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苦しいのは自分だけじゃない! 〝ライバルへの嫉妬を抑える〟お仕事名言とは?【はあちゅうのお仕事名言博物館】

  • 2017.10.26
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会社員&フリーランスとして働いてきた作家が、自身の経験した〝仕事にまつわる名言〞を紹介します。

自分は才能がないのかもしれない。仕事中にそんなふうに感じたこと、ありませんか? 私は何度もあります。広告会社に入って1年後、社内試験に受かって憧れのコピーライターという肩書を手に入れました。コピーライターにさえなれば、仕事は楽しくなると思っていたのですが、予想に反してコピーの仕事はめちゃくちゃ苦しかった。とにかく考える時間が長く、考えても考えても答えにはたどり着かない。「コピーを書くのってこんなにつらいんだ」と正直うんざりしました。そしていつも、先輩の考えてくるコピーを見ながら、自分とは違う発想や言葉の巧みさに打ちのめされ「先輩は才能があっていいな」とうらやんでいました。自分の仕事が遅いせいで、休日がつぶれることにもいら立ちを感じ、月曜の打ち合わせに持っていく案を週末に考えながら「きっと先輩は今頃ゆっくり休んでいるんだろうな」と想像すると、少しだけ先輩を憎たらしくも感じました。そして、こんな苦しい時期を早く抜けて、私もちゃっちゃとコピー書いて遊びたい……そんなふうに思っていたんです。けれど、週明けに宿題だったコピーを提出したら、先輩が自分の案を見せる時に「オレもずっと考えてた」と言ったんです。このひと言、今月の“お仕事名言”にさせていただきます。

“才能がある=ラクができる”ではないと痛感した

それを聞いて、私だけが苦しんでいたわけではなく、先輩も同じように苦しんでコピーを生みだしていたのだとハッとしました。上の立場になったからといって、苦しみから解放されるわけではないんですよね。その苦しみを味わいながら、スキルを磨いていくことがたぶん、仕事なんです。 天性の才能に見えている人は、ただ自分の能力を磨いている姿を他人に見せないから才能だと思われるのだ。努力からは誰も逃げられないのだと思い知りました。同時に仕事に対して「ラクをしたい」と思っていた自分の甘さにも気づいたんです。「よいコピーを書きたい」という気持ちだけが自分を前進させてくれるのであって「ラクをしたい」という気持ちで成長できるわけがないと反省しました。

ライバルもきっと同じ苦しみを味わっている

今でも、仕事のできる人をつい妬んでしまうことはあります。そして、「あの人はあんなアイデアが出せていいな」、「文才があっていいな」と憎たらしく感じてしまうのですが、あの時の先輩のひと言を思い出し、「人には人の苦しみがある」と想像することで自分の心をおさめています。
●はあちゅう
作家・コラムニスト。初短編集『通りすがりのあなた』(講談社)が発売されたばかり。公式ツイッター&インスタグラム■@ha_chu

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MORE2017年10月号・さらに詳しい情報は雑誌MOREをチェック! イラスト/湯浅 望

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