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ママにはわからない? 男の子の育児はパパが主導で行ったほうがいいワケ

  • 2017.9.5

こんにちは。コラムニストの鈴木かつよしです。

筆者には既に結婚して子どももいる長女より15歳も年下で、今まだ中学生の男の子がいます。

娘のときも自分なりに頑張って育児に携わったつもりではあるのですが、息子に関しては「娘のとき以上に父親の自分が責任をもって子育てにかかわった方がいいのだろうなあ」と感じる今日このごろです。

ではなぜそう感じるのでしょうか? それは、よく言われる「社会性や我慢のようなものは父親が教えるべきだ」といった理由からではありません。

男の子特有の感性を、「身近にいる人間では男親である自分がいちばんよくわかってやれるのではないか」という理由からです。

“男の子のプロ”を自認する保育学者の小崎恭弘先生の論説を参考にしながら、このことについて考えてみたいと思います。みなさんもご一緒に考えてみませんか?

●男の子は“自分が興味をもった目の前にあるもの”が全て

“習い事”や“お稽古事”が長続きするのは女の子でしょうか? 男の子でしょうか?

もちろん簡単に一般化することはできませんが、筆者の印象としては女の子の方が長続きするケースが多いようにみえます。

男の子の場合、親がいくら押しつけてもそれが本人の興味とマッチしたものでなければ「暖簾に腕押し」です。

一方で、ピアノの音色を本能的に「自分の音だ」と感じた男の子は、女の子にはあまり見られないような集中力でピアノにハマって行く傾向があるようにみえます。

また、たまたまテレビで観た“ウルトラ・ヒーロー”の魅力に憑りつかれてしまった男の子なら、親に買ってもらったヒーロー図鑑や怪獣図鑑で数百種類に及ぶヒーローや怪獣の特徴をつぶさに説明できるようになったりします。

つまり、男の子の場合は“自分が興味をもった、目の前にあるもの”が全て なのです。

それ以外の物事は男の子にとってはどうでもよく、他人がどうだったとかこうだったとかいう話には一切関心がありません。

“男の子の育児の専門家”として数多くの著書がある、保育士で大阪教育大学教育学部准教授の小崎恭弘先生は、男の子のこういった特徴について『男の子はオタク』であると表現されています。

筆者が息子の子育てに関して妻まかせではなく自分が相応の責任感をもってあたらなければいけないと思う理由はまさに、男の子のこういった“オタク性”というか“マニアックさ”のようなものを理解したうえでかからないと、小崎先生も複数の著書の中で指摘しているように男の子が本来もっている“良さ”をつぶしてしまうのではないか と考えるからなのです。

●早熟な子ばかりではないので、“男の子の純粋さ”を大切に育てるべき

いま中学2年生の筆者の息子は、体が丈夫で弁が立ち要領もよかった15歳年上の姉と違い、先天性の身体的ハンディキャップを幾つか背負って生まれてきたこともあって、何事にも“奥手”な子です。

スポーツやダンスのような“体を動かすこと”で身を立てるといった選択肢は最初からありませんでした。口下手でもあるため“コミュ力”はきわめて低く、不器用で“省エネ運転”ができない性格です。

興味の対象は言いようによっては「幼い」感じで、動物全般や特撮映画などの分野に並外れた関心と探求心を示しますが、恋愛や人間関係、将来設計のようなものには一切興味がありません。

つまり、好きなことは好きだけれど、興味のないことはあくまでも「どうでもいい」。

前出の小崎先生はこういった言いようによっては“純粋”で“ストレート”なところも男の子に固有の性向 だとおっしゃっています。

ただ、中2ともなると友達は必ずしも息子のような感じではなく、いつまでも好きなことばかりにうつつをぬかしているのは非現実的で、将来の安定を手に入れるための現実的努力にもうそろそろ時間を費やすべきだと考える子も少なくはないようです。

そのように早熟で合理的なお子さんは素晴らしく、筆者などは羨ましいです。でも、うちの息子はその域に達するまでまだまだ何年も(もしかすると何十年も)かかりそうです。

このように幼稚な息子が将来的に社会生活を営めるような技術やコミュ力を身につけようと思ったら、今目の前にある“興味のあること”をとことん追求することで、それに伴って派生する事柄についても学んで行くという方法をとるしかないのではありませんでしょうか。

実は小崎先生も多くの著書の中で同様の趣旨のことをおっしゃっていて、男の子のオタク性と純粋さを理解し、尊重し、そのオタク道を究めながらどうしても習得せざるを得ない“他のこと”も学んで行くというのが、男の子が大人へと成長して行くうえでの正しいあり方ではないかと主張しているのです。

その際に、男の子というものを肌で理解することができる父親が男の子の子育てには積極的に携わるべき だというのが筆者の考え方であり、著書を読む限り小崎先生の考え方でもあるように思うのです。

●人と関わる力(コミュ力)は男の子の場合、得意分野を基にして磨いて行った方がいい

今、世の中の風潮がどちらかというと“コミュ力最重視”になるなかで、男の子をもつパパやママは「うちの息子はコミュ力が低いので、大丈夫だろうか?」といった不安をお持ちだろうと思います。筆者もそうなので、よくわかります。

でも、もともとコミュ力などに価値観をもっていない男の子たちにとっては、親がいくら心配したところでそんなことは“どこ吹く風”です。

男の子がコミュ力というか“人と関わる力”を高めようと思ったなら、逆にいったんコミュニケーションなどといったものへの価値観を捨て去って、自分の得意分野を徹底的に磨くことから入った方がいいのではないか と思います。

好きなこと以外には一切関心のない男の子に対して筆者が考えるパパがとるべき姿勢は、具体的に申し上げるならば、こういった感じです。

(1)自分の好きなことを追究したいのであれば、多少は好きでないことも勉強する必要があることを説明してあげる。

例えば動物の生態についてもっと深く追究したいのであれば外国語で書かれた研究論文を原語で読めなければ話にならないのだから、英語をはじめとする外国語も最低限は勉強する必要があることを教える。

(2)また、自分の関心事について奥義をきわめるのであれば、その道の達人や先輩たちから助言をいただくことも必要です。そのためには最低限の礼儀や挨拶も必要。

別に損得勘定で礼節を大事にするのではなく、マナーが身についていれば比較的苦労なく先達の協力がもらえることを教えてあげるといいでしょう。

(3)今息子が好きでやっていることは別に将来の成功のためにやっているわけではないということを、まずパパが理解してあげること。そのうえで他の子や兄弟姉妹との比較ではなく、昨日の息子より一歩でも成長していたなら褒めてあげる こと。

これらの点については小崎恭弘先生もその著書『思春期男子の育て方』の中で、“将来のこと”と“比較”が男の子に向き合う際のパパのNGワード・NG行動であるということを、明言されています。

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パパのみなさん、いかがでしょうか。これからも男の子の子育てを基本ママ任せになさいますか?

今までよりはもうちょっとパパが子育てにかかわらなければいけないなとお思いになったのではないでしょうか。

男の子は本質的に、“given”の部分から疑ってかかるところがあります。

アインシュタインやホーキング博士のような偉大な研究者が男の子から出るのは、男子特有のこういった性向に由来する部分もあるのではないかと筆者は思っています。

だとすれば、息子さんを孤立させずに一度“given”を疑って一緒に考えてあげるのは、パパの役目です。

このコラムを読んでくださったパパのみなさんには、少しだけそんなことを意識していただけたならと願ってやみません。

【参考文献】
・『思春期男子の育て方』小崎恭弘・著
・『うちの息子ってヘンですか? 男子育児のしんどさが解消される本』小崎恭弘・著
・『図解 ウチの男子とパパの「??」がスッキリする本(“我が家の男たち”にお困りママへの処方箋)』小崎恭弘・著

●ライター/鈴木かつよし(エッセイスト)
●モデル/前田彩(桃花ちゃん)

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