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語順の違いがカギ!? 日本人が“使える英語”を習得するためのコツ

  • 2017.5.19
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みなさま、こんにちは! 海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。

日本の中学、高校で習う英語は役に立たない、という声はよく聞かれますね。その理由は何なのでしょうか。

そして、中学、高校という6年間の学習で“使える英語”を身につけるためにはどうすればいいのでしょうか。

私の体験も交えながら、お話しさせていただきます。

●100年前から続く問題

英語教育の専門家、岡倉由三郎は『英語教育』(1911年、明治44年)という書物の中で、次のように書いています。

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『長男は中学に入って英語を学ぶこと5年、次女は学校で裁縫の稽古すること同じく5年、それぞれの進歩の状況を比較すると、長男は普通の英書も読めず、簡単な英文も書けず、5年間の英語修行の成果はほとんど見られない。ところが長女は、着物も縫えるようになったし、羽織袴の仕立てもできるようになった』

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中学、高校と6年間英語を勉強するのにさっぱり英語が使い物にならない、という問題はすでに100年以上前から始まっていた のですね。

●日本語と英語は“語順”が全く違う

なぜ日本人にとって英語がこれほどまでに難しいか?

その原因は日本語と英語の“語順”が全く違うことにあるのです。

日本語と英語では、主語と述語の位置が異なります。

例えば「I (私は)cleaned (掃除した)my room(私の部屋を) in the morning(朝に)」は、「私は朝、私の部屋を掃除した」という意味です。

英語では主語のすぐ後に述語動詞が来ますが、日本語では文章の最後 に述語動詞が来ていますね。

●“日本語の語順”で考えてはだめ

英語を正確な日本語に訳そうとすると、英文を後ろから前に読む必要が出てきます。

このような読み方は“返り読み”と呼ばれますが、読むのにとても時間がかかってしまう という大きな欠点があります。

“返り読み”はリーディングだけではなく、リスニングやスピーキングにおいても大きな障害となります。

リスニングでは相手の話す英語はどんどん先に進むため、“返り読み”をする時間はありません。

日本人が英語を話すとき、反応が非常に遅いと言われがちですが、これも原因は“語順の違い”にあるのですね。

例えば、「What do you want to eat? (あなたは何を食べたいですか?)」と尋ねられたとします。

この質問に英語で答えようとすれば、「I want to eat (私は食べたい)」と主語のすぐ後に述語動詞を持ってきて、食べたい、という意思表示をしてから何を食べたいか考えればいいです。

しかし、“日本語の語順”で考える日本人はまず何を食べたいかを考えてから答えようとしてしまうために、少しの間無言になってしまい 、「この人は英語がわからないのだ」もしくは「この人は何も食べたくないのだ」と思われてしまうのです。

私もオーストラリアに赴任してしばらくはこの“英語の語順”に気付かず、レストランでもパーティでも、注文を取りに来たウェイターやウェイトレスの方々がすぐにプイとどこかに行ってしまうのを見て、何とサービスの悪い人が多い国なのだろうと憤慨していたのですが、実は私の英語に問題があったのですね(笑)。

考えがまとまるまで黙り込んでも許される日本の習慣が、多くの外国人には不可解に感じられる そうです。

英語圏の人々は、沈黙が3〜4秒続くと不安を感じ、空白を埋めるために何か言おうとするそうです。

『日本人は反応のタイミングが遅い。国際会議でも口をはさめないまま、時間が過ぎてしまう』と東京大学社会基盤学科のマイケル・ハンドフォード准教授が言ったそうですが、これらの問題も“日本語の語順”で考えてしまうからではないでしょうか。

“日本語の語順”で考えた意見を、“英語の語順”に置き換えてから話し出そうとするために、最初の一言が遅れてしまうのですね。

つまり、英語を上手に聞いたり、話したり、読んだり、書いたりしようと思えば、“英語の語順のまま”考えることに慣れる必要があるのです。

●英語の語順で考える訓練

では、どのような訓練を行えば“英語の語順のまま”聞いたり、話したり、読んだり、書いたりすることに慣れることができるのでしょうか。

文を意味や構造の切れ目に沿って数語ずつのかたまりに区切り、ひとつのかたまりを理解したうえで次に進む習慣 をつければ、英語のまま理解できるようになってきます。

例えば、「I went to the Edo River with my friends yesterday.」という文があるとします。

これを“日本語の語順”で訳すと「私は昨日私の友達と一緒に江戸川に行った」となり後ろから訳す“返り読み”になってしまいますね。

この英文を意味のかたまりごとにスラッシュ(/)で区切ってみましょう。

「I went / to the Edo River/ with my friends /yesterday.」

かたまりごとに訳してみると、「私は行った/江戸川に/私の友達と一緒に/昨日」となり、変な日本語になりますが、これが“英語の語順”なのです。

(1)文章を意味のかたまりごとにスラッシュで区切る
(2)そのかたまりごとに前から訳す
(3)英語の順番で考えながら、何度も音読する

この訓練で、“英語の語順”で聞いたり、話したり、読んだり、書いたりする能力は格段に進歩 するはずです。

日本の中学校2年生の教科書に載っている英文を引用し、例をお見せしましょう。

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『Midori City will start /a foreign language service /next April. Foreign language volunteers will help/foreign people /when they have/ language troubles /at City Hall, hospitals, and schools.』(『NEW HORIZON English Course 2』より引用)

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→「みどり市は始めるでしょう/外国語サービスを/来年の4月に。外国語ボランティアは助けるでしょう/外国人の人々を/彼らが持った時に/言葉の問題を/市役所、病院、そして学校で」

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『About 3000 foreign people live/ in Midori City. Many/ of them /don’t understand /Japanese. They cannot get/ necessary information /for their everyday lives.』(『NEW HORIZON English Course 2』より引用)

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→「約3,000人の外国人の人々が住んでいます/みどり市に。たくさんは/彼らの/理解しません/日本語を。彼らはできません得ることを/必要な情報を/彼らの毎日の生活のための」

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『The service will start/ with English, Chinese, and Korean. The city is now looking/ for volunteers.』(『NEW HORIZON English Course 2』より引用)

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→「サービスは始まるでしょう/英語、中国語、そして韓国語で。市は今見ています/ボランティアを(=ボランティアをさがしています)」

このようにかたまりごとにスラッシュで区切り、かたまりごとに訳し、英語の語順で考えながら何度も音読していると、

(1)英語で何か意見を言いたいときでも、英語の語順で言えるようになります
(2)文章をスピーディに読めるようになります
(3)相手が何が言いたいか、ポイントがわかるようになります

もちろん、基本的な文法を理解することは正確な英語を駆使するためには必要です。

そして、基本的な文法(具体的には中学校3年間分で十分 だと思われます)を理解すれば、次はこの英語の語順で考える訓練をどんどん行っていくことが日本人が英語を使える能力を高めるために不可欠だと思います。

私は、初めてオーストラリアに赴任した際には、英語は全く話せなかったのですが、この日本語と英語の語順の違いに気付いた後、『日本を語る』(株式会社日鉄ヒューマンデベロプメント・著)という日本について英語で紹介する内容の本を、この英語の語順で考える方法で何度も何度も繰り返し音読しました。

半年経ったころには自分でも驚くくらい話せるようになっていました。当時は日本経済の絶頂時で、日本に対する関心も高く、学んだ内容を実際にオーストラリア人に説明する機会も多かった ことも上達のひとつの要因だったと思います。

ちなみに、日本人が習得しやすい外国語は、韓国語、モンゴル語、そしてトルコ語だと言われています。なぜかと言うと、これらの言語は日本語と語順がほぼ同じなのですね。

語順が同じだと、極端に言えば単語を置き換えればいいわけです。

もちろん、実際にはそんなに簡単なことではありませんが、モンゴル出身のお相撲さんの話す流暢な日本語を聞くと、やはりお互いに学びやすい言語なのだろうなと思います。

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いかがでしたでしょうか。

日本人にとって英語の習得が難しい理由とその克服方法がご理解いただけたでしょうか。

ひとりでも多くの方に、“使える英語”を身につけていただけますように。

【参考文献】
・『日本人と英語 もうひとつの英語百年史』斎藤兆史・著
・『英語超入門 Newsweek Paperbacks』ニューズウィーク日本版編集部・著
・『NEW HORIZON English Course 2』笠島準一 ほか36名・著

●ライター/Golden Bean(バイリンガル教育パパ)
●モデル/倉本麻貴(和くん)、神山みき(れんくん)

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