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自主的に学ぶ子は、こうやってできる【『みんなの学校』流 親子関係のつくり方 第5回】

  • 2016.11.11

トラブル発生、親としてわが子にどう向き合うか

「間違ったらやり直せばいい」と、親が言えるか?

「怒られずに済んだ」という成功体験をつくらない

大人は正解を言ってはいけない の続きです。

「相手に謝ることを目的とする生活指導で問題解決をしようとするから、『いじめた子』『いじめられた子』、その両者が安心できる学びの場が奪われていくわけよ」と、木村先生。

でも、わが子がお友達をいじめてしまった場合、とても、とても、そんな気持ちにはなれない。それはつまり、親がわが子に向き会えていないということなのだろうか。

© Olesia Bilkei - Fotolia.com

■スーツケースに入れるのではなく風呂敷に包む

―― 親が「わが子に向き会えてないな」と思ったら、どうしたらよいでしょう?

木村先生(以下、木村):「どうして正直に言えないの! そんな育て方をしてないよ!」ではなくて、「この子が正直に何かを言うには、自分はどんな親になるべきなんやろう?」と考えるのがいいです。

子どもが怯えずに何でも言える、何を聞いても怒らない、子どもをゆったりと包む、風呂敷のような親になるべきです。でもスーツケースやねん。今の親たちは。

―― スーツケース?

木村:スーツケースっていうのは、スーツケースの中にしか自分の大人としての正解がない状態です。その中に子どもが入られへんかったら、自分が安心できない。

でも、風呂敷だったら、端っこに子どもがコロっとくれば包んであげられるでしょ? その子が風呂敷の中に入ろうとするのは可能でしょ?

―― 親は風呂敷になれと。

木村:スーツケースと風呂敷って理屈じゃなく、イメージで伝わるはず。それだけのことです。「どうする?」と言って、「どうしたらいいかな? わからん」って子どもが言ったときに初めて、「じゃあさ、自分はどうしたい?」と聞く。

たとえば、「自分はどうしたい?」と聞いたら、「怒られたくない」という子がいた場合、ベテランの教員でも「怒られたくない」という子に対して「だって、自分で悪いことしてしまったんだから、怒られたって仕方ないやん」と諭すでしょう。

■自主的に学ぶ子は、こうやってできる

―― たしかに言ってしまいますね。

木村:でも、子どもは「怒られたくない」って言うてる訳でしょ? それは怒られることを拒否しているんやわ。そしたら文字どおり、怒られない子になったらいいのよ。

―― え? どういう意味ですか?

木村:「本当に悪いことしました」って本気で反省している子どもに、怒る大人はアホや。

「怒られたくない」って子どもが言うたら、「オッケー、そしたら怒られないようにする作戦、考えようぜ」と。そんなん、簡単なんです。子どもと私が乗った電車が一緒なんだから。「怒られたくない駅」に到着する電車に一緒に乗るだけです。

―― えーっと、思考がついていきません…。

木村:難しいことじゃない、簡単なことよ?

「怒られたくないなら、どうする?」って言うたら、「俺、あの子に謝るわ」って、ほとんどの子が言います。だって謝らなかったら怒られるって、ほとんどの子は知っている。謝ったら怒られない。だから「怒られない作戦」を立てるとなると、子どもは自ら「自分が怒られない」という目的に向かう訳でしょ?

子どもが嘘をついている原因は、怒られたくないから。怒られないように嘘をつく。でも、怒られたくないなら、そのための手段は嘘をつく以外にいっぱいあります。それを考えて、子どもは自分で動きます。これが、自主的に学ぶ子ということです。

―― 道筋を説明してもらえれば、わかりますね。…と思いつつ、何かモヤモヤしますが。

木村:納得の話でしょ? 親が自分の子どもを見ようとしていないだけだと思いますよ。

■今回取材にご協力いただいた木村泰子先生の著書

『大人がいつも子どもに寄り添い、子どもに学ぶ!

「みんなの学校」流 自ら学ぶ子の育て方』

(木村泰子・著/小学館 本体1,500円+税)

(楢戸ひかる)

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