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シチュエーションがそろったら、あとは恋に落ちるだけ:よろず女子百景(7)

  • 2016.12.21
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恋愛ドラマや映画の主人公みたいな、”恋に落ちてもいい瞬間”はふいに訪れる。

■シチュエーションがそろったら、あとは恋に落ちるだけ

スクーターで30分ほど行った場所での集まりが終わって、駐輪場で帰り支度をしていたら、同じく集まりに来ていた男の子と鉢合わせた。彼もバイクに乗ってやって来ていたのだった。

「お! 原付なんだ」と彼はヘルメットをかぶりながら笑って、私も「カッコイイねバイク!」と笑って、二人きりで話すのは初めてで、二人だけで笑い合ったのも初めてだった。

帰る方角は一緒。道順が不安だと私がこぼしたら、「じゃ、オレの後について来て」と彼。・・・・・・や、優しいっ!

彼のゴツいバイクを、小さな私のスクーターが追いかける。普段に比べたらきっと、かなりゆっくりめに走ってくれているんだろう。バックミラーで後ろの私をちょこちょこ気にしてくれているのも分かる。

なんかこれって、まるで、ツーリングデートみたい!これで男女が恋に落ちなければいつ落ちるの?

・・・・・・と”恋が始まってもいいシチュエーション”に気持ちがふわふわ。

そうして。ここが二人の分かれ道、という交差点。彼は「グッドラック!」みたいに親指で合図をくれて、私も「バイバーイ!」なんて手を振って、

今度は、まるで『風の谷のナウシカ』のワンシーンみたい!

・・・・・・と頭の中ではあの雄大なテーマ曲が流れ始める中、颯爽とアクセルを切ってブルルルルルルと去って行く彼の後ろ姿を、にんまりと見送ったのだった。

いつかあの背中の後ろでドキドキ二人乗りさせてもらえることなんて、あったりしないんだろうか? 本当に恋に落ちるにはあと何が必要? 街角でばったりぶつかって彼の持ってたカフェオレが私にバシャーッで再会? なんて考えながら、多分もうとっくに恋に落ちていたのだった。(大島智衣/脚本家、エッセイ・コラムニスト)

(ハウコレ編集部)

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