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子ども英会話教室の先生は「日本人」と「ネイティブ」どちらが良い?

  • 2017.6.15

みなさま、こんにちは! 海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。

「子どもを英会話教室に通わせようと決めたんだけど、先生はやっぱり英語ネイティブスピーカーじゃないとダメだよね!」そうお考えのママやパパはきっと多いのではないでしょうか?

でも、本当にそうなのでしょうか? 子ども英会話教室の講師は日本人が良いかネイティブが良いか? それぞれの長所と短所を冷静に考えてみましょう。

●ネイティブスピーカーのような発音を身につけてほしいという希望

子ども英会話教室や小学校の英語の時間では、ネイティブスピーカーに指導してほしい、という希望は、ママ、パパを中心に多いようです。それはなぜなのでしょうか?

どうせ英語を勉強するなら、できればネイティブスピーカーのような発音や言い回しを身につけてほしい。そのためには、英語の先生はネイティブスピーカーであるべきだ。たくさんのママやパパがそう考えていらっしゃるのだと思います。

しかし、ネイティブスピーカーのような発音を身につけるという目標設定は、日本で日本語に囲まれて暮らす日本人の子どもたちにとっては、あまり現実的ではないかもしれません。

音声の習得には、個人差があるにせよ年齢的制約があることは確かなこと のようなので、よい発音を身につけたいと思うなら、できるだけ早くから英語学習を始めるのがよいのかもしれませんが、それは膨大なインプットが得られることが前提での話なのです。過度な期待はするべきではないのかもしれません。

英語以外の言語環境において、早期に英語学習を始めても、ネイティブスピーカーのような発音にはまずならない と言われています。

イマ―ジョンプログラム(外国語で他の教科を勉強することで、その外国語の習得を目指すバイリンガル教育方法)に在籍してかなりのインプットを得ていた子どもでも、ネイティブスピーカーと同じような発音習得は困難であることのようです。

●ネイティブスピーカーの発音の定義

しかし、よく考えてみましょう。そもそも、ネイティブスピーカーの発音とはどのような発音なのでしょうか?

その定義自体も明確ではないのです。目標とすべきネイティブスピーカーの発音を具体的に規定することは難しいことなのです。

その上、現代では英語を母国語としない人同士の英語でのコミュニケーションの機会が爆発的に増加しています。

だから、特定の母語話者の発音の習得にこだわる必然性はなくなってきている のです。

定義できないネイティブの発音の習得に時間やお金、エネルギーを使うよりも、コミュニケーションがスムーズに進み、相手の人に誤解されないような聞き取りやすい発音の習得こそをめざすべきなのではないでしょうか。

むしろ発音がネイティブスピーカーと同じではないということは、モノリンガル(一言語しか話せない人)ではなく、複数言語を使いこなす能力を持つ有能な人材であるという証明でもあるのです。

●ネイティブスピーカー英語教師の長所

教室にネイティブスピーカー英語教師がいることは、子どもに英語に対する興味を持たせる、やる気を高める という点では、とても有効だと思います。

ネイティブスピーカーと英語でお話ができたという体験は、子どもたちにとってとても新鮮でインパクトのある思い出になることでしょう。

ネイティブスピーカー英語教師は、子どもたちの異文化体験や国際理解にも大きな貢献をしている と言えましょう。

●全てのネイティブスピーカーが優秀な英語教師であるとは限らない

しかし、英語教育の実証研究によれば、ネイティブスピーカー英語教師による英語習得上の効果は一般に期待されているほど大きくはないようです。なぜでしょうか?

日本に駐在するネイティブスピーカー英語教師は、指導経験の少ない(またはまったくない)人たちが多いのが現状 です。

言語を母語として話すことと、その言語の指導ができることとはまた別の問題なのです。

日本に長期に渡って滞在し、日本の英語教育に従事しようという熱意がある優秀なネイティブスピーカー英語教師の人数は、そう多くはありません。

また、良い先生に巡り合えたと喜んでいたら、帰国してしまい、新しい先生を探さなくてはならなくなった、などということが少なくないと聞きます。

●ネイティブスピーカーであるかどうかよりも、教師としての資質が大事

ネイティブスピーカーの教師からは、より多くのインプットが得られそうな気がしますよね。しかし、本当にそうでしょうか。

ネイティブスピーカーと非ネイティブスピーカーの英語教師が行った授業中の英語のインプット量を比較したある研究によると、それぞれのグループ内での個人差は大きいが、グループ間での差はなかったといいます。

つまり、英語教師がネイティブスピーカーかどうかが問題なのではなく、個々の教師の資質、能力のあるなしが問題 なのだと言えましょう。

●日本人英語教師の長所

日本人は外国語として英語を学ぶわけですから、意識して発音し、文法や言葉の仕組みなどを学んでいます。

自分も英語で苦労した経験があるので、日本人が英語を学ぶ上での問題点や苦手な点などをよく把握しています 。それが、日本人英語教師の大きな強みと言えるでしょう。

日本人の子どもが英語を学習する過程でつまずいても、その子どもに合った適切な指導で導いてくれる可能性は高いと思われます。

発音に関しても、ネイティブスピーカーからインプットを受けたか否かによる音素識別能力の差は、学齢期以降に英語学習を始めた日本人の間にはみられなかったそうです(ラーソン=ホールの研究)。

●子どもの年齢によって、ネイティブスピーカー英語教師と日本人英語教師を使いわけるのがよい

幼児期から小学校低学年くらいまではネイティブスピーカー英語教師でしっかり耳の訓練を行い、発音における口の動きを覚えさせ、外国人への抵抗もなくしておくのがよいかもしれません。

小学校高学年以上になれば、教師が日本における英語教育のプロフェッショナルであるならば、外国人か日本人かにこだわる必要はないでしょう。

もちろん、英語の先生が日本人であったとしても、ネイティブの英語を聞く機会を持つことは大切です。

英語DVDや動画サイトを視聴したり、または英語ラジオをかけ流ししたりして、ネイティブの英語を聞き続ける習慣を持ち続けましょう。

小学校高学年以上の子どもにとっては、ネイティブスピーカーから英語を学ぶというよりも、ネイティブスピーカーは学んだ英語を使ってみる相手 として位置づけるべきではないかと思います。

そういう位置づけなら、ネイティブスピーカー英語教師が実際に教室にいなくても、勇気を出して街角で会った外国人旅行者に習った英語で話しかけてみる、オンライン英会話学校でネイティブスピーカー相手に会話してみる、などのコミュニケーションの実践練習が可能だからです。

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いかがでしたでしょうか。ネイティブスピーカー教師と日本人教師の長所と短所がご理解いただけたでしょうか。

ひとりでも多くのお子様が、素晴らしい英語教師に出会え、英語が大好きになりますように。

【参考文献】
・『英語学習は早いほど良いのか』バトラー後藤裕子・著
・『5歳からでも間に合うお金をかけずにわが子をバイリンガルにする方法』平川裕貴・著

●ライター/Golden Bean(バイリンガル教育パパ)
●モデル/神山みき(れんくん)

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