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なぜ事実婚が多い?「紙切れに縛られない」フランス的結婚観

  • 2017.6.1
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6月といえばジューン・ブライド! 今月結婚式に参加する、もしくはご自身が挙式を迎える方もいるのでは? フランスには“Mariage pluvieux,mariage heureux”という言い伝えがあり、「雨の日の結婚式には幸せが降り込んでくる」と信じられています。神様が祝杯をあげて恵みの雨を降らせている、雨と一緒に天使が舞い降りてくる、雨が一生分の涙を流してくれて幸せになるなど諸説は多々あるようです。余談ですが、フランスのウェディングケーキは小さなシュークリームをタワー状にした「クロカンブッシュ」と呼ばれるケーキが伝統的だそう。 

“愛の国”フランスの結婚観は他国とは少々異なります。事実婚が多いことや離婚率が高いことは既にご存知の方も多いかと。その背景には、社会の制度の違いが大きいようです。フランスはシングルマザー・既婚者に関わらず出産・保育手当、住居手当、ベビーシッター費の免税、教育費が無償など充実した社会制度が整っています。さらに、結婚・離婚の手続きが複雑で労力もお金もかかるフランスでは、結婚するメリットを感じない人が多いのだとか。法的保障が大きく変わったのは、フランスがかつて抱えていた少子化問題を解決するため。現在の状況を見ると、法律の改正は大成功と言っていいはずです。

愛し合う二人が互いに自立しながらも助け合って生きていく。法に縛られる必要もなければ、社会に二人の関係性を証明する必要なんてない。パートナーの意思を尊重し合い愛を育むことが重要なのであって、形にこだわらないのがフランス的考え方。「大切なのは紙切れではなく愛情」と、なんとも甘〜い言葉を平気で口にするフランス人、私は好きです(笑)。

そしてフランスにはもう一つ事実婚が多い理由が。それは、PACS(パックス)という共同生活のための契約が存在することです。PACSはもともと結婚が認められていなかった同性愛者カップル向けの制度として1999年から実施され、今では男女のカップルにも浸透し年々広がりを見せています。契約・解消は結婚・離婚よりもはるかに手続きが簡単で、社会保障・優遇措置・相続の控除など、結婚同様の権利が認められ、社会的にも認知されるのです。 

しかし、人々の考え方は時代の流れとともに変化し続けるもの。以前に現地のメディアで読んだ記事によると、PACS婚の広がりや社会制度の充実には反して、フランスのミレニアル世代が結婚願望を抱く割合は多いのだそう。離婚率が最も高かった世代(40代〜60代)の両親を持つ彼らは、片親もしくは義理の親の元で育ち、自身は結婚への憧れを抱くのかもしれない、という分析をしていました。やっぱり人間は無いものねだりをしたがる生き物なのでしょうか……。

さらに、新大統領に就任したマクロン大統領は、超自由主義であるものの結婚という伝統的な婚姻関係を結んでいることが、評価されている理由の一つなんて意見もあります。

みなさんはフランスの結婚観をどう思いますか? 永遠の愛を誓う結婚よりもロマンチックさには欠けるかもしれませんが、私は事実婚かPACS婚が理想です。結婚願望なしどころか、プロポーズされると引いてしまいそうなくらい、法や他人に縛られることも、二人の関係性に名前がつくことも嫌だなぁと感じます。欲しいものは自分で手に入れたいしお金は稼げば手に入るものだから、経済的に安定するための保障である結婚は魅力的ではなく、それよりもお金では買えない才能や創造性を共有できるパートナーと人生を豊かにしたい!「君がいないと生きていけない」って言われるよりも、「君がいなくても生きてはいけるけど、君がいた方が幸せ」って言われる方が愛を感じちゃうのです(笑)。

考え方はさまざまですし、年齢によっても結婚観は変わるでしょう。自分なりの幸せの形があって、ライフスタイルも多様です。“結婚すれば幸せになれる”という神話が幻想であることにも気づき、“結婚しないと負け犬”なんて世間が煽る焦燥感からも解放され、自分なりの価値観を軸に人生を歩む方が充実感はありそう。フランスの結婚観を参考に、「そういう考え方もあるんだな」程度に知ってもらえれば嬉しいです。

 

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