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超速報レポ! METの『Rei Kawakubo / Comme des Garçons』展、行ってきました。

  • 2017.5.3

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華やかなガラパーティが開催され、早くもNYで盛り上がりを見せるMETの展覧会「Rei Kawakubo / Comme des Garçons: Art of the In-Between 」。5月4日(木)からの一般公開に先駆け、プレビューに参加したレポートをお届け。ファッションの持つ壮大なファンタジーや可能性を間近に感じることのできるこの展覧会の全貌とは?

日本人デザイナー、史上初の快挙。

日本人デザイナーとしては史上初、そして現役デザイナーを単独でとりあげる展覧会としては1983年に開催されたイヴ・サンローランに続き2人目とのこと。

プレビューでは各国からトップジャーナリストやエディター、スタイリストなどが詰めかけ、オープン前から入口に長蛇の列ができるという熱気。会場内では熱心に作品に見入ったり、写真に収めたりする人々の輪が何重にもできていた。

キュレーターのアンドリュー・ボルトンに、今回川久保玲をとりあげた理由をきいてみた。

「ファインアートの美術館において、単独で展覧会をできるというデザイナーはごく少数しか存在しないと思います。その中で玲は過去40年以上にわたり、毎シーズン視点を変え、またオリジナリティについて追求しつづけてきた稀有な存在。今、ファッション業界で最も影響力のあるデザイナーといっていい」。

“私の服と空間は共生し、分離させることはできない”

展覧会では、1980年代から先日発表されたばかりの2017年秋冬コレクションまでの作品約140点が展示されている。「単なる回顧展的なものにしたくない」というご本人の意向もあったそうだが、ファンにとっては彼女のクリエーションのルーツを辿ることができる貴重な機会でもある。

9つのテーマに分かれた展覧会場も、彼女が美術館と共同でデザインしたそうだ。ユニークなのは、会場の壁に展示物の説明が全くないこと。その代わり、入口にリーフレットがあり、そこに会場の全体図と展示説明が全てまとめられているので、それを手引きに会場を巡っていくことになる。

「私の服と空間は共生し、分離させることはできない。それらはひとつであり、また同じでもある。同じヴィジョンやメッセージ、そして価値観を伝達する」(展覧会リーフレットより)。

どこかリチャード・セラやドナルド・ジャッドなどのミニマルアートにも通じる、それ自体がまるで大きな彫刻作品のように直線と曲線が入り混じった空間作りだ。

美醜の基準・価値を変える作品の数々。

展示は、「Absence / Presence」「Design / Not Design」「Fashion / Antifashion」「Model / Multiple」「High / Low」「Then / Now」「Self / Other」「Object / Subject」「Clothes / Not Clothes」などといったテーマに基づいてブースが作られている。天井には多くの蛍光灯が設置され、白壁を背にマネキン達がくっきりと浮かび上がるようなドラマティックな雰囲気だ。

毎シーズン発表される、これまで“見たこともないような”服たち。過剰なボリュームや装飾、服の概念を覆すシェイプや素材使い、そして美醜の基準までも変えてしまうかもしれない作品は、どれも説得力をもってこちらに語りかけ、また挑んでくるかのような迫力がある。今回ヘッドピースを制作したのは、長年ショーのヘアメイクも手がけるジュリアン・ディス。ビニールや髪、スチールなどさまざまな素材をつかったヘアはマネキンをより表情豊かに見せていた。

ファッションの可能性を間近に感じて。

アンドリューは、「どの作品もデザイナーの玲にとってはとてもパーソナルなもの。その服が作られた当時の直感や感情、そして時に怒りもこめられている。 特に現役のデザイナーのキュレーションをする場合、完璧に理解し合うというのはとても難しい。特に彼女は自分の作品を理解されようとも、理解されるために作ってもいないからね。でも、 僕はキュレーターとしては客観性をもってその服を解釈し、人々の興味を喚起することが仕事。彼女がどのように服をデザインしているか、というプロセスをキュレーションに反映させています」と解説してくれた。

まさにファッションの持つ壮大なファンタジーや可能性を間近に感じることのできる展覧会。ここ数年コスチュームインスティテュートの服飾展はいつも大人気プログラムとなっているので、早めの来場をお勧めしたい。
参照元:VOGUE JAPAN

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