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【大人の社会科見学】老舗「澤乃井」の酒蔵へ。〜もっと日本酒が美味しくなる3つのマメ知識〜

  • 2017.2.22
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東京にある9つの造り酒屋のうちでも、300年以上続く老舗の蔵元「澤乃井(さわのい)」。ここでは歴史ある酒蔵の中を見学したり、日本酒ができるまでの工程を学べる無料の酒蔵見学が毎日行なわれています。見学の最後には利き酒も楽しめますよ。

元禄15年創業の歴史ある酒蔵を訪ねて、奥多摩へ

JR青梅線沢井駅から徒歩5分の「澤乃井」。古くから奥多摩の地酒として親しまれている「澤乃井」は、東京の青梅市にある老舗の酒蔵・小澤酒造がつくっている日本酒の銘柄のひとつです。

酒蔵がある周囲一帯は、豊かな名水が沢となって流れることから昔は沢井村と呼ばれており、その地名にちなんで「澤乃井」と命名されたのだそう。現在は1年を通して約20種類の日本酒を製造しています。

日本酒ってどうやってつくられるの? 日本酒づくりのイロハを教えてもらいました

酒蔵見学ツアーは所要45分。小澤酒造の社長をはじめ、各部署のスタッフが当番制で案内し、日本酒のつくり方をわかりやすく説明してくれます。

そもそも日本酒とは、山田錦など酒づくりに適したお米を精米して蒸し、麹と仕込み水を合わせて仕込んだものを発酵させ、漉してできるお酒。精米歩合(お米の外側を削り、残った部分の割合)や熟成度合いによって味わいが大きく異なり、その種類は実に多種多様です。

初めての日本酒におすすめの種類は?

バラエティに富んだ日本酒ですが、大まかに、長期熟成の「熟酒」(古酒など)、昔ながらの方法でつくる「醇酒」(生酛や山廃など)、お米の外側をたくさん削って仕込む「薫酒」(吟醸酒や大吟醸酒)、フレッシュな「爽酒」(生酒など)と、4つの種類に分けられます。

このうちフルーティーな味わいの薫酒や、すっきりとした軽い飲み口の爽酒が、日本酒ビギナーにおすすめだそうです。

日本酒はどんな料理に合うの?

澤乃井の酒蔵見学は、案内してくれる人の専門分野によって説明内容が変わるのもおもしろいところ。訪れた日に案内してくれた広報の吉崎さんは、もと料理人だったこともあって、お酒に合う料理やおいしいお酒の飲み方について詳しく話してくれました。

濃厚な味わいが特徴の「熟酒」には、ステーキや中華料理などのこってりした料理、コクがある「醇酒」には、味噌を使った料理や赤身の刺身など旨みが強いもの、香り高い「薫酒」には白身の刺身やフルーツ、塩味の料理、どんな料理にでも合わせやすいのが「爽酒」だと教えてもらいました。

熱燗、常温…。一番おいしい温度とは?

熱燗や冷やなど、いろいろな温度で飲めるのも日本酒の特徴ですが、お酒の温度には、それぞれ呼び名が付いているのを知ってますか?

一番熱いとびきり燗(55℃以上)から一番冷たい雪冷え(約5℃)まで、呼び名は10種類も。お酒の種類によっておいしく飲める温度があるので、上の表を参考にしてみてくださいね。

日本酒バーで「大吟醸を花冷えで」なんて注文したら、ちょっとかっこいいかも。ちなみに日本酒を飲むときには、水と一緒に飲むと悪酔いしません。日本酒と一緒に飲む水にも「和み水」という粋な呼び名が付いています。

風格ある酒蔵の中を見学

酒々小屋でのレクチャーのあとは、いよいよ酒蔵へ。創業当時から残る元禄蔵の重厚な扉を開けると、中はひんやりとして日本酒の甘い香りが漂っています。太い梁に歴史を感じる蔵にはいくつもの貯蔵タンクが。澤乃井では、昔ながらの酒造りを復活させようという試みが行なわれていて、中には樹齢300年の杉で作った桶を使い、伝統製法で仕込む特別なお酒もありました。

仕込水がおいしさの秘密

日本酒は成分の8割を水が占めるため、酒づくりにはおいしい水が欠かせません。名水処にある澤乃井では、蔵の井戸の中硬水と、4キロ離れた山奥の井戸から引く軟水の2種類を使用しています。

蔵の脇には奥行き140メートルほどの横井戸があり、秩父古成層の岩盤から湧出する岩清水が脈々と流れています。この横井戸は、およそ170年前にノミ1本で掘られたというから驚きです。

お酒にまつわる豆知識をもうひとつ

酒蔵や酒屋の軒下にマリモのような玉が吊るされていますが、どんな意味があるかご存知ですか?

これは杉玉といって、新酒ができた時に新しいものが掲げられるのだそう。月日が経つにつれて緑色から茶色に変化しますが、この杉玉の枯れ具合でお酒の熟成の頃合いを図ることができるのだとか。

こうした昔ながらの習わしからも、その奥深さがかいま見られる日本酒の世界。酒蔵見学に参加すると、日本酒がより一層おいしく感じられますよ。

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