1. トップ
  2. 恋愛
  3. 眠る前に読みたい、色っぽくて贅沢な短編集。「ワイルドフラワーの見えない一年」を読んで。

眠る前に読みたい、色っぽくて贅沢な短編集。「ワイルドフラワーの見えない一年」を読んで。

  • 2017.1.31

こんにちは、芳麗です。

近年、小説を読む人が減っているって真実ですか?
特に20代はあまり読まない人って噂を聞いたけど……ホント?

確かに、働く大人は多忙だし、21世紀のネット社会はスピード感がありすぎて、気が急いる毎日。
“小説を味わって読む”というスローな行為とは相反します。

かくいう私も、幼少時代は本の虫だったし、だからこそ、この仕事(執筆業)につけたのですが、近頃は、すっかり、書くことに追われて、望むほどは読めていません。

でも、小説でなければ、味わえない美味しいものは数多ある。
小説が連れて行ってくれる世界が、自分という器をどれだけ潤してくれるのかは、よく知っています。

もっと読みたいし、MORE読者の皆にも読んで欲しいと(押し付けがましく)思ってしまう。

私が最近、読んでグッときて、多くの女子に勧めたいと思う小説がこちらです。

初の単行本「スタッキング可能」で、大きな注目を浴びた、松田青子さんの2年ぶりの短編小説集です。

ほんの数行から、長くとも10ページ程度の50の小さな物語が綴られています。
小説の奥行きと詩のみずみずしさを両方備えている不思議な作品。
(余談です。私は海外小説が好きなのですが、松田青子さんには、私の好きな海外の作家に近いものを感じます)

ほんの数分で読めるのに、異世界にトリップできて、なんだか感性も心も磨かれる感じ(あくまでも、感じ)。

本書には好きな物語がたくさんありますが、この連載で1つ取り上げるなら、表題作の『ワイルドフラワーの見えない一年』でしょうか。

ワイルドフラワーとは、野生の花のことであり、その一生は、市井に生きる普通の女子たる私たちになぞらえることができて、淡々とした筆致ながら心に残ります。

発想の豊かさと言葉の美しさが相まって、心を打ちぬく破壊力は抜群です。

日常の中で、こういう小説を読めることって、とても幸せなことだなぁと改めて。
私にとっては、ヨガをするときのような深い安らぎをもたらすし、誰に見せずとも、お気に入りの下着をそっと身につけるような贅沢な気持ちになれるのです。

毎晩、眠る前に読むのを習慣にしてみたら、贅沢な夜を50夜も過ごせるはずです。

芳麗センパイ教えて! 恋愛サプリ

の記事をもっとみる