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『同じ文化の違う世代よりも、違う文化の同じ世代』小田明志コラム#2

  • 2017.3.1
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「JJ圏外から一言」#2

前評判が全くあてにならない!みたいなことが僕たちの生活の中ではたびたび起こるけれど、今回のアメリカ大統領選挙の結果ほど、その例にふさわしい出来事はないだろう。大多数のメディアがヒラリーの勝利を予想する中、当初は泡沫候補と思われていたトランプが、その予想を見事にひっくり返してしまったからだ。

この勝利の裏で苦汁をなめたのは、過半数がヒラリーを支持していた10代〜30代の若い有権者たちだ。アメリカでは、社会の高齢化と若者の低い投票率が原因となり、若者の意見が政治に反映されにくくなっていると聞く。選挙が終わった今も、彼らがトランプの大統領就任に対する抗議のデモを止めないのは、その理不尽に対するアピールなのかもしれない。 

そして、そんなアメリカの状況を、さらに悪化させた状態にあるのがここ日本だ。

日本は世界で最も急速に高齢化が進んでいる国であり、たとえ10〜20代の有権者全員が投票に行ったとしても、70歳以上の有権者による投票数を上回ることができない。つまり若者は、働いて税金を払っているのにもかかわらず、その使い道を決めることはできないという状況に陥っており、そんな若者に寄り添う政党もないのが現状だ。

しかし、僕はこの状況に全く失望してはいない。なぜなら、政治に見捨てられても、テクノロジーはいつだって世界中の若者の味方だからだ。

この国の政治に期待する暇なんて、本当は全くないはず

たとえば、これまで子供の教育には大きな費用がかかるのが常識で、お金がなければ勉強をすることすら許されなかったが、ネットが普及した今では、世界のあらゆる大学の授業を無料で受講できたり、格安で語学学習ができる。個人間のコミュニケーション、お金のやりとりもより簡単になり、宿泊先などの場所のシェア、車などの移動手段のシェアも可能になった。

今、僕たちが受けているテクノロジーの恩恵に比べれば、政治によって被っている不利益など大した問題ではないようにすら思えてしまう。現代の若者には、好きなだけ知識を深め、それを世界の仲間たちと分かち合う環境が揃っている。人間関係と同じで、こちらに興味を持たない人にあれこれ期待するより、自分の背中を押してくれる人を大事にした方が良い。つまり、この国の政治に期待する暇なんて、本当は全くないはず。

そして、若者がテクノロジーを使い、同じ文化の違う世代よりも、違う文化の同じ世代とつながりを深めていったとき、はじめて国も若者向けの政策を考え始めるはずだ。なぜなら、デモ行進をする若者は黙っていても国に留まり税金を払うが、テクノロジーを使って国境を越えて仕事をする若者が増えたとき、国はその存在を無視することはできないからだ。

若者にとって日本の社会システムは、ここに書いた通り理不尽で、改善の見込みすらない。だけど、それを言い訳にして自分の選択の幅を狭めるのはどんな状況よりも不幸なことだ。どんなにひどいパーティに行っても、そこに必ずちゃっかり楽しんでいる人がいるように、どう楽しむか、どう生きるかは結局自分の心の持ちようなんだと思う。自分が生きる時代を(意地でも)もっと楽しまないと!

 

小田明志
おだ・あかし 1991年生まれ、25歳。東京都出身。編集者。高校在学中、17歳の時にカルチャー雑誌『LIKTEN』を創刊。一躍話題を集める。2016年11月には、発行人兼編集長を務める、サッカー選手のでないサッカーマガジン、『OFF THEBALL 02』を発表。

Illustration/小田明志

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