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医療用って存在する?薬剤師が伝える「大麻」の実態とは

  • 2016.11.13
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皆様もご存知かと思いますが、今年に入って、有名人の方々が薬物乱用により逮捕されるという事件が続いています。

記憶に新しいところでは、6月15日に、元俳優で会社役員の男性が覚せい剤取締法違反と大麻取締法違反の罪で起訴されましたが、つい先日、平成28年10月25日には、大麻取締法違反(所持)の現行犯で、沖縄県石垣市在住の元女優が逮捕されるという報道がされています。

今回、逮捕された元女優は、医療用大麻の合法化などを訴え、今年7月の参院選に出馬し、落選してたという経緯がありますが、大麻の安全性や医療用大麻については定期的に話題になります。そこで薬剤師の筆者が、大麻の導入の影響について考えられることをお伝えします。

 

■大麻の安全性について

大麻についてよく言われるのがアルコールやタバコと比較して依存性が低いということです。確かに、依存性についてはそういったデータがあるようです。

また、急性中毒による致死率が低いことも知られています。ですが、薬物や嗜好品の安全性を決めるのは依存性や急性毒性だけではありません。

大麻はテトラヒドロカンナビロール(THC)と呼ばれる物質を含みます。このTHCは脳の細胞に作用し、多幸感、感覚過敏、酩酊感などの症状を引き起こします。大麻というと乾燥させたものをタバコのように吸う方法で摂取することが多いことからタバコに近いイメージがあるかもしれませんが、作用としてはどちらかというとお酒に近いイメージかもしれません。

実際、アルコールに次ぐ、交通事故の原因となっています。

アメリカなどでは大麻の合法化により犯罪率が低下したというデータもありますが、元々、違法でありながらも大麻が広く使用されていたという環境なので、日本のように大麻がほとんど使用されていない条件には当てはまらないのではないかと思います。

 

■医療用大麻は存在する?

実際に、海外では大麻が医療用医薬品として使用されています。また、大麻には様々な医療効果があるいうことが知られています。

ですが、これらの効果についての研究結果を見ても、現時点では、他の医薬品と比較して優れているというレベルではありません。

また、医療用大麻というと、通常とは異なる安全性の高い大麻のように聞こえますが、通常の大麻と変わりはありません。大麻を医薬品にする場合、そのまま使用するか、有効成分のみを抽出して医薬品として加工するかです。

大麻を導入するために必要な法的整備やコスト、さらに社会の中で起きる様々な変化を考えた時にデメリットの方が大きいため、現実的ではないと考えられます。

【参考】

大麻所持の疑いで高樹沙耶容疑者を逮捕 自宅からパイプなど押収も「私のものではない」 – SankeiBiz

【筆者略歴】

※ ペンギン薬剤師・・・調剤薬局で勤務する薬剤師。患者さんや医療従事者と接するだけでなく、学会発表、大学や専門学校での講師、市民講座、研修講師などを経験。薬や健康のことを正確に知ってもらい、薬と上手に付き合ってもらえるようブログでも精力的に発信中。

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※VGstockstudio / shutterstock

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