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落合・中井の町を色とりどりの染物で彩る3日間、「染の小道」が開催中!

  • 2017.2.24
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かつて多くの人が普段着として着物を身につけていた頃の東京は、京都・金沢と並ぶ染めの3大産地でした。中でも、神田川や妙正寺川が流れる新宿区、落合・中井から高田馬場・早稲田一帯はその中心を担っていたそう。現在、このエリアが染め物で埋めつくされる3日間だけのイベント「染の小道」が開催中です。染色工房や商店街をめぐりながら、今も息づく染の文化・伝統にふれてみませんか?

144枚もの反物が川面に架かる「川のギャラリー」

新宿から都営大江戸線で10分ほど。中井駅がある落合・中井周辺には、かつて多くの染め物屋さんがあり、川で反物を洗う姿は街の風物詩でした。今では10数軒ほどになりましたが、手描き友禅や江戸小紋、紅型など様々な染色のプロフェッショナルが集う町として健在です。

2月24日(金)〜2月26日(日)に開催される「染の小道」では、落合から中井周辺の染色工房はもちろん、商店街のおそば屋さんやカフェ、小中学校など、町のあちこちで染め物や着物をテーマにした展示やイベントが行われ、まるでギャラリー巡りのように散策ができます。

妙正寺川の川面に反物が並ぶ「川のギャラリー」では、およそ300メートルにわたり、小紋や友禅、地元の小学生などが染めた「百人染め」など様々な反物が飾られます。かつての街の姿を思い起こしてみよう。というメッセージが込められているんだそう。

町中がのれんでおめかし?「道のギャラリー」

もうひとつのメイン企画「道のギャラリー」では、100人以上の染色作家さんが参加し、この日のために制作したのれんを町中に飾ります。

染色工房はもちろん、おそば屋さん、銀行、コンビニエンスストアなど…色々なお店の入り口に、趣向を凝らしたのれんがお目見え。

のれんを飾るお店と染色作家さんの組み合わせは、毎年くじ引きによって決められます。
作家さんはお店の方と相談しながら、イメージを膨らませ、制作に臨むのだとか。

町と染をつなぐこの取り組みは、回を重ねるごとに共感を集め、今では落合・中井周辺120カ所ものお店が参加する一大イベントに発展しています。

道のギャラリーのひとつ「染の里 二葉苑」を訪れました

では、中井にはどんな染色工房があるのでしょう?
江戸小紋や江戸更紗といった型染めによる染色を手掛ける「染の里 二葉苑(そめのさと ふたばえん)」は、江戸に花開いた染色の技術を代々受け継ぐ染色工房です。

伝統的な染色では、とても緻密で気の抜けない作業が何度も何度も繰り返されます。
型紙彫りに始まり、板場(いたば)で生地に糊を置き、引き場で地染めや彩色を施した後、生地を蒸し、水で洗う…というのが主な工程です。

そして、最後に「湯のし」という生地のしわを延ばす作業を専門にする業者「湯のし屋さん」の元に送られ、ようやくひとつの反物に仕上がるんですよ。

二葉苑の四代目、小林元文さんから、川で反物を洗っていた頃の話をお聞きしました。

「川の護岸工事が始まる60年ほど前までは、周辺の染色業者にとって妙正寺川の水で反物を洗うのが日常茶飯事で、うっかり足を滑らせて反物を流してしまうこともありました。
ですが、川下の染色業者は、流れ着いた反物を見つけると、すすんで湯のしを行い反物を川上の業者に届けていました。
なぜ、よその反物にもかかわらず湯のしを行っていたのかというと…反物を届けると、お礼に川上の業者から一升の酒が届く。という習慣があったんですよ。」

中井周辺に多くの染業者が集った町の様子が目に浮かびますね。

「染の小道」期間中、二葉苑ではハガキサイズの和紙に型染めをする体験(500円)のほか、中庭ではコーヒーと2種類のふかし芋を食べてくつろげる、おいもカフェ(500円)も行われます。

また、周辺の工房では染色体験やガイドツアーなどのイベントも盛りだくさん。
最新情報やMAPは「染の小道」ウェブサイトでも入手できます。春の柔らかな日差しとともに、染の小道を歩いてみませんか?

※記事中の写真は過去開催のものを使用しています。

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