1. トップ
  2. 恋愛
  3. 【うるおい女子の映画鑑賞】女性よりも実はロマンチック。男の“初恋話”は聞き流すが正解

【うるおい女子の映画鑑賞】女性よりも実はロマンチック。男の“初恋話”は聞き流すが正解

  • 2017.2.3
  • 3421 views

「女性」の視点で映画をみることは、たとえ生物学的に女性じゃなくても日常では出会わない感情が起動して、肌ツヤも心の健康状態もよくなるというもの! そんな視点からオススメ映画を紹介する【うるおい女子の映画鑑賞】。
第32回は、韓国で男性も巻き込んで記録的ヒットとなった映画、『建築学概論』(韓国・2012年)を紹介します。

私見ですが、日本よりも男性間でマッチョイズムが美徳とされる韓国で、この恋愛映画が彼らをも巻き込み大ヒット、当時の恋愛映画の興行成績を塗り替えてしまった理由は、テーマが「初恋」だったからだと思います。

「初恋」というテーマにアレルギー?

「初恋」という言葉は、実態以上に陳腐なイメージをもたれて気の毒な気もしますが、男性がそれを語ったとき、それはそれは陳腐に聞こえることもまた事実(偏見?)。男性にとっての初恋は、女性にとってのそれとは大きく意味合いが違うように思います。男性が、“美化”という緩衝材で何重にも包んでこころの奥底にしまい込んだ「初恋」を、取り出し、大切そうに語る姿に拒絶反応を示す女子は多いのでは?と思います。

ちなみにこの映画、日本公開時のキャッチコピーはこちら。

みんな、誰かの初恋だった――

なんとも、男性のロマンティシズムを刺激しそうな、最高なコピーではないですか! 女子の皆様!アレルギー反応もわかりますが、あえてこの映画をオススメしたいのには理由があります。

大学時代の成就しなかった初恋

ある日、建築家スンミン(オム・テウン)のもとに、「家を建てて欲しい」とひとりの女性が訪れます。彼女は、15年前、当時大学生だったスンミンの初恋相手ソヨン(ハン・ガイン)です。専攻が違ったふたりは「建築学概論」の授業を通して知り合い、お互い惹かれあう気持ちがあったものの、すれ違い、結局結ばれることのないまま別々の人生を歩んできました。

ソヨンの家を建てながら、スンミンはこれまでこころの奥底に大切にしまっておいた自身の「初恋」を取り出し、丁寧に見つめなおしていきます。若くて、臆病で、コンプレックスの塊で、だけど、無限の可能性があったあの頃の自分が顔を覗かせます。記憶は鮮明であの頃にすぐにでも戻れそうですが、15年という年月はどっしりと横たわり、過去と現在を隔てます。スンミンには婚約者がいて、じきにアメリカに移ることが決まっているのです。

(※以下ネタバレを含む)

実は、男は「初恋」を愛でる方法を心得ている

この映画を「初恋」アレルギーのある女子にもオススメしたい理由。それは、「初恋」はあくまで、たまに取り出して愛でるものであり、取り戻せるものではないということを、本当は男性のほうが心得ているというリアリティを、この映画は映しているからです。そして、淡くて甘い「初恋」を大切にしまい込んでいるのは実は「わたしかも?」とちょっとドキりとさせられるかも

ときに、女性よりもロマンティックと言われる男性ですが、大人になったスンミンが下す判断は地に足がついたもの。逆にソヨンの方が「かつて自分のことを好きだった男は今でも自分のことが好きなはず」と思っていた節があったのでは、と思うほど。いや、彼は今でもソヨンのことを好きは好きなんだろうけど、スンミンは「初恋」を「初恋」のままこの先も大切にしていきたかったのだと思います。

彼や旦那さんにも「初恋」があって、ふいにそれを垣間見てしまいジェラシーを感じることもあるかもしれません。ですが、男の「初恋話」は聞き流して吉! 実はきちんと割り切っていたりするものですから。むしろ、女が「初恋」を持ち出したときの方がやばいのかも?

大学生時代の役者ふたりがとくに素晴らしく、自然と自身の「初恋」を重ねてしまうようなやさしい恋愛映画、あるいは人生讃歌のような、一見の価値のある一本です。

text:kanacasper(カナキャスパ)

の記事をもっとみる