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彼とアート鑑賞デートはいかが?銀座で23日まで開催の注目若手芸術家4人による展覧会

  • 2017.4.13
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現在、東京・銀座にあるポーラ ミュージアム アネックスでは、日本の芸術分野の専門性を高めていこうと選ばれた、35歳以下の若手芸術家たちの展覧会『ポーラ ミュージアム アネックス展2017』前期に続き、後期の「繊細と躍動」も鑑賞してきましたので、作品の見どころをご紹介します。

作品から感じることができる「繊細と躍動」

前期は「感受性と創発性」というテーマのもと、ポーラ美術館館長により選出された4人の若手芸術家たち。後期は「繊細と躍動」をテーマに選出された、鈴木ヒラクさん、中原一樹さん、秋吉風人さん、藤原絵里佳さんの作品と見どころをご紹介します。

鈴木ヒラク:未来を指し示すドローイング。

まるで宇宙の銀河を彷彿させる鈴木ヒラクさんの作品。絵と言葉の間に存在するドローイングは、かつて“描く”と“書く”を未分化していました。古代から人間は、石、洞窟の壁画、マンモスの牙に、天来のリズムを刻み、記号を発明しながら、文字や言語を生み出すことによって、常に未知なるものを世界に位置づけながら生きながらえてきました。既存の言語の概念だけで、この世界の新しい時代と空間で起こっていることを踏まえ、未来に指し示すことができるのか、離れ離れになってしまった“描く”と“書く”の彼方に明滅する光の記号を見出す、鈴木さんの挑戦を作品から感じ取ってみてください。

中原一樹:ドローイングと書の根源。

まるで楽譜を見ているような錯覚に陥ってしまう、規則的な短線で紡がれているこちらの作品。この作品の作者である中原一樹さんを魅了するものは、古代の洞窟内に残されているドローイングと書の根源だそうです。前者は当時の人々の生活に置ける思考や祈りを爆発的に擦り付けており、後者は少し冷淡に象形化しようと模索しています。どちらも同時期に同じ洞窟内で寄り添うように発展し、人の生きる営為意識と知性の痕跡を残すことにおいては、当時から現在にかけて何も変わりません。中原一樹さんの作品は行を連ねる反復行程の安定から、助走をつけた鳥のように空に軌道を描いては、また巣に戻るかのように列に戻っています。

秋吉風人:「絵画」という概念の解体と再構築。

豊かな色彩に目を奪われる秋吉風人さんの作品「naked relations」は、透明なアクリル板を支持体として、その上から透明度の高い油絵具を塗り重ねています。表も裏もない透過してしまう支持体から、本来絵画の構造上存在するキャンパスを不可視化させ、油絵具のみが視認される状況を作り出している本作。是非、こちらの作品に近づいてじっくり鑑賞してみてください。絵具の層や筆跡などから絵画の仕組みがわかってきます。

藤原絵里佳:陶芸を通して見えてくる「外」と「内」の世界。

本展覧会の参加アーティストの中で紅一点の存在でありながら、絵画と肩を並べて陶芸の作品を出展している藤原絵里佳さん。自身の制作過程において、なにもない場所に形を立ち上げていく際に、土に触れながら「外」と「内」をそれぞれ意識しているそうです。焼成することで存在が強固となり、「外」が立ち上げる時にあらわれる「内」。そして、「内」があることで再び意識される「外」。そんな藤原さんは『器は何かが生成するところである「ウツ」からはじまり、「ほか」へと向かってイメージをはらんでいる』と仰っています。それは私たちが展示室のような空間を意識した時に感覚に似ているかもしれません。1つのテーマにそって4人の作家さんが集められていますが、それぞれの作品は、まさに発想多用!四者四様!
「感受性や創造性」をテーマにした前期の展示に比べると、古代からの人間の歩みや物の原理に対する理論的な考察を躍動的に作品に込めていると感じた後期の展覧会。
今回も会場は入場無料な上に、全作品撮影OKなので、銀座へ訪れた際はぜひ気軽に足を運んでみて下さい。

writer / 新 麻記子 photo / 新麻記子

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