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OLかけこみ法律相談所/趣味のヘアメイク、クチコミ人気で副業に…のはずが罰金刑に!?

  • 2017.5.1

男女の恋愛トラブルや会社での嫌がらせ、友だちとの金銭トラブルなど、どうしたら良いのかわからず、ひとりで抱え込んでいませんか? 周りの人には相談しづらい悩みこそ、法律のプロに相談しましょう!

◆プロ級の腕前!を友達の結婚式で発揮

わたしの友人は美容師ではないのですが、手先が器用なのかヘアメイクがプロ並みで、結婚式や何かイベントがある度にその友人にお願いしています。

最初は無料でやってもらっていたのですが、結婚式の時間によっては朝早くにお願いしたりもするので、申し訳なくなり、実際美容院に行くよりはずっと安いので、最近では少しお金を支払っています。私のクチコミで他の友人たちも、その子にお願いするようになり、その子自身も副業として引き受けているそうです。

ですが、先日ネットを見ていたら、資格なしに他人にヘアメイクをする行為は違法だという記事を読みました。

ヘアメイクだけではなく、たとえば資格を持っていなくてもそれなりに知識や技術をもっている人が、商売ではなくても行ってはいけないのでしょうか?

◆たとえ無料でも、資格がないとダメ!?

最近は、プロ並みにヘアメイクが上手だったり、豊富な美容知識・技術を持つオシャレな女性も増えましたよね。

通信学習などで取れる民間資格講座もたくさんあり、読者の方の中にも何かしらの資格を持っている方もいると思います。

でも、民間資格があっても、国家資格を取らずに行うと違法である場合があり、今回のヘアメイクも、実は違法になるケースがあるんです。

そもそも美容師法では、美容師免許がない者による美容行為は禁止されています。
違反すると30万円以下の罰金刑を受けることがあります。

「美容」とは、「パーマネントウエーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること」をいいます。

詳しく説明すると、

●通常、首から上の容姿を美しくすること
●これと一緒にマニキュア・ペディキュアをすること

を指します。

そして、社会通念上「美容を業とする」ことが禁止、つまり不特定又は多数の人を相手に繰り返し継続して美容行為をすることが規制対象となっており、その行為に対して報酬を受け取るかどうかは問題ではないとされています。

たとえば、婚礼の着付けなどに伴う化粧や結髪であっても、人体に影響のある美容行為なので、無免許で行うことはできません。

◆免許が不要なものはある?

一方、免許の不要なものは、

●俳優へのヘアメイク
→ 映画やドラマを作る仕事の一部とされる
●化粧品カウンターでの化粧
→ あくまでも化粧品の販売促進の一環とされる

などといった場合です。

ただし、今回の相談者の方の場合は、口コミで広がり、無資格で多数の人のヘアメイクを繰り返し継続して行っているので、無料でも違法の可能性があります。

美容に関しては民間資格だけではだめで、国家資格が必要な行為はほかにもあります。

たとえば…

・まつ毛エクステ→美容師免許が必要
・頭髪用のパーマ液をまつ毛に使う→薬事法違反のため

また、脱毛(医療用機器でなくても、レーザーなどのエネルギー光線毛根部分に照射し、毛乳頭、皮脂腺開口部などを破壊する行為)やアートメイクは医師免許が必要です。まつエクや脱毛、アートメイクを無資格で行って逮捕されるケースが特に多いですね。

フェイシャルエステは、内容次第なものの、容姿を整えたり美しくしたりするために化粧品などを使用する公衆衛生上、一定の知識を必要な行為をすると理容師・美容師免許が必要です。

そのほか、リフレクソロジー、ビューティーカウンセラー・コーディネーター・インストラクターに対しての免許はないですが、名称を問わず、もし施術内容が実質マッサージや医療類似行為にあたれば美容師免許が必要なので要注意です。

◆資格が必要なくても、違法行為になってしまうことも!?

現在、国家資格が必要ないものは、

●ネイル(ネイルだけ行う場合)
●風水
●ソムリエ

などがあります。

しかし、健康被害や事故の報告、消費者センターへの相談も増えているようなので、将来的に規制される可能性もあります。

なお、無資格や民間資格での施術ができる場合でも、厚労省などから衛生や安全性の確保などの指針が出ていたり、不注意や知識不足だったために、怪我などをさせてしまうと損害賠償責任を負うことも。

免許の要否にかかわらず、確かな知識と技術を身に付けることは重要です。

ヘアメイクやネイルなどは身近になり、女性の副業や趣味としても人気ですが、正確な知識を身に付けていても、気がつかない間に違法行為をしていた、ということがないようにしたいですね。

◇アディーレ法律事務所
正木 裕美(まさき ひろみ)弁護士
愛知県出身 愛知県弁護士会所属
男女トラブルをはじめ、ストーカー被害や薬物問題、ネット犯罪などの刑事事件、労働トラブルなどを得意分野として多く扱う。身内の医療過誤から弁護士の道へと進む。2012年には衆議院選挙に愛知7区より日本未来の党の公認候補として出馬し、「衆院選候補者ナンバーワン美女」とインターネットや夕刊紙で大きな話題を呼んだ。

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