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【男から見た結婚のリアル】第7回 ワイルドな嫁はお好き?

  • 2017.11.8

先日、長年愛用していたジャケットの、片方の袖口のボタンが1つ取れました。

こういうとき、世の男たちはきっと「彼女がいてよかったなあ」と思うのだろうと思います。

ぼくもそう思ったし、きっと隣の部屋に住んでいる、名前も知らない不器用そうな顔をしている男も、こう感じるはずです。

なぜなら世の男の多くは、裁縫はおろか、ボタン1つ付けることができないから。

男子にとって"女子力"は「スゲ〜!!」

裁縫のなかにボタン付けは当然含まれるはずですが、裁縫ができるというのはたとえば、「子供服を作ること」であり(最低でもランチョンマットが作れることであり)、ボタンをつけることと子供服を作る(ランチョンマットを作る)ことの間にはかなり乖離があり……しかし、ようするにもう、ボタンを付けることができる女性も、ランチョンマットを作れる女性も、子供服を作れる女性もみな、男にとってはスゲ~わけですよ。

女子だって、そういうことができる女子をスゲ~と思いますよね。

最近はスゲ~とは言わず、しれっと「女子力」と言うのかもしれませんが。

で、その「スゲ~」を我がヨメに感じたくて、ぼくは彼女に「悪いけど、袖口のボタンが取れたから付けてもらえる?」と言いました。

いついかなるときも冷静なヨメはまず、ぼくのジャケットの両方の袖口を手に取って眺めました。

右の袖口に3つボタンがついてあり、左には2つ付いていることを確認したヨメは、ぼくに言いました。

「ジャケットを買ったとき、スペアのボタンがあったでしょ?」と。
「そんなもん、もうどっかにいった」と、ぼくはしれっと言いました。言いながら内心、「彼女にユザワヤ(手芸用品を多数取り揃えているスゲ~お店)に行かせることになって悪いな」と思いました。がしかし、長年愛用してきたジャケットに対する愛情もあります。
しばし沈黙がありました(きっと彼女は、いかにしてユザワヤに行かなくて済むかを考えていたにちがいない。うちから遠いから)。

ほどなくしてヨメの口から、超画期的なひと言が出てきました。

さらに「スゲ〜!!」嫁の発想とは…

「これさ、右のボタンを1つ取って、左右2個ずつにして、最初から2個しか付いていなかったことにすればいいじゃない」
「ワイルドな発想やな」動揺しつつ、ぼくはこう答えるのが精一杯でした。

ぼくの常識の中に「取れたボタンは付けるもの」というのはあっても、ボタンが取れたらさらに取るという発想はなかったから。
続けてヨメは、満面の笑みでこう言いました。

「ワイルドなヨメはお好き?」。ぼくはさらに動揺しつつ、気づいたら「はい」と答えていました。

こんなもん、「はい」と答えるしかなかろうが。(ひとみしょう/文筆家)

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