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聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点【知っている人だけトクする税金術 2017 第4回】

  • 2017.4.13
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・一発でガツンと大きくトクする! 家計を元気にする税金のイロハ
・贈与税の裏事情でトクをする!? 親もママも税金対策できる “住宅購入” のコツ
・住宅ローン控除を利用できる人、利用できない人
の続きです

これまで関係ないと思っていた人に、突然ふりかかってくるのが税金の制度である。それの最たるものが「相続税」だ。

2015年4月に課税ラインが下がった相続税について、税理士の湊 義和(みなと よしかず)さんにお話を伺った。30代から親と話しあうことで、大きな「税金のおトク」を逃さないようにしよう。

© ohayou! - Fotolia.com

■首都圏の人は要注意! 相続税は誰もが払う時代に!?
2015年4月、相続税の基礎控除額(税金が免除になる境界ライン)が、これまでからほぼ6割に切り下げられた。これにより国税庁の報道発表によると、相続税を支払う人の数(課税対象者数)は、例年の2倍となった(※)。

家計が元気でいるためには、安全で確実な相続税対策を事前に検討しておく必要がある。これからは、本当は相続税がかかるのに、当事者が知らないということが、わりと起こりがちとなる。とりわけ首都圏に土地付きの実家がある人は、要注意を! ※国税庁「平成27年分の相続税の申告状況について」より

■親には聞きづらい「財産」の話、どう切り出す?
「相続税の対策をしておきましょう!」。そう言われても、親子といえども、財産についての話は、なかなか聞きづらいもの。

どうやって、親と財産について話し合いを始めたら良いのだろうか? そんな、率直な疑問を湊さんに聞いてみた。

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「親御さんには、『いままで、どんな人生を送ってきたの?』という形で話を切りだしてみてはいかがでしょうか?」(湊さん)

たとえば親の結婚記念日や、誕生日など、親兄弟と集まったときにでも、そんな話を切りだしてみてはどうかと、湊さんはアドバイスする。財産についての話しあいが進み始めたら、税理士という「税金の専門家」に中に入ってもらうことも、とても有効だ。

「私たちはお客様に、『時間を、お金で買ってください』と、お伝えしています」(湊さん)。

現実問題として、相続税対策について普通の人が一から勉強するのは時間がかかる。さらに、調べたことが「間違っていない」という保証もない。そこに多くの時間を割くのであれば、「税理士さんにサクッとポイント整理してもらうこと」にお金を払うのもアリなのではないか?

■相続税対策は、大きくわけて2つ

© beeboys - Fotolia.com

本格的な相続税対策は、この記事の中だけで十分説明するのは難しい。けれども、方向性だけでも、ここに示しておこう。

相続税対策は、大きくわけて2つある。
対策1:相続税がかかる 財産の評価を落とす
対策2:生前贈与対策 を検討する
「相続税対策というのは、何なのか?」を考え始めたときには、上記の2本柱を頭にいれておく必要がある。このうち、対策1で使える「小規模宅地の評価減の特例」は、名前だけで敬遠したくなるが、ものすごく威力がある特例だ。

■財産の評価を落とす
「小規模宅地の評価減の特例」とは

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「小規模宅地の評価減の特例」とは、自宅を相続する場合には、330m²(約100坪)まで自宅の土地は、評価額を80%少なくするというもの。

この特例がかなり使える。これまでは文字通りの「自宅(親が住んでいた家)」のみが対象だったが、最近の改正で、二世帯住宅も同居をしているという意味で自宅扱いになった。

小規模宅地の評価減の特例を受ける(税金の優遇を受ける)ためには、国が提示する「要件」を満たしていなければならない。この要件は、法律の文章だけではわかりづらい。
Q. 実家を二世帯住宅に建て替えをして住んでいます。土地の相続税評価額は5、000万円。父が亡くなって、小規模宅地の評価減の特例を使うと税金がいくら安くなりますか?
A. 1,200万円安くなります(相続税率は30%とする)
具体的な事例については、こちらの記事を参照してほしい。

■税金の計算はこうなる
「二世帯住宅。父が亡くなり、相続が発生した場合」
母と本人(パパママ)はいずれも同居しているとみなされるので、どちらが自宅を相続しても小規模宅地の評価額の減額の特例を適用でき、80%の評価減ができる。
A. 自宅の評価が下がる金額: 5、000万円 × 80% = 4,000万円
B. 相続税の減少額: 4,000万円(A)× 30%(相続税率) = 1,200万円
■相続税の本当の大きな問題は、“1回目” ではない

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ここで特筆したいのは、父のあとに母の相続が起きたとき(母が亡くなったとき)のことだ。これを、「二次相続」という。

基本、「相続税は『代』が変わるときにかける」という考え方がある。父が亡くなったときは、母が生きていれば「配偶者控除」が使える。「配偶者控除」は、ものすごく大きな税制優遇なのだ。

しかし二次相続のとき(母が亡くなり、パパママの「代」になるとき)こそが、本当は大きな問題となるのだ。

上記の例をとると、母が亡くなって、子ども(パパママ)が同居していなかった場合には、「小規模宅地の評価減の特例」が使えず、100%の相続税がかかってしまう場合があるからだ(実際には、子どもが家を購入していなければ特例が使える場合もある)。

つまり、片方の親が亡くなったときは、もう片方の相続も視野にいれての相続税対策が必要だということ。もっといえば、親の生前から二次相続の対策を考え始めておくに越したことはない。

次回は、「教育資金はおトクに贈与してもらう! パパ・ママが「親のお金」をうまく生かす方法」です。

この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。

■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書

『家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ』
湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)
湊 義和さんプロフィール
中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。


(楢戸ひかる)

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