■◆国語の試験が読書嫌いを生むことも

紗倉:志茂田さんは小さい頃から本がお好きだったんですか?
志茂田:読書は好きでしたよ。小学生の頃から大人の小説を読んでいるぐらいだったし。と言っても当時は作家になろうという気持ちは全くなかったんだけど。紗倉さんも小説を書かれているけど、文章を書くのは前からお好きだったの?
紗倉:それが、実はすごく苦手で・・・・・・。志茂田さん、以前LINEブログで“センター試験”について書いてらっしゃたことがありましたよね。「100人いたら100通りの国語の答えがあるのに、出題者の邪推のせいで答えが決まっていて、その答えを書かないと正解を得られない仕組みになっている」というような内容の。
志茂田:これはとても不条理な問題よね。作家は、読者に迎合して本を書いているわけではないと思うの。自分の感性で書いて、それを読者がどう解釈してどう評価してくれるか?ということだと思うのよね。

紗倉:作者は読者を意識しすぎた文章を書かなくていいし、読者は自由な感想を持ってもいいということでしょうか?
志茂田:そう。感想は各々違って当然。「限られた文字数で感想を書け」と言われたら、だぶって見えるような部分も出てくるかもしれないけど、細やかな感想は人それぞれ違っているはずなの。なのに試験やテストでは、数行で感想をまとめて無理に採点されたり、持って回ったような言い回しの5つぐらいの回答から一つを選ばなきゃいけない。
紗倉:おかしな話ですよね。
志茂田:その気になれば全部正解のような気もするし、その気になれば全部間違っているような気もする。どれが正解かなんて、決められるわけがないの。僕は、そんな風に試験に出されることによって、文学作品や小説を読むのが嫌になってしまう人が出てくるんじゃないかというのが不安。
紗倉:すごく共感したんです。実は私は、まさに志茂田さんが懸念されていた状態になってしまって。それで本が嫌いになっちゃったんです。
志茂田:そうだったのね・・・・・・。それはいつ頃から?
紗倉:小学生のころにはすでに。国語のテストの「このとき著者はどう思ったでしょうか?」という問題で、私の答えはことごとくバツにされていたんですよ。自分の感性を否定されているようで、本を読むのが嫌になって。感想を書くような作文も嫌で、いけない話なのですが、当時は母親にかわりに書いてもらっていました。

志茂田:そういう風に感じてしまった人は、きっとたくさんいるはずなのよね。でもそこから本を書くようになったなんて、すごい心境の変化!
紗倉:自分でも信じられないくらいです(笑)。志茂田さんは入院がきっかけで小説家を目指したとおっしゃっていましたが、実は私が文を書くようになったきっかけも入院だったんですよ。
志茂田:あら、一緒。なんの病気だったんですか?
紗倉:それが、原因は不明のままで。とりあえず安静をとって4日ぐらい入院することになったんですが、入院したらなんだか元気になっちゃって。
志茂田:そこも一緒なのね(笑)。
紗倉:病院で静かにしていると安心するのか、不思議と元気になっちゃうんですよね(笑)。それで、やることもなく一人ボーっとしていたんですが、ふと「私、今心の中にすごく溜まってるものがあるのかもしれない」と感じて。それで自分の気持ちを爆発させるじゃないですけど、何か言葉に落とし込みたくなって、携帯に文字を打ち始めたんですよ。
志茂田:どのようなことを?

紗倉:自分の自叙伝のような、小説のようなものでした。一度打ち始めたら止まらなくなって、人様に見せるのも恥ずかしいようなはちゃめちゃな文ではあったんですが、原稿用紙80枚ぐらい打ち込んでました。
志茂田:よっぽど溜まってたのね。
紗倉:意識はしてなかったんですけど、とまらなくなってしまって・・・(笑)。それで、書けたっていう達成感のようなものから「今まで避けてきたけど・・・・・・私、もしかしたら書くことが好きなのかも!」と思ったんですよ。これをきっかけに文を書くことにすごく意欲的になって、コラムを始めてみたり、ブログやTwitterを更新する頻度も変わっていきました。

■◆いつの間にかTwitterが悩み相談の場に

紗倉:Twitterと言うと、志茂田さんは現在ご自身のTwitterでお悩み相談をされていますよね。
志茂田:そうね。気が付いたらそうなっていたんだけど。
紗倉:よく拝見しています!気が付いたらということは、志茂田さんが始めたいと思って始めたわけではなかったんですか?

志茂田:もともとは、僕のTwitterに送られてくるリプに対して、「それは同感できますね」とか「それは違うと思います」ぐらいに答えていたのね。そうしたら、いつの間にか悩み相談みたいなリプが送られてくるようになって。それに答えているうちに、習慣になったって感じかしら。
紗倉:流れでそうなっていたわけですか!志茂田さんの説得力ある言葉に、助けを求めたくなるんでしょうね。
志茂田:紗倉さんは、普段友人の相談にのったりすることはあるの?
紗倉:たまにあります!友人の中にも、孤独を感じている子がけっこういるみたいで。
志茂田:僕のTwitterでもだけど、心のリズムを壊してしまっている若い人はずいぶん多いのよね。
紗倉:私には強く見えている子も、実はさみしい思いをしてるんだなって、意外に思うことがあります。
志茂田:仕事柄、性に関する悩み相談をされることも多いんじゃない?

紗倉:Twitterで言うとやっぱり性のお悩み相談はよくありますね。でも、私もこの仕事を長年やっているとは言え、技術があるかと言えばそうではないので(笑)。アドバイスも「気合いだ!」とか、「愛だ!」みたいなことで終わっちゃいます。
志茂田:あはは(笑)。
紗倉:だから、相談にのって的確なアドバイスを送るって本当にすごいことだなと。それに志茂田さんは、誹謗中傷と言うか、心無い言葉もキレイにかわしてらっしゃるじゃないですか!そこがまたすごい!!
志茂田:基本的に、その人の状態を受け入れてあげることが大切なのよね。心のリズムを壊してしまっている人には特に。いきなり相手を否定して「こうでなければいけない」なんて言うのは、ずいぶん上から目線になっちゃうし。だから、どんな悩みや意見を寄せられても、いったん相手を受け入れてから「ではどうしたらいいのか」というのを考えていくようにしてます。
紗倉:そういった批判の声とか、社会的なノイズみたいなものは、一回自分の中で受け入れてから対応するっていうのが、志茂田さんのスタイルになるんですかね。
志茂田:うーん。そういうことになるのかな。
紗倉:志茂田さんは、もともと周りからの意見はあまり気になさらない性格だったんですか?

志茂田:ううん、気にはしますよ。でも、そのときはそれなりに傷ついても、長く引きずることはないかな。気持ちの切り替えは、子どものころから早かったかもしれない。
紗倉:気持ちの切り替え・・・大切ですよね。
志茂田:いつまでもそのことに囚われていてもしょうがないものね。
紗倉:SNSは特に、そういう心無い言葉が飛び交いやすい場でもあると思うんです。例えばファッションひとつとっても、いろんな意見を持っている方がいるわけじゃないですか。志茂田さんの個性的なファッションをいいと言っていくれる方もたくさんいらっしゃる反面、それを悪く言う方もいる。そのあたりは気にされることはないんですか?
志茂田:それは全然気にしない。SNSってそういうもんですし。自分は安全なところにいるから、強気になって何かを言ってくる人が多い訳で。そんな風に誹謗中傷を言ってくる人は無視するのが一番!だけど、気にしてガクッと落ち込んでしまう人は結構いるのよね。

紗倉:デリケートな人が多いのかもしれないですね。

志茂田:実際に僕のところにも、そのような内容の相談もたくさん届くし。
紗倉:実は私もSNSとかの誹謗中傷はけっこう気にしちゃうほうです・・・・・・。
志茂田:そういう誹謗中傷を言ってくる人は、実は弱くてかわいそうな人なんじゃないかな。だから、そんな言葉は気にしなくていいのよ。
紗倉:志茂田さんにそう言っていただけると、SNSの誹謗中傷なんてどうでもよくなっちゃうのが不思議です(笑)。

■◆来年は小説も執筆予定

紗倉:憧れの志茂田さんとお話しできて、また一段と書くことへの意欲が湧いてきました。

志茂田:それは嬉しい(笑)。これから書きたいことや発信していきたいテーマは決まってるの?
紗倉:今まで書いた小説は、自分の仕事のことと家族のことが題材になっていて。身近なところがテーマになってたので、次は違うところに目を向けて書きたいなと思っています。と言っても、今は私のスポンジがカラカラの状態で、何も絞り出すものがなくて・・・・・・。志茂田さんのブログにも書かれていたんですが、旅に出たり、心を豊かにすることを中心にして生活していきたいですね。あとは、本以外の活動になりますが、絵を描いてみたいなとも思っています。
志茂田:絵を描くのがお好き?
紗倉:はい!すごく好きです。
志茂田:どんな絵を描くの?
紗倉:水彩画と、ボールペンで書くようなモノトーンが多いですかね。目玉を大きく描くとか、「闇が深い」と言われるような絵がほとんどです(笑)。なので今後は、志茂田さんのように見る人をハッピーにできるような絵も描いていきたいですね。素朴な疑問ですが、志茂田さんはどんなタイミングで絵を描かれているんですか?描きたいなと思ったタイミングで描くとかでしょうか?
志茂田:僕が活動している「KSアーティストクラブ」の作品展が年に1回あるので、最近はそのために描いている感じかしらね。締め切りに近いものがないとなかなか(笑)。
紗倉:なんだか安心しました。志茂田さんでも、締め切りがないと描けないときもあるんだなって(笑)。

志茂田:腰を上げるのに時間がかかっても、好きなものを描いてるから、描き出しちゃえば楽しいの。本も絵もだけど、本当は「書きたいな」という衝動に駆られたときに書くのが1番よね。
紗倉:気持ちが高まったときの作品は、勢いが違いますよね。志茂田さんは今後やっていきたい活動とかはあるんですか?
志茂田:1998年にはじめた、子どもへの絵本読み聞かせ活動や、それに連動した絵本や児童書の制作は今後も続けたいです。
紗倉:ステキな活動ですよね!小説を書く予定はあるんですか?
志茂田:この絵本の活動やTwitterの悩み相談をしている間にも、実は書きたいなというテーマが4つほどたまってきていて。来年は1冊、できれば2冊小説を書くつもり。
紗倉:わあっ、すごく楽しみです!
志茂田:あとは、僕は成り行きを大事にしてるから、成り行きから生まれたものもやっていきたいと思っていて。小説や絵本でなくても、違うところに分岐していったらそれはそれでおもしろいかなって。自分にとっては未知なこともやってみたい。そのあたりは、明確な目標を作るよりも、成り行きが化けてくれるようなおもしろさに期待したいですね。
紗倉:私もそれぐらい心に余裕を持たなきゃなあ・・・。今日は本当に、ありがとうございました!

(石部千晶:六識/ライター)(渡邊明音/撮影)(KANAKO/ヘアメイク)(ハウコレ編集部)

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