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ファンタジーな幕開け、ディオールのメゾン設立70周年

  • 2017.2.2
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ムッシュ・クリスチャン・ディオールが1947年にニュールックを発表してから、今年で70年。記念すべきこの年のあけぼのにふさわしく、1月23日にはディオールの新しいアーティスティック・ディレクター、マリア・グラツィア・キウリによる初めてのクチュールのショーが、ファンタジー溢れる世界を展開しました。会場は、パリ7区のロダン美術館。彫刻を左右に見つつ館内を通り抜けると、庭には灌木のラビリンス(迷宮)がしつらえてあり、まるでピーター・グリーナウェイの映画のワンシーンに迷い込んだかのようです。縦に横にと迷宮の通路を辿ってやっと敷地内に設置されたテントに着くと、そこは一面緑色!地面には芝生が敷き詰められ、壁一面は刈り込んだ灌木で覆われ、ゲスト席にはモス・グリーンのベルベットのクッションが並んでいます。また、会場中央ではビーズやリボン、タロットカードなどをまるでおみくじのようにくくりつけられたウィッシュ・ツリーが、無数の枝を広げていました。

こんな舞台を背景にショーの幕を開けたのは、ストイックながらフェミニンな、全身黒のルックでした。そしてソフトに仕立てたバージャケットと、くるぶし丈のキュロット・スカートのバリエーションの一連に続き、流れを変えたのは、白または赤のビスチェドレス、マスキュリンなオフィサースーツなど。後半は、チュールやプリーツで流れるようなラインに仕立てられ、花や星座モチーフの刺繍が施されたデリケートなドレスが次々と登場して、クレッシェンド。こんな軽やかなドレスと、スティーヴン・ジョーンズによるロマンティックなヘッドピース、そしてピーター・フィリップスによるイノセント・タッチのメイクアップをまとったモデルたちは、妖精、またはおとぎ話のヒロイン然として、灌木の合間を練り歩いたのです。

そしてショーの興奮も冷めやらぬその夜、ロダン美術館では仮面舞踏会ならぬアフター・パーティが開かれました。正門から一歩足を踏み入れると、キャンドルのライトに灯されて広がるのはレッドカーペットならぬ、グリーンカーペット。黒のマントをまとった馬丁の傍に控えているのは、一角獣に仮装した白馬!ワクワクしながら、ファサードにタロットカード風ビジュアルが投影された美術館を通り抜け、再度ラビリンスに到着すると、そこは昼間よりさらにミステリアスな雰囲気に満ちていました。各所に置かれた椅子を陣取って談笑するゲストたちは皆ドレスやタキシード姿で、それぞれに趣向を凝らしたマスクをつけています。ベニスのカーニバルのような“仮面”、スージー・スーばりのアイメイクアップ……。私はレースのリボンを目元に巻き、“マスクもどき”で来てしまったので、もっと気合を入れて準備すればよかった、とちょっと後悔。DJがウィッシュ・ツリーの周りのダンスフロアを盛り上げる一方、ゼンマイ仕掛けの人形が未来を占うアトラクションには列ができ、ゲストたちは午前3時頃までこの並外れた演出のパーティに興じていました。

 ちなみにディオール美術館では4月8日より、ムッシュ・ディオールが幼少期を過ごしたノルマンディー・グランヴィルの館が彼のクリエイションに与えた影響を探る『Dior et Granville, Aux Sources de la Légende』展を開催する予定。

ショーの演出と前半の2ルック。左上:鏡に緑の“迷宮が”写る外観。右上:ウィッシュ・ツリー。左下:バージャケットのルックとオフィサー・スーツ。右下:会場内観。Photo:Adrien Dirand

パーティの演出。左:入り口では、竹馬を履いた道化師と、一角獣がお出迎え。右上:ロダン美術館のファサードに照らし出された映像。右下:会場上方には、なんと人口の満月!photo: Dior

パーティにて。左:作家であり映画監督、そしてLUI誌の編集長でもある、フレデリック・ベグベデールと、シンガー兼女優のソーコ。右:マリア・グラツィア・キウリ。Photo: Dior

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