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エルスケン展で80年代の東京を知り、和食で締める!?

  • 2017.8.8
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両足を広げてローライフレックスを抱え、ウインドウに映る自分を撮影。エルスケン展の会場に入ると、聖者のように光を発している彼のこの有名なセルフポートレートに迎えられる。ジュ・ド・ポームで9月24日まで、館内の2会場を使って『Ed van der Elsken. La vie folle(エド・ヴァン・デル・エルスケン、カメラ・イン・ラヴ)』展が開催されている。祖国オランダはもちろん日本でも知られた写真家だが、意外にもフランスではさほど有名ではなく、これがフランスでの初の回顧展だそうだ。

彼のセルフポートレートも有名なら、彼が撮影したこの「鏡の前のヴァリ・マイヤーズ」(1953年 ©Ed vander Elsken/Collection Stedelijk Museum Amsterdam)も有名だ。

1952年に18歳のブリジット・バルドーを撮影(©Ed van der Elsken Estate)。パリ暮らしの後、アムステルダムに戻る。「ニューマルクト広場の双子」(1956年 ©Ed van der Elsken / Collection Stedelijk Museum Amsterdam)などを撮影。

写真エージェンシー・マグナムの現像所で職を得たことから、彼は25歳のときに故郷アムステルダムからパリにやってきた。暗室の仕事はすぐに辞めたものの、パリに留まった彼は街を歩いて過ごす。こうして、何がしたいのか、何ができるのかわからないといった状況にいるサン・ジェルマン・デ・プレにたむろする若者たちに出会い、彼らをフォト・ルポルタージュ風に撮影する。その中のひとり、ヴァリ・マイヤーズを被写体に、新しいスタイルの小説的作品集『セーヌ左岸の恋』(1956年)を発表。この成功をきっかけに、彼はその後アフリカ、アジア、アメリカ……さまざまな国に出かけて行く。写真の技術に興味をもつ彼は、新しい手法、新しいレンズなどを試し、もともとムービーカメラマンを志望していたこともあり、70年代にはフィルムの制作を始める。写真集も20冊近く出版。

パリ時代。

Jazzをテーマに大勢のミュージシャンを撮影。セットを作って撮影した珍しい写真も展示している。

Sweet Life。1959年、彼は妻とアフリカのセネガルに始まり、アメリカ(写真)で終わる旅に出た。

さまざまな映像に加え、フィルム撮影時代の習慣であるベタ焼きのセレクション作業も見ることができる。

ひとつ目の会場では、パリ、アムステルダム、アフリカ、アメリカで撮影した写真が展示されている。2つ目の会場では、癌を発病していることを知った彼がセルフポートレート的に撮影したフィルム『Bye』の映写、また彼が撮影した日本の写真の展示があり、さらにスライドショー『東京シンフォニー』を見ることができる。旅をしたさまざまな国の中で、日本と特別な関係にあった彼。東京のエネルギーを伝えたいと、浅草の祭りや築地の魚市場などで撮影だけでなく、彼は録音もしていたのだが、あいにくと病状ゆえに自身では完成に至れず。没後2010年にスライドショーは完成された。彼の目が捉えた1980年代の東京を見るのは、とりわけ若い世代の日本人には面白いのではないだろうか。

20点近い写真集を出版。

80年代に東京で撮影した写真のコーナー。電車で居眠りする日本人は、いつの時代も外国人カメラマンのレンズに収められるテーマのようだ。

エルスケンの撮影と録音から、2010年に完成された Tokyo Symphonie。魚市場、夏祭り、中核派の街頭演説、天皇陛下の誕生日参賀……。

『Ed Van Der Elsken , la vie folle』展
会期:開催中〜2017年9月24日
Jeu de Paume
1, place de la Concorde
75008 Paris
開)11:00~19:00(火〜21:00)
休)月
料金:10ユーロ
www.jeudepaume.org

これは、日本びいきのフランス人も熱心に鑑賞。さて、彼らがその後何をするかというと、美術館のカフェに行くのだ。このカフェは「HANA BENTO」といって、ランチタイムには和食弁当が、ティータイムには和菓子が楽しめる。おまけに夏はテラス席あり。さらに、ここは展覧会を見なくても、ダイレクトに行けるカフェ。これは日本人にもうれしいかも……。

Hana Bento。弁当、おにぎりなど。3~14ユーロ。

Jeu de Paumeの建物の脇のテラス席。営業は月曜を除き10時~18時(火曜〜21時)。

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