1. トップ
  2. グルメ
  3. ミツコの美しい香りに誘われて、パリのゲラン本店へ。

ミツコの美しい香りに誘われて、パリのゲラン本店へ。

  • 2016.12.16
  • 3449 views

シャンゼリゼ大通り68番地。2013年に増築・改装が行われた「ラ メゾン ゲラン」では、 カルチャー&アートのイベントも実施される。来年1月7日まで、「Arita x Guerlain」展を開催中だ。日本ではすでに終了したが、ミツコ 有田焼スペシャルボトルの限定販売がパリでスタートしたことに連動しての展覧会である。

左:シャンゼリゼ大通り68番地のラ メゾン ゲラン。建物は歴史的建造物に指定されている。
右:香水のみを陳列する歴史あるブティック。大理石の壁、カウンターは1913年当時のままだ。

このボトルについて、簡単におさらいしよう。創業400年を迎えた有田焼とゲランのコラボレーションから誕生したボトルで、有田焼の絵柄の中で慶事に用いられるモチーフ「旭日」が用いられている。四方に広がる旭の光線の中に散りばめられているのは菊(長寿)、牡丹(邪気を払う)、梅(生命)、桐(格調高さ)という縁起の良い吉祥模様だ。ボトルのサイドに描かれたグリーンとピンクの小紋柄も、とても魅力的。このボトルを製作したのは、創業1804年の窯元「弥左ヱ門窯」のモダンブランド 「ARITA PORCELAIN LAB(アリタポーセリンラボ)」である。1828年創業のゲランと約200年の歴史をもつ弥左ヱ門窯は、技術のノウハウ、美の追求、ファンタジー、継承を続ける歳月という4つのポイントで通じ合う。素晴らしい出会いが、この品格溢れる美しいボトルを生み出したのだ。

左:最高のフレグランスは最高のボトルに包まれてなくてはいけない。ゲランの信念に見事に応える、ミツコ 有田焼スペシャルボトル。パリで限定販売中。350ユーロ。
右:Arita Porcelain Lab によるボトルのモチーフのインスピレーション源となった、7代目弥左ヱ門による旭日吉祥文様の皿。photo:Mariko OMURA

展示スペースで鑑賞できる60点近い有田焼は、この7代目弥左ヱ門を含めた複数の現役の作家たちの作品である。伝統技術を未来へとつなげる多彩なフォルム、表現法が美しいクリエーションの数々。展示されているのは歴史ある階段を上がったところにある、細長い鏡の間だ。歪んだような模様のある黒いメタリックな鏡で壁が覆われ、壁に設けられた複数の小さな窪みに展示されている陶器は上下左右に反射され、美しさを倍増している。特別な展示がないときは、ゲランの歴史を彩る品々がここに飾られるので、1月7日以降もがっかりすることはない。

左:鏡の間。奥の壁は、オー インペリアルのボトルのキャップを使ったピーター・マリノによる作品「無限のボトル」。
右:ミツコ 有田焼スペシャルボトルも展示。

2階の鏡の間で開催中の『Arita x Guerlain』展には、2014~2016年の間にクリエートされた有田焼が並ぶ。隈研吾とのコラボレーションによる皿も展示されている。photos:Mariko OMURA

2013年にピーター・マリノが手がけた増築・改装工事以降、まだ訪れていない人もいるだろうから、少し説明を。ここはもともとゲラン家の住まいも兼ねていた建物で、歴史的建造物に指定されている。ゲランが創業されたのはリヴォリ通りの現在オテル・ムーリスのある場所だが、1914年からラ メゾン ゲランのアドレスは、シャンゼリゼ大通り68番地と不変だ。この「美の殿堂」にビューティ インスティテュートがオープンしたのは1939年。2013年に改装を任されたピーター・マリノは、ジャン=ミシェル・フランク、クリスチャン・ベラール、ディエゴ・ジャコメッティといった当時の室内装飾界のスターたちの仕事が生かされていた空間の記憶と歴史を尊重しつつ、アートとビューティの融合をテーマに現代的な空間を作り上げた。彼が信頼するアーティスト、アルチザンなど20名近くが参加しての増築改装。例えば、香水売り場の壁に上品なゴールドの輝きを与えていているのは、リゾン・ドゥ・コーヌによるストロー・マルケトリー(寄藁細工)の魔術である。有名なビー・ボトルの肩のモチーフを描く屏風、VIPルームの壁に置かれた香水ボトルから光線が放たれているかのような壁も美しい。繊細な寄藁細工はぜひとも近くでじっくりと眺めたい。

左:最新のケアが受けられる3階のインスティテュートの入り口。1939年にジャン=ミシェル・フランクがデザインしたままの、無駄のないモダンな美空間。ここからシャンゼリゼ通りに面したオーキッドの庭園と呼ばれる応接間へと。
右:ナポレオン皇妃ユージェニーに捧げられた1852年から変わらぬオー インペリアルのビー ボトル。

左:2階のVIPルームの壁。壁にみられる職人仕事は寄藁細工。これはジャン=ミシェル・フランクがよく室内装飾に用いたもので、今はバカラ美術館となっている彼が内装を手がけたノアイユ邸の壁も寄藁細工が有名だった。
右:2階ではミツコはもちろん、ゲランのさまざまな香りを試すことができる。photos:Mariko OMURA

左:ピーター・マリノによる香りのオルガン。
右:コンテンポラリー・ゾーンにあるメークアップ品の売り場。

増築されたのは、昔からある店の左側の部分だ。68番地の歴史ある入り口からではなく、このコンテンポラリー・ゾーンから店内に入ったら、すぐに上に目を向けてみよう。7メートル高さの吹き抜けを飛び回る金色の35匹の巨大な蜂を見ることができる。アーティスト、ジェラール・ショロによるインスタレーション。空間に浮かぶ風船のようにみえるが、イノックス素材でずっしりと重いらしい。

左:増築されたコンテンポラリー・スペースの吹き抜けに飛ぶ蜂のインスタレーション。
右:レストラン入り口に飾られたクリスチャン・ベラールの作品。1939年にオープンしたインスティテュートのレセプションの壁にトロンプロイユを描いたイラストレーターだ。

この拡張部分、中程にある見事な大理石の階段を下りたところには、ル・グラン・ヴェフールのシェフを務めるギイ・マルタン監修によるレストラン&ティールームのLe 68 Guy Martinがある。メニューはゲランの香りにインスパイアされている。レストランの入り口の左右は、オー インペリアルやシャリマーといった名前の紅茶、ゲランの香水が生まれる地オルファン敷地内の養蜂場からの蜂蜜、さらにケーキ類などの販売スペースとなっている。ラ メゾン ゲランでしか扱っていない香水を買って、ここでティータイムして、さあお土産は紅茶にしようか、蜂蜜にしようか……と行く前から、あれこれと夢がふくらむ素敵な本店である。

左:テーブル・セッティングを待つレストラン。バカラのシャンデリアが輝く。
右:壁とテーブルの手描きの模様は、ベラールのスタイルにインスパイアされたもの。

左:Paris Capriceのように今は製造されてない香りも含め、香水の名をつけた7種の紅茶を販売している。各35ユーロ。
右:過去の香水のポスターを復元したポストカードはゲランの切手とともに販売され(3,50ユーロ)、その場で投函できる!! photos:Mariko OMURA

La Maison Guerlain

68, avenue des Champs –Elysées

75008 Paris

tel:01 45 62 52 57

営)10:30~20:00

休)なし

Le 68 Guy Martin

tel:01 45 62 54 10

営)12:00~23:00

休)日・月

の記事をもっとみる