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約200点の展示が堪能できる!「ファッションとアート」展が横浜で開催中!

  • 2017.5.10
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現在、横浜美術館で開催中の「ファッションとアート 麗しき東西交流」展。東西の交流から生み出されたファッションとアートには、私たちの生活を豊かにしてくれるヒントが隠されているかもしれません。ドレス、服飾品、工芸品、絵画、写真など総計約200点が堪能できる本展の見どころをご紹介します。

東西の交流が育んだファッションとアートの軌跡

現在、横浜美術館で開催されている「ファッションとアート 麗しき東西交流」展。艶やかなドレスや装飾品、麗しい日本画や洋画、繊細な工芸、当時の写真…日本と西洋が互いの装いをどのように受容・展開し、人々の生活や美意識にどのような影響を及ぼし、新しい美を見出していったかを辿っています。温故知新の精神でライフスタイルを豊かにする本展の見どころを展示構成に分けてご紹介します。

第1章 東西文化の交差点 YOKOHAMA

1859(安政6)年の開港以来、東西の文化や情報が行き来し、玄関口としての役割を担ってきた横浜。
外国人居留地が設けられた開港場には、気風に富んだ実業家や技術を有する職人たちが、日本各地から集まり、様々な調度品が生まれては輸出されていきました。日本独自の意匠や繊細な技術と西洋人の嗜好を融合させた、真葛焼や横浜焼などの陶磁器、芝山細工の横浜家具、羽二重のドレスなど…細部に目を凝らせば、凝らすほど、素晴らしい技術に圧倒されます。

第1章で特に注目してほしいのが、西洋に輸出された国内産の「室内着」。こちらのキルティングのガウンを手がけ、絹物商として活躍していた椎野正兵衛商店は、外国将官を通じて輸出するのが当たり前だった当時には珍しく、独自のルートから直接海外とやりとりを行い、製品を輸出していたそうです。「室内着」は半平のように気軽に羽織りやすく、寒い夜でも体を温めてくれるアイテムとして、人気を集めていたことでしょう。

そのほかに私がオススメするのは、初代 宮川香山が手がけた「高浮彫桜ニ群鳩大花瓶」です。質感さえも本物のような草花と今にも動き出しそうな鳥たち…輸出品として海外の人々の好みを研究し作られた明治工芸の職人技の頂点ともいえる作品です。この芸術作品から当時の一級品の職人たちの力量が見て取れます。

第2章 日本 洋装の受容と広がり

明治維新は人々の生活に大きな変化をもたらしました。近代国家をめざして西洋の文化を導入し、皇室や華族が洋装を取り入れ、鹿鳴館では西洋風の舞踏会や音楽会が数多く開かれました。きっと、皆さんも学生時代に歴史の授業で学んだことでしょう。

第2章では画家、版画家、写真家たちが手がけた作品から、文明開化の時代を生きる洋装スタイルを楽しむ女性たちの姿が伺えます。当時の男性は早くから軍服や制服で洋装していったことに対し、女性は大正期までは和装が主流でした。しかし、作品からも分かる通り、華やかな髪飾りや可愛いらしい指輪などのアクセサリーを用いて、気軽に和洋折衷を楽しんでいたそうです。

この章での大きな見どころは、式典で昭憲皇太后が着用した「昭憲皇太后着用大礼服」というドレスです。昭憲皇太后が初めて大礼服で臨んだ新年朝子式で着用した礼服で、長ければ長いほど位が高いとされるトレーンは3m30cmもあり、最上級の品格を表しています。鮮やかな深緑のベロア素材に、所狭しと日王刺繍の技術で菊が施されて、誰もが目を惹く素敵な仕様です。

第3章 西洋 ジャポニスムの流行

パリやロンドンの万国博覧会に日本の美術品や工芸品が出品されたことがキッカケとなり、欧米ではジャポニスムというムーブメントが巻き起こりました。着物に身を包んだ女性の姿が数多く描かれた西洋の絵画作品。そして、アシンメトリーが美しいと捉える日本の様式美を取り入れた工芸品やドレス。芸美術においてだけでなくファッション界においても日本の影響は大きく、きものにインスピレーションを得たドレスも発表されています。

私がオススメするのは、代表的なメゾンの「イヴニング・コート」です。それまでの西洋ドレスは女性的なラインを強調するような立体的なものがほとんどでしたが、こちらは着物のように肩を主軸にストンと下に落ちた直線的なラインになっています。また、ラインだけでなく漆や金箔を用いているのもポイントです。

海の向こうへの憧れはリスペクト

新しい装いを優雅にまとい、日々を工芸品で豊かに彩る、双方にとって海の向こうへの憧れはリスペクトでもあったのだと感じられます。
会期中は展覧会と関連したシンポジウムや講演会、親子で楽しめるワークショップだけでなく、他施設と連携して行われるコンサートなどの数多くのイベントが企画されています。
是非、西洋の文化を受け入れてきた横浜・みなとみらいエリアにお立ち寄りの際は、東西の交流からファッションとアートの競演を堪能してみてはいかがでしょうか。
writer / 新 麻記子 photo / 新麻記子

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