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いつから始める? 3歳を境に変わる子どもの“バイリンガル教育”の違い

  • 2017.1.7
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みなさま、こんにちは! 海外生活25年続行中、国際結婚、国際子育て真っ只中のバイリンガル教育パパ、Golden Beanです。

日本では、2011年度に英語が小学校5年生から必修になりました。今後さらに英語学習の低学年化が進み、2020年にはなんと小学校3年生から英語が必修になるそうです。

「英語って、何歳から勉強し始めるべきなの? 早ければ早いほどいいの?」「あまり早くに始めると、子どもが混乱して日本語が下手になったりしないの?」など、心配は尽きませんよね。

娘を英語、日本語、中国語のトリリンガルに育てた 私が、自身の経験を交えつつお話させていただきます。

●バイリンガルへの道

バイリンガルになる道筋はさまざまです。

・家庭で小さいころから2つの言語に接する場合
・地域社会、保育園、小中学校や高校などで第二言語を習得する場合
・大人になってから外国語の授業で第二言語を学ぶ場合

などなど。

それぞれのパターンを見ていきましょう。

●幼児期のバイリンガリズムの類型

幼児期のバイリンガリズムには

(1)同時的
(2)連続的

の2種類があります。

●(1)同時バイリンガリズム(Simultaneous bilingualism)

早い段階で同時期に2つの言語を習得するケース です。

例えば、母親が子どもにある言語で話しかけ、父親が別の言語で話しかける場合には、この子どもは両方の言語を同時に習得します。

●(2)連続バイリンガリズム(Sequential bilingualism)

子どもがある言語を先に習得し、その後に第二言語を習得する場合 です。

子どもが家庭で第一言語を習得し、その後に保育園や小学校に通い、そこで第二言語を学ぶ場合などです。

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この同時バイリンガリズムと連続バイリンガリズムは、おおよそ3歳を境に分かれます 。

子どもが3歳前に2つの言語を習得した場合、『第一言語としてのバイリンガリズム』と呼ばれます。

3歳前ならば、2つの言語の習得は自然で、会話体中心のものとなります。3歳を過ぎると、習得する第二言語は学校教育による部分が多くなります。

●同時バイリンガリズムの事例

子どもをもっとも効率よくバイリンガルに育てるためには、それぞれの親が子どもに別々の言語を話すのが理想であると言われています。それは、『1人1言語(one person, one language)の原則 』と呼ばれています。

オーストラリアで英語とドイツ語を使って2人の息子をバイリンガルに育てた事例があります(Saunders,バイリンガル教育研究者、1988)。

この父親は、ドイツ語のネイティブではありませんでしたが、以前ドイツに住んだことがあり、そこでドイツ語を学び、ドイツ語には自信を持っていました。

それで、息子が生まれたときからドイツ語で話しかけ、母親は英語で話しかけたそうです。

わが家の場合は、娘が生まれたばかりのときから私は日本語で、妻は中国語で話しかけました。

娘が3歳になる前に台湾からシンガポールに転勤になり、娘を英語の幼稚園に入園させました。

つまり、娘は3歳になるまでに、毎日3か国語に接していたことになります。「混乱するんじゃないの?」と、周りの人には心配されましたが、それはなかったようです。

15歳になる今では、英語、中国語、そして日本語をほぼ完璧に話すことができます 。

●3歳までの『第一言語としてのバイリンガリズム』

3歳までの、同時バイリンガリズムの習得に関する研究では、2つの重要な点が指摘されています。

第1に、2つの言語の同時習得はひとつの言語の習得の発達順序や過程と同じであることをSwain(バイリンガル教育研究者、1972)という人が示しています。

子どもたちはまるでひとつの言語を学ぶかのように2つの言語を学んでいる のだそうです。

第2に、それと関連して、二言語併用が第一言語になる場合もあります。バイリンガルの子どもの2つの言語が、ひとつの言語体系によって支えられているという考え方です。

3歳になるまでの子どもは、数か国語に囲まれる生活でも混乱することはありません。

もし、国際結婚のご家庭の場合は、安心してパパはパパの国の言葉を、ママはママの国の言葉を生まれた赤ちゃんに話しかけてあげてください!

●3歳以後の、連続バイリンガリズム

連続バイリンガリズムとは、子どもが第一言語を習得し、それから第二言語に習熟していくような状況のことです。

McLaughlin(バイリンガル教育研究者、1984)は、3歳という年齢を同時バイリンガリズムと連続バイリンガリズムの一応の境目として用いることを提案しています。

子どもが3歳以後、第二言語に堪能になるための方法はさまざまで、唯一最良というものはありません 。

●おすすめの学習時期

第二言語を学習する年齢と、習熟に成功することとは関係があるのでしょうか?

Singleton(バイリンガル教育研究者、1989)は、その詳細な分析を、下記のようにまとめています。

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(1)第二言語学習では、必ずしも若い学習者の方が年齢が上の学習者よりも効率よく上手に第二言語を身につけるとはかぎらない。

(2)幼児期に第二言語を学ぶ子供たちのほうが、確かにそれ以降から学習を始めるよりも非常に熟達度の高いレベルに到達する傾向にある。しかし、この事実は、幼児期以降でも第二言語に十分に習熟できるという考えと矛盾しない。

(3)おおまかに言えば、言語学習の過程において、年齢に関連した大きな違いはない。年齢に関係なく、第二言語の学習者は類似した言語発達の順序を示す傾向がある。

(4)第二言語に触れる時間が長いこと(第二言語の教育を受けた時間)が第二言語の学習がうまくいくかどうかの重要な要因になる。第二言語の学習を小学校から始めてその後もずっと継続した子供は、後から第二言語の学習を始めた子供よりも高い習熟度を示す。

(5)高い動機付けがあれば、学習の開始が遅れた者でも高い語学力を身につける可能性がある。

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年齢に関係なく高い語学力を身につけることはできるが、できれば幼児期や小学校から第二言語学習を始めれば、第二言語に触れる時間が長くなるので、熟達する可能性が高くなる、ということですね。

●まとめ

バイリンガル教育についてまとめると、以下の5つになります。

(1)同時バイリンガリズムは3歳までに起こる

(2)同時バイリンガリズムにおいて、特に効率のよい方法は“1人1言語”である。それぞれの親が異なった言語を子どもに話す方法である

(3)3歳以後の連続バイリンガリズムでは学校教育や日常生活(友人、近所の人とのつきあい、テレビ、映画など)で第二言語が習得される

(4)第二言語に触れる時間が長いことが、第二言語の学習がうまくいくかの重要な要因となる。できれば幼児期、小学生のころから学習を始めれば、高い語学力を身につけることができる可能性が高くなる。

(5)教室の授業や、生活の中で言語を学習することで、どの年齢の人でもバイリンガルやマルチリンガルになる可能性が残されている

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いかがでしたか?

3歳までのバイリンガル教育と、それ以降のバイリンガル教育の違いについておわかりいただけたでしょうか。

わが家の場合は、3歳前からの“同時バイリンガリズム”環境で娘を育てましたが、小学校から英語を始める“連続バイリンガリズム”でも、高い語学能力を身につけることができるのです。

1人でも多くのお子様が英語を楽しく学び、バイリンガルになれますように!

【参考文献】
・『バイリンガル教育と第二言語習得』コリン・ベーカー(著)

●ライター/Golden Bean(バイリンガル教育パパ)
●モデル/藤本順子(風悟くん)

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