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悲しい選択の前に! 体験者が教える効果のあったイジメ撃退法

  • 2016.11.16
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こんにちは。メンタルケア関係を中心に執筆しているメンタルケア心理士の桜井涼です。

いじめを受けて自ら命を絶ってしまうという悲しい事件が、今年もたくさんニュースになりました。

いじめを受けた人は、 「自分がいるから……」「自分が存在しているから」と自分ばかりを責めてしまうようになってしまいます。

大切な命をいじめのために投げ打ってしまいたくなる気持ちは本当によくわかります。

でも、“やれるだけのことをしてみる”という選択肢を選んでほしいという気持ちが強くあります。

そのためには、大人である私たちが手を離さずにしっかり助けてあげることと、子どもの些細な様子の変化を見逃さないでいることが大切だと考えています。

●いじめは心を確実にむしばみます

いじめは、ちょっとしたきっかけから始まることが多く、いじめている側は「自分がいじめをしているという感覚がない」というおかしなことになっているのをご存じでしょうか。

ちょっとからかっただけ、ふざけていただけという軽い気持ちでいる場合が多い のです。

しかし、いじめを受けた側は心身共に傷を負うことになり、疲れ果ててしまいます。

また、「人には知られたくない、親に心配をかけたくない」という思いがあるため、口に出して言うことができなかったり、脅されていたりという場合もあるのが現状です。

そこから、不登校やリストカットなどの安心感を得るための行動に傾いてしまいます。

しかも、理由を言うのが難しいことや、思春期特有の親への反抗などさまざまなことが絡み合っているので、親からすれば「接し方が難しい」と感じることも多いでしょう。

●いじめ撃退のためにいじめ体験者が行ってきた方法

「いじめに撃退法があるのだろうか?」と思う人もいるでしょう。

いじめを受けた過去を持つ私も、撃退法については考えたことがありませんでした。

いじめられたという経験がある人たちから話を聞く中で、この子たちがどのような行動をとって、どういじめをかわしてきたのかを書きたいと思います。

●【撃退法1】鏡を見せた

当時小学4年生だったAさん(女子)は、同級生から悪口や仲間はずれ、物を隠されるという行為をされていました。

時には蹴られたり傘で叩かれたりということもあったそうです。

そのときに、相手の顔を見たらすごい形相だった そうで、それを相手に見せてやろうと思ったそうです。

その日以来、コンパクトや手鏡などを常時持ち、何か言われたりされたりするたびに鏡を相手に突きつけたそうです。

すごい形相だったことにいじめていた側も驚いたのでしょう。一瞬で動きが止まって、顔を元に戻していたと言います。

それ以来、何かされそうになるたび鏡を見せるようにして逃げるスキを作ったと話していました。

●【撃退法2】録音した

当時、中学1年からずっといじめのターゲットとなっていた男子Bくんは、いじめによってリストカットをするまでに追い詰められていました。

「もう何もかも終わりにしたい」と自殺を考えたとき、証拠を残しておこうと思い、携帯を利用して誰からいじめを受けていたのかを録音したそうです。

その際、相手の名前を呼ぶようにして、行為があったことをしっかりと記録に残した と言います。

この録音を親に聞かれたことでいじめの事実が発覚し、学校側といじめた側に突きつけることができ、最終的には転校するという選択をした そうです。

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鏡を相手に見せるという行為は一時的な撃退効果があると思われます。

自分の表情を見たときに怖い顔をしていたら、一瞬たじろぎ表情を良くしようとしますからね。

録音するというやり方はとても賢いやり方だと思います。いわゆる証拠を残すという行為ですから、いじめた側は言い逃れが絶対にできません。

このときは、録音していることを悟られないようにすることが一番の注意点になるでしょう。

●いじめ対処法

実際にいじめが起こったとき、何かできることって少ないと私は思います。

私自身(当時13歳)いじめを受けたときは、集団でしたのであっという間の出来事だったという印象が強いです。

トイレの個室に押し込められ、上から水をかけられたときもあっという間のことでした。

最初は、自分に何が起きたのかも把握できず、笑い声とびしょ濡れで寒かったということ、そして次は何をされるかわからないという恐怖心が強く襲ってきました。

集団でのいじめは、自分で撃退しようという気持ちさえも根こそぎ奪ってしまう力がある のかもしれません。

私の場合は、そのままの状態で家まで猛ダッシュで帰り、たまたま休みで自宅にいた母親に全てを話し助けてもらいました。

過去の経験、いじめの被害者から話を聞いて対策となると考えたのは、以下の5点です。

・いじめが起こっている状態を録音する

・ケガの写真、SNSでの悪口など全て記録する(日付がわかるように)

・いつ、誰に、どこで、何をされたかを日記などメモ程度でいいので書いておく

・一人にならない(できるだけ大人や先生といる)

・親やスクールカウンセラー、いじめ対策本部など信頼できる人と話をする

自分の子どもがいじめを受けているかもと思った時点で、2人きりで話ができる環境を作り話し合いましょう。

そして、子どもを助けるための準備をします。

証拠を残しておくことで加害者に突きつけることができますし、学校側も動きやすくなります。

また、警察に被害届を出す ことだってできるので、自分を守ることにつながります。

また、一人になってしまうと恐怖が襲ってきますし、不安や良くない考えを張り巡らして自分を追い込んでしまうことになります。

そして、いじめの度合いがエスカレートすることにもなります。

先生に授業の質問を投げかけ職員室まで一緒に行ったり、保健室に行ったりするなどして、できるだけいじめの加害者たちが手を出しにくいようにすることを子どもに話しましょう。

いじめは一人で何とかできるものではありません(いじめの対象が自分から移れば別ですが……)。

大人に勇気を持ってSOSを出すことが、自分を救い出すことのできる第一歩だということを話してあげてほしいです。

●おわりに

いじめは本当に怖いものです。加害者が優等生や先生のお気に入りと呼ばれるような子たちであることが往々にしてあるからです。

そのため、自分の言っていることを信じてもらえないなんてつらい思いをしている子がたくさんいます。

そのつらい思いを一人で抱えないでもらいたいと心から思っています。

いじめから子どもを守るためには、子どもが発信している何らかのSOS をしっかり受け止めることが本当に大切です。

撃退することは難しいと思っても、対処することはできます。

だから、命を絶つことを選ぶような悲しい思いは、絶対にさせないようにしなければならないと願っています。

【参考文献】

・『図解でわかる心理学のすべて』深堀元文・著

●ライター/桜井涼(メンタルケア心理士)

●モデル/KUMI(陸人くん、花音ちゃん)

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