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ケンゾーも好調! H&Mのデザイナーコラボ企画に迫る。

  • 2016.11.25
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毎年秋になると胸がざわつくのは、このせいだ。「H&Mのコラボコレクション発売日が迫っている!」からだ。2016年、12周年目のコラボレーションの相手はケンゾー。ウェブサイトやSNSのオフィシャルアカウントで発表済みの人気商品については、もちろん発売日(11月3日)にほぼ完売したとか。誰もが気に留めてしまうようなユニークなアイコン、カラフルでデザイン性の高いケンゾーのコレクションに寄り添った商品の数々は、どれもインパクトがある。今回から初めて導入された整理券システムにより、前乗りして凍えながら並ぶ恒例の徹夜組の姿はなくなったが、多くの“ファッション・アディクト”がH&Mに集結した。クリエイションに興味はあるが本ラインの服は高価でなかなか手が出しにくい人、デザイン性の高い服に挑戦してみたい人、これを機に人気ブランドのよさを知りたい人は、このようなスペシャルな機会にチャレンジするのがおすすめだ。

写真家ジャン=ポール・グードが手がけた、ケンゾー×H&Mのキャンペーンビジュアルより。キャンペーンのアンバサダーのひとりであるモデルのイマン。

そのH&Mのクリエイティブ・アドバイザーであるアン・ソフィー・ヨハンソンに、人気デザイナーとの取り組みについてインタビュー。KENZOクリエイティブ・ディレクター、キャロル・リムとウンベルト・レオンにも、今回のコラボレーションにかける思いを聞いた。

アン・ソフィー・ヨハンソン(H&Mクリエイティブ・アドバイザー)

「遊び心があって、フレッシュなコレクションを」

——このコラボレーションが決まった経緯は? なぜこのタイミングでケンゾーなのでしょうか?

アン・ソフィー・ヨハンソン(以下A):「この取り組みをスタートして12周年年目になるのですが、キャロルとウンベルトがデザイナーに就任したころからケンゾーは、コラボデザイナーのウィッシュリストに載っていました。ふたりがブランドにもたらしたエナジーはすごい。彼らが入ったことで、更に新しいエネルギーが加わったと思う。去年はバルマンで、グラマラスなコレクションだったので、今回は遊び心があって若々しくフレッシュなものにしました。私たちはカスタマーに驚きを与えることが大好きです。コム デ ギャルソン、ヴェルサーチなど、まったく違うタイプのブランドとコラボレーションすることで、毎回サプライズが起こるようにすることを心がけています」

アン・ソフィー・ヨハンソン

——今回のコレクションの課題は?

A:「コラボレーションのたびに常にチャレンジすることはあり、その内容は都度異なります。今回はプリントがメインのコレクションなので、同じプリントでも素材やカッティングなどによって違う見せ方をすることが難しかったです。リボンドレスは非常に手間がかかりました!」

——ケンゾーのデザイナーふたりと共通する点はどのようなところですか?

A:「私たちには多くの共通点があります。まず、カスタマーにフォーカスしているということ。加えて、クオリティと価格のバランスについて考えている。手の出しやすい価格帯の商品を揃えることや、少し高値のものについては、それだけの価値をつけるということ」

キャンペーンビジュアルより、アンバサダーの女優・活動家であるロザリオ・ドーソン。

——高田賢三氏が設立した日本発のブランド。ケンゾーとのコラボレーションについてどのように思いますか?

A:「ケンゾーが70年代にパリで初めてお店を出したことや、一般の人にも届きやすいファッションを発信していたことはとっても素晴らしい。それに、新しいデザイナーになってもその重要な部分が受け継がれていると思います」

——今回のコラボでH&Mが得られることは何だと思いますか?

A:「コラボレーションするブランド自体を構成していくと同時にカスタマーのためになるということ。12年前にカール・ラガーフェルドとのコラボを発表した時は一度きりだと思っていたのですが、みなさんに非常に気に入っていただけたので、これからもデザイナーのため、カスタマーのために続けていきたいです。それに、これは相乗効果のある素晴らしい関係だと思っています。より広い層に彼らのブランドのものを提供できるし、インスパイアすることができる。もちろん、私たちH&Mにもインスピレーションを与えてもらっています」

キャンペーンビジュアルより、アンバサダーのヒップホップ・アーティスト、チャンス・ザ・ラッパー。

——年々期待値が上がっていくコラボコレクションですが、それゆえに大変なことはありますか?

A:「12年の間にたくさんのコラボレーションをしてきたので、その経験を生かして一方では簡単になってきています。例えば、ブランドやデザイナーへアプローチすることとか。
しかし、一方では私たちの顧客にもある程度知られているようなブランドである必要もあるので、その点は考えることもありますね。でも、いまのところはウィッシュリストにたくさんのブランドやデザイナーの名前が上げられていますよ!」

アンバサダーたちのインタビュー動画も公開中。こちらは女優のクロエ・セヴィニー。

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キャロル・リム&ウンベルト・レオン

(ケンゾー クリエイティブ・ディレクター)

「スペシャルなアイテムを、実際にストリートで着てほしい」

——今回のコラボレーションについて、高田賢三氏についての想いを聞かせてください。

ウンベルト・レオン(以下U):「このコラボレーションで高田賢三氏の功績や、50年間に及ぶブランドのストーリーというものをお伝えできる機会だと思いました。これまでケンゾーのアーカイブをじっくりと掘り下げることはなかったのですが、ざまざまな発見がありました。パリにひとりで行き、素晴らしい結果を残した彼を心から尊敬しています。クリエイティブ・ディレクターに就任した時も、彼へ手紙を送りました。アジア系アメリカ人として、日本人である彼が残した功績は本当に素晴らしいものだと思っています。高田氏が好きなジャン=ポール・グードにキャンペーンやショーの演出を手掛けてもらったことについて、彼もとても喜んでくれています」

ジャン=ポール・グードによる撮影風景とインタビューもチェック!

キャロル・リム(左)とウンベルト・レオン(右)

U:「H&Mとのコラボレーションについては、とにかく新しくでユニーク、そしていままでにないものにしたかった。特に高田氏と僕らの三次元の会話になるようなものにしたいと思いました。ドレスのシルエットについては100%アーカイブを使っていて、そのなかに現在のケンゾープリントを融合させてまったく新しいものにしました。ほとんどが1970年代のアーカイブを現代風に再現したデザインになります。例えばリバーシブルのアイテムはそのまま再現したり、1972年に発表されたタイガーロゴを採用したり、アーカイブからメゾンの歴史的な背景を見せることができたと思っています」

——「H&M」との取り組みについて聞かせて下さい?

U:「僕らは新たなプラットフォームの開拓が好きです。ひとつひとつのスペシャルなアイテムをショーでもお見せすることができたので、次のステップとしてカスタマーのワードローブに加えて頂き、実際ストリートで着てもらいたい。そのスタイルがパーソナライズされることがとっても楽しいです」

キャロル・リム(以下C):「15年間ウンベルトと一緒に仕事をしているので、お互いのことはよく知っています。彼のビジョンもよく分かりますし。私たちはクリエイティブディレクターとして服のデザインもしますが、広告などマーケティングについて今回もふたりで話し合って進めました。また、LVMHグループとしてH&Mとの初の取り組みだったので、とてもエキサイティングだと感じました。

キャンペーンビジュアルより、アンバサダーの活動家・アース・ガーディアンズのリーダーであるシューテズカトル・マルティネス。

——日本人のファッションについてどう思いますか? インスピレーション受けているものはありますか?

U:「ファンションランキングは、ナンバーワンだと思いますよ(笑)!自己表現ができる素晴らしいスタイルを持っていると思います。高田氏の育った国ですし、もちろん日本のカルチャーはチェックしていますよ」

C:「日本人はクラフツマンシップや個性溢れるスタイルを持っている。食事、映画など日本文化すべてからインスピレーションを受けています。とても細やかなところは、世界のどの国にも見られないと思います」

アンバサダーであるミュージシャン・作曲家の坂本龍一のインタビュー動画。

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