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忙しくても“おいしい”は諦めない! 子育て中の料理研究家・近藤幸子さんが提案する「前向きな手抜きレシピ」

  • 2017.9.6
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ゆっくりコーヒーを淹れたり、部屋を気持ちよく整えたり、「丁寧に暮らす」ことが良しとされている昨今。でも働くママたちは、仕事と日々の家事、育児に追われ、そんな余裕がないのが現状。手抜きをするとマイナスイメージが強く、ちゃんとできない自分を責めてしまうという人も少なくないと思います。

そんな働くママたちに、「忙しいんだから、丁寧に暮らすのは難しいもの。だったら、前向きに手抜きをすればいい」と肩をたたいてくれるような1冊、『がんばりすぎないごはん』が発売されました。

■毎日のごはんづくりの、負担を軽減するアイデア
著者である料理家の近藤幸子さんは、2人のお子さんをもつ母。実家も遠く、共働きをしながら、「丁寧に暮らす」ことを理想としていたそう。
「『丁寧に暮らす』ことにこだわってしまったがために、やらなければならないことが増え、ピリピリしていました。(中略)『丁寧に暮らす』ことができない私を、責めたり悲しんだりしている自分に気づきました」

仕事や子育てに追われる日々の中で、料理を仕事にする近藤さんでさえ、毎日のごはんを作ることは、そう簡単なことではないと言います。

そんな近藤さんがたどり着いたのが、「がんばりすぎないごはん」。時間も手間もかけないけれど、たくさんの工夫が生かされたレシピ。例えば、なるべく工程を少なくする代わりに、肉や魚にはしっかり下味をつける、いつものおかずの素材をちょっと変えるなど、この本には、新しい道具や特別な食材を買い足さずにできるアイデアがたっぷり詰まっています。

その中から、すぐにでも献立に取り入れたいレシピを2つ、近藤さんに教えていただきました。

■時短レシピ「大きなハンバーグ」
まずご紹介するのは、近藤さんが普段よく作る料理。「手間がかかりすぎてしまうプロセスは、省いてしまって結構だと私は思っています。そのぶん知恵を働かせ、どう作りやすくするか、おいしくするか、そこが勝負所です」と近藤さん。

ぱぱっと作れるけれど、おいしさや楽しさを諦めない工夫を詰めたレシピのひとつが「大きなハンバーグ」。たねをフライパンに広げて、焼き上げられるので楽に、子どもが喜ぶおかずができます。

「ハンバーグをこねたりしていると、子どもたちに何かがあっても、すぐに手が出せずに困った経験から思いつきました。大胆なフォルムと、ざっくりした食感が気に入っています」

●「大きなハンバーグ」レシピ

<材料 2人分>
<たね>
合びき肉 300g
玉ねぎ(みじん切り) 1/2個分
卵 1個
パン粉 20g
塩 小さじ1/2
こしょう 少々

<玉ねぎソース>
玉ねぎ(みじん切り) 1個分
しょうゆ 大さじ2
酒 大さじ1
酢 小さじ2
ナンプラー 小さじ1
サラダ油 大さじ2

クレソン 適量

<作り方>
1、玉ねぎソースの材料は混ぜ合わせておく。
2、ボウルにたねの材料をすべて入れ、粘りが出るまで混ぜ合わせる。
3、直径25cmほどのフライパンに2のたねを敷き詰め、1cmの厚さにならす。ふたをして強めの中火で3分ほど焼き、裏返してさらに2分ほど焼く。フライ返しで食べやすい大きさに切り、器に盛る。
4、玉ねぎソースをかけ、クレソンを添える。

たねを丸めている時間がないときは、焼いてから切れば時短に。また玉ねぎソースはサラダなどにも活用できる、万能ソースにもなります。

■忙しいときのお助け麺、「あさりとトマトの煮込みうどん」

疲れていると、子どもに食べさせるという作業がとても大変。そんなときにおすすめなのが、ご飯や麺に具もたっぷり入っている料理だと話す近藤さん。

「作るほうはもちろん、食べるほうにとっても手軽で、さっと食べやすいのが、お互いに負担になりません。そんな日もあって大丈夫。そのぶん、ゆっくり話を聞いてあげながら食事をするのも大事なのかもしれない、と思っています」

教えていただいた「あさりとトマトの煮込みうどん」は、トマトの赤が効いた、見た目もおいしそうなうどん。しょうゆの代わりにナンプラーを使い、香菜を加えるとエスニック風にもなるそう。

●「あさりとトマトの煮込みうどん」レシピ

<材料 2人分>
稲庭うどん(冷凍) 2玉
あさり(砂抜き済み) 200g
トマト 1個
三つ葉 適量
だし汁 600ml
しょうゆ 大さじ1/2
塩 小さじ1/2

1、トマトは4等分のくし形切りにする。三つ葉は5cmの長さに切る。
2、鍋に三つ葉以外の材料をすべて入れて煮立て、沸騰したら中火で2分ほど煮る。器に盛り、三つ葉をのせる。

■おいしいを諦めない、前向きな手抜き

そのほか、材料を入れたら完成を待つだけの「鍋とオーブン、おまかせ料理」、浅漬けや和えものなど、10分ほどでぱぱっと完成する「野菜料理」、ナンプラー、クミン、花椒という3つの調味料を使った、ワンランクアップの料理、献立の品数が少なくても満足できる「具だくさんスープ」など、バラエティに富んだレシピが満載。

野菜たっぷり。「豚バラ肉と豆苗の炒めもの」

彩り鮮やか。「にんじんと紫キャベツのレモン風味炒め」

ホワイトソースを作らず、オーブンで焼くだけ。「グラタンドフィノア」

ナンプラーを使った「にんじんのソムタム」、「ナンプラーの味つけ卵」、「まぐろのナンプラー漬け」、「鶏胸肉とアスパラのバターナンプラー焼き」

家事や育児で忙しい、だけどおいしいものが食べたい、そんな欲張りを叶えてくれる簡単な104のレシピ。このどれもが、「前向きに手を抜く」ための方法だといいます。市販のだしは積極的に使うなど、近藤さんの等身大のエッセイは、「近藤さんでもそうなんだ」と共感でき、ちょっと毎日のごはんづくりの重荷が軽くしてくれるはずです。

『がんばりすぎないごはん』
近藤幸子 著/主婦と生活社 1,300円(税別)

<近藤幸子 プロフィール>
料理研究家。宮城県出身。料理教室「おいしい週末」主宰。 料理学校、料理研究家のアシスタントを経て独立。2007 年 11 月、『おいしい週末』(筑摩書房)を上梓。2 度の産休・ 育休を経て、2014 年から活動再開。家事や育児をこなしながら、雑誌『LEE』などで活躍中。シンプルで気の利いた料理を好む。夫、長女、次女との 4 人暮らし。著書に『重ねて煮るからおいしいレシピ』(主婦と生活社)など。
おいしい週末 Web: http://oishisyumatsu.com

(赤木真弓)

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