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子どもを持つと不幸に!? “親ペナルティ”の意味と親の幸福度の捉え方

  • 2017.9.25

みなさんこんにちは。ママライターのあしださきです。

「親ペナルティ」という言葉を聞いたことがありますか?

2017年9月5日にプレジデントオンラインに掲載された、フリーライターでコラムニストの河崎環さんの記事が大きな反響を呼んでいるそうです。

この「親ペナルティ」という言葉、子育てしている者にとっては何かひっかかると言いましょうか、言葉自身の破壊力を感じずにはいられませんよね。

単純に「ペナルティ」という言葉を調べると、

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『罰則。処罰。また罰金、違約金』【出典:デジタル大辞泉(小学館)】

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とあります。

そこに、「親」がつくことで私は、親になったことがある種の“処罰”のような意味であると勘違いをしてしまったのです。

目次親ペナルティの正しい意味とは「保育園落ちた、日本死ね」納得できるポイントを探してライフステージを追った調査報告を見たい

●親ペナルティの正しい意味とは

河崎さんの記事をよく読めば正しい意味が分かるので、ここではまず正しい「親ペナルティ」の意味を理解していきたいと思います。

そもそも、「親ペナルティ」という言葉は、社会学の学問用語のようです。

その意味としては、子どもを持つ夫婦と持たない夫婦が感じる幸福度のギャップ を指すといいます。そしてその幸福度は子どもを持つ夫婦の方が低い、とも。

その傾向が表れるのは、国家レベルの子育て支援制度が手薄である国ほどより顕著に見られるといい、その代表のような国がアメリカであるといいます。

そして今現在の日本でも、この「親ペナルティ」の傾向が出てきており、それとどう向き合うのかということを記事の中で読者に呼びかけています。

●「保育園落ちた、日本死ね」

記憶に新しいこの社会問題のクローズアップは、世間で大きな注目を集めましたね。

働く母親をどんどん増やしていこうというこの国が、働きたい母親たちの足を常に引っ張り続けています。子どもを預けないと働けません。当たり前ですよね。

でもお腹に子どもがいるうちに保育園を探さなくては預けられないくらいの熾烈な競争が、いたるところで起こっているのはみなさんご存知のとおり。

そんな子育て世代の方々に「今幸せですか?」と調査したのでしょうか。

“幸福度”の調査方法がイマイチ分かりませんが、子どもを育てている夫婦とひと言に言ってもその方々の生活の背景が全く違うこと、一体どのタイミングでの幸福度であるかは重要ではないのでしょうか。

また一方で、子どもを持たない夫婦とひと言に言ってもその背景にもさまざまな要素がある のも事実ですね。

「子どもを持たないという選択を主体的にしている」のか、「やむを得ない状況により子どもを持たないという選択になった」のかというだけでも大違いです。

保育園に預けられず、職場復帰のチャンスを諦めなくてはならなくなってしまった母親の幸福度は低かろうと容易に推測できますよね。

ですから、私はこの「親ペナルティ」があまりしっくりこないのです。日本で子育てしているすべての人には当てはまらないことをあれこれ議論するのがちょっと馬鹿らしいといいますか。

子育て支援制度の恩恵を受けたい、それが受けられないとなったとき幸福度が低くなる ということではないのでしょうか。

ですから「子どもを持つと幸福度が下がる」という勘違いをしてはいけないと思います。

●納得できるポイントを探して

内閣府が行っている幸福度の調査に関する資料を見て、少しヒントを得た気がしたのでご紹介したいと思います。

この資料の年代別・男女別の幸福度を判断する際に重視する項目に注目してみましょう。

・男性の25歳から29歳は「家計」、一方の女性は「家族」
・男性の30歳から34歳は「家族」、女性は「家族」
・男性の35歳から39歳は「家計」、女性は「家族」
・男性の40歳から44歳は「家計」、女性は「家族」

という結果が出ています。

一般的な子育て世代である25歳から44歳までを追って見てみると、女性は常に「家族」を幸福度の判断をする際に最重要視しているということが分かりました。

一方男性は、30歳から34歳までの年代でのみ「家族」だっただけで、他の年代では「家計」が最重要項目という回答だったのです。

夫婦といっても担っている役割が違う。幸福感に対するものさしも違う ということ。

男性は家族よりも家計が幸福度の判断材料になると単純に考えると、仕事が充実していたりキャリアアップで社会的地位が上がったりすることでも幸福度を上げることが可能です。

給与という対価が伴ってくれるからですね。

では女性はどうでしょうか。

もちろん女性も社会進出が進んでキャリアを積み、男性に劣らないほど出世することもありますが、女性の幸福度の重要項目は「家族」なので給与という対価があっても幸福度に直接反映されないこともあるということでしょう。

家族に関する項目が幸福度に一番影響を与えるということは、やはり子どものことに関しての満足度が関係してきますから、“子育て支援制度”の充実が女性の幸福度を上げていくポイントになると言えます。

●ライフステージを追った調査報告を見たい

このまま「親ペナルティ」という言葉だけがひとり歩きしてしまうと、ますます「子どもを持つとこの国では幸福に暮らせないらしい」という誤解が生まれてしまいます。

確かに、北欧の国々のような充実した子育て支援制度がない日本。働く母親に厳しい日本。このことを声に出して改善を訴え続けていくことは必要だと思います。

そしてこの「親ペナルティ」を調査していく中で、調査対象が年を重ねてその生涯を終えるまでのライフステージのさまざまなポイントでさらに“幸福度”を調べてもらいたいと思うのです。

「親ペナルティ」がどのような変化をしていくか、これは追跡調査を見なくては分かりません。

政府の方も、「親ペナルティ」などという新たなワードが登場して、ますます少子化が進むのではないかと驚異に感じているでしょうね。

子育て支援制度の改善は早急に進めるべき課題 だと再認識させるきっかけにはなったでしょうか。

ただ筆者は、幸福度を“子どもを持つか持たないか”の判断材料にするのには意義を唱えていきたいものです。

【参考リンク】
・幸福度に関する研究会報告 | 内閣府(http://www5.cao.go.jp/keizai2/koufukudo/pdf/koufukudosian_sono1.pdf)

●文/あしださき

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