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アートディレクター、平林奈緒美の“見える”オフィスの収納術。 【仕舞う美学】

  • 2017.2.25
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オフィス内の平林さんのスペース。収納箱やファイルは黒、グレイ、白で色みも統一。棚に置く書籍はインテリアとして“見せる”ものをチョイス。
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収納好きが高じて、ロフトで展開する収納シリーズ「オーガナイズ」のディレクター兼バイヤーも務めるアートディレクターの平林奈緒美さん。表参道のビルに入る平林さんの事務所PLUG-INGRAPHICもまた収納のアイデアにあふれている。

まず目にとまるのは、作業台の奥にずらっと並ぶ白い箱の棚だ。ここには進行中の仕事の資料がプロジェクトごとにまとめられている。「この箱はオリジナルで作りました。オーダーメイドの梱包用品を製作する会社に箱のサイズやディテールを伝えて作ってもらったんです。3Mのポスト・イットロールにプロジェクト名を書いて貼って使っています」。

箱のアイデアソースは、パリで出会った新聞の切り抜きを扱う店だ。A3サイズの段ボール箱に切り抜きを収納し、店内にずらっと積んでいたという。「段ボールは強度が高く、壊れにくくて便利。仕事で使うA3の紙が入り、なおかつ手を入れて紙が取れるサイズを計算して作ってもらいました。事務所の棚にも合うサイズにしています」

"隠す収納"は好きではないと言う平林さんは"見える収納"にこだわる。事務所で使用するものはスタッキング箱やファイルケース、はたまたジャム瓶などに収められ目に入る場所に置かれている。「扉付きの収納にすべて隠すというやり方もありますが、そのスタイルは好きではありません。とにかく物が多いのですぐ出せるようにしたいというのもありますが、すべて隠してしまうという考え方が貧乏くさい(笑)気がして。可動棚も嫌ですね。本のサイズに合わせて棚を調整するときりがないので、例えばA4の本が立てられる高さと決めてしまい、入らないものは横置きにすればいい。先に収納の制限やルールを作って、その範囲のなかで取捨選択すればいいし、工夫すればいいと思います」

収納道具は、仕事で訪れた旅先で見つけることが多い。「倉庫などをロケ場所に選ぶことが多いのですが、そこで見つけることが多いですね。気になるものがあると写真に撮り、後でネット検索します」。平林さんにとって、インターネットは収納道具を探すのに欠かせないツールである。最近活用しているのは、梱包素材から部品まで扱う「モノタロウ」という工具・文具などの通販サイトだ。「とにかく品数が多くて簡単には選べないほど。ここで見つけたものにデザインを加えて、『オーガナイズ』でも取り扱っています」

工業製品を収納に活用する平林さんに、特に好きなものは?と尋ねると「飾りすぎないデザインがされているドイツの製品が好きですね」という答えが返ってきた。「"いかにもデザイナーがデザインしました"という感じのしないものが好きです。デザインがまわりにたくさんあると疲れませんか?」と、昨今のインテリア・デザインブームにも疑問を呈する。「日本ではインテリアが空間の主役になっていることが多いように思えます。海外では心地よさに合わせてインテリアを選んでいる。収納も同様で、元の用途にこだわらず、自分が使いやすく好ましいと思うものを活用すればいい」

自由な発想で無色のものを選び、ちょっとしたデザインを加え収納道具にした平林さんのオフィス。機能的でセンスのよい仕事場はこうして生まれるのだ。

Key Point
1. 欲しい箱がなければ作る!サイズは、用途としまうスペースを考えて計算を。
2. 本来の用途にとらわれず幅広い選択肢の中から収納グッズをチョイスする。
3. 見える収納にすることで働きやすく。収納グッズを揃えることで統一感を。

平林奈緒美 / Naomi Hirabayashi
アートディレクター、グラフィックデザイナー。武蔵野美術大学空間演出デザイン学科卒業後、資生堂入社。ロンドンのデザインスタジオ「MadeThought」への1年間の出向を経て2004年に退社。05年よりフリー。主な仕事に(marunouchi)HOUSE、lakagu、UNITEDARROWSのアートディレクションなど。16年よりロフトで販売する収納シリーズ「Organize」のディレクションとバイイングを行う。

Photos: Junpei Kato  Text: Jun Ishida  Editors: Maki Hashida, Airi Nakano

参照元:VOGUE JAPAN

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