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改装終了、蘇るシャンゼリゼ大通りの伝説ル・フーケッツ。

  • 2017.8.18

あまりに古すぎて知っている人は少ないかもしれない。1948年の映画『凱旋門』の中で、男女が交わす会話だ。

「戦争が終わったらフーケッツで会おう」
「ジョルジュ・サンク通り側? シャンゼリゼ大通り側?」

フーケッツはこの2つの通りに面した角の建物なので、待ち合わせをして、それぞれが別の側で相手を待ってしまう危険がある。それは2017年のいまも同じ。だから、この映画のセリフは覚えておくと便利だろう。もしかすると、「ジョルジュ・サンク通り側?」というより、いまは「ルイ・ヴィトン側?」というほうがわかりやすいかもしれないけれど。

ル・フーケッツの店内。こちらは向かいがルイ・ヴィトンのブティックのジョルジュ・サンク通り側。photo:Marc Berenguer

赤いひさしを通りに張り出していることで知られるル・フーケッツ。ホテルとブラッスリーの改装工事が終わり、初夏に新装オープンをした。カフェ・ブラッスリーとして生まれたのは、1899年。その歴史の長さもさることながら、この名前の輝きをより増しているのは映画との深い関係だ。1930年代にジーン・ケリーやジャン・ギャバンといった著名映画人が、1950年代はヌーヴェル・ヴァーグの監督や俳優たちがここに集い……そして1975年に設立されたフランスのオスカー賞たるセザール賞がセレモニーの後の授賞パーティーの会場に選ぶのは、1979年以来ずっとル・フーケッツである。常連客には映画関係者も多く、彼らが好んで座った場所には名前のプレートが掲げられ、また壁を飾るのは女優・男優たちのポートレート……というように、改装後も映画界にオマージュを捧げている。

ブラッスリーに併設されたバーL’Escadrille(レスカドリーユ)の壁にも男優・女優のポートレートが掲げられている。photo:Marc Berenguer

新装オープンに際し、ピエール・ガニェールとのコラボレーションによりブラッスリーのメニューが一新された。ブラッスリーの伝統を生かしつつも、現代的にライトでヘルシー志向の料理に。バスチーユやサン・ジェルマンあたりで行き慣れている気軽なビストロとは、趣を異にするパリ的な雰囲気が流れるル・フーケッツ。何度目かのパリなら、東京には存在しないこうした場所で過ごすことに気圧されることもないだろう。

ピエール・ガニェールとのコラボレーションによるブラッスリーの料理より。ガンバスのリングイーネ、キングクラブのサラダ、魚のタルタル……デザートにはパヴロヴァを! 営業時間は7時30分〜23時30分。photos:Alban Couturier

ル・フーケッツは1998年からドーヴィルの有名なオテル・ル・ノルマンディなどと同じグループ、バリエールがオーナーである。ジョルジュ・サンク通り側の隣のオテル・バリエール・ル・フーケッツを開き、こちらも半年がかりの大改装を終えてブラッスリーよりほんの少し前に営業を再開した。ブラッスリー同様に、ジャック・ガルシアが室内装飾を担当。落ち着きを感じさせる1950〜60年代のシンプルな内装で、ホテルといっても自宅のように寛げる空間である。そして寛ぎの時間に大切なミニバーは、自宅気分を壊さないようにと利用は無料という粋な計らいがうれしい。地下には宿泊客だけが利用できるスパ、プール、フィットネスルームが、740平米に広がり、ここもまた自宅風内装でまとめられている。特別なパリ滞在やリトリート滞在に、上質な贅沢が待っているパリのホテルにこもるのもいいだろう。

ホテルのロビーやティールームも映画の世界だ。photos:Mariko OMURA

ジュニア・スイート。トランクスタイルの大型ミニバーが各部屋に備えられている。室内をより明るく見せているのは、ホテルには珍しくとても淡い色のカーペットだ。

宿泊客以外も利用できるホテル内のエレガントなレストランLe Joy。

Le Joyの前に広がるテラス席は、まさに都会のオアシス。

複製だが壁に名画を飾り自宅風の演出をほどこしたプール。

地下のスパに設けられたサロン。photos:Marc Berenguer

Hotel Barrière Le Fouquet’s
99, avenue des Champs Elysées
75008 Paris
tel:01-40-69-60-50
https://www.hotelsbarriere.com/fr/paris/le-fouquets.html

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