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夫の銀行口座からお金が引き出せない!【夫を亡くしたとき 妻が知っておきたいお金のこと 第3回】

  • 2016.11.18
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夫が急死! まず妻がしなければいけない3つのこと

夫の葬儀でトラブル! 葬儀社の選び方と費用の目安 の続きです。

夫が突然亡くなり、混乱の中、病院の支払いや葬儀代とお金が出ていくことが続く。そんなとき、気をつけなければいけないことに「銀行口座の凍結」があると、フィナンシャル・プランナーの内藤浩介さんは話す。

© macgyverhh - Fotolia.com

■夫が亡くなり最初にする手続き

まずは書類手続きの説明をしよう。

夫が亡くなり、最初に提出しなければいけない書類が「死亡届」である。通常、死亡診断書と死亡届けは1枚の書式になっていて、死亡届に署名と押印(認め印でも可)をして提出する。この書類を提出すると、火葬許可証を受け取ることができる。

「死亡届けの提出期限は、医師から死亡診断書を受け取った日から7日以内(海外で亡くなった場合は3カ月以内)ということを覚えておいてください」(内藤さん)

●死亡届けの提出先

1)死亡地の市町村役場

2)故人の本籍地の市町村役場

3)届出人(署名・押印をした人)の現住所地の市区町村村役場

出典:『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』(内藤浩介/東洋経済新報社)より抜粋

■夫の口座が凍結!? 「葬儀代」をどうする?

「本人が死亡したあと、銀行口座が凍結され、お金が引き出せなくなる」という事実を知っているだろうか。口座が一度凍結されてしまうと、解除するまでに数週間から数ヶ月かかる場合もある。

「病院や葬儀費用の支払いは、口座が凍結されたといった、こちらの都合では待ってはくれません。可能であれば、臨終前に必要な金額を銀行から引き出しておくのも、ひとつの方法です」(内藤さん)。

なぜ口座が凍結されるのだろうか。それは、人が死亡したその瞬間から「相続」が発生し、個人の財産は法律上「相続財産」となるからだ。

■夫の財産にはプラスとマイナスがある

ここでひとつ、重大な注意がある。

「夫が亡くなった直後に、『口座が凍結されていないから(※)』と、多額の預金を引き出すのは絶対にしないでください。これをやってしまうと、相続を『単純承認』したとみなされる場合があるからです」(内藤さん)

「単純承認」とは、夫のすべての財産を相続することを意味する。財産はなにもプラスの財産だけではない。マイナスの財産、借金というのもあるのだ。

「あとになってマイナスの財産のほうが多いことがわかり、相続放棄をしたいと思っても、『単純承認』をしてしまっていると、それができなくなる場合があるのです」(内藤さん)

※口座凍結は、金融機関が新聞の死亡欄から死亡情報を得たり、窓口に来た遺族から死亡を知らされたりして行われる。役所の知らせによって実行されるわけではないので、死亡届を出したからといってすぐさま口座凍結がされないこともある。

次回は、夫が死亡した後の「生活費の計算の仕方」について取りあげます。

■今回取材にご協力いただいた内藤浩介さんの著書

『夫が亡くなったときに読むお金の話―あなたの生活を守る届出と手続き』

(内藤浩介/東洋経済新報社 本体1,400円+税)

Facebook:内藤浩介さんFacebook

(楢戸ひかる)

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