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婚活ストーリー「とにかく結婚したかった 36歳・佳代の話」#第3話

  • 2016.10.28
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26歳からの10年間、必死に婚活を頑張ってきた佳代。現在36歳となり、最近結婚を考えはじめた後輩の貴子に自身の婚活体験記を語るストーリー。

 

■登場人物:

加藤佳代:36歳女性。これまで製造業メーカーや人材系企業、大手ネット企業へと転職しながら営業職としてキャリアを築いてきた。26歳から36歳まで、体当たりの婚活をしてきた婚活経験者。

佐藤貴子:佳代の人材系企業時代の後輩で現在30歳。そろそろ結婚を考えているが相手はいない。

 

■これまでのあらすじ

前回のお話。佳代は当時ブームになりつつあった街コンやネット婚活で男性たちと出会うものの、継続的なお付き合いには至らずにいた。今回は佳代が32歳になった時のお話。30代に突入し、そろそろ結婚に焦り始めた佳代がとった行動は……。

第1話 : 婚活ストーリー「とにかく結婚したかった 36歳・佳代の話」#第1話

第2話 : 婚活ストーリー「とにかく結婚したかった 36歳・佳代の話」#第2話

 

■佳代32歳。2回目の転職を決めた理由

すでに時計は0時をとっくに過ぎている。神楽坂のバーで貴子と2人。昔から終電を逃したら2人でよく行っていたバーだ。もうここまで来たら今日すべて話してしまおうと思う。とりあえず最初は2人ともシングルでウイスキーを注文する。

「じゃあ、ここからはわたしが32歳の頃の話ね」

「その前に、先輩にずっと聞きたかったんですけど……どうして転職したんですか? 先輩が辞めたのって結構、突然でしたよね」

「うん……実はその頃、転職エージェントから声がかかってね。やっぱり前の男と同じ部署にいるのも気まずいし、結局あの男より出世することはないって思ったら、仕事に急にやる気がなくなっちゃって。それで当時ケータイゲームで一発当てたっていう大手ウェブベンチャーの新規事業に転職することにしたの」

「じゃあ、婚活もしばらくストップしてたんですか」

「それが問題だったんだけど。その頃もう30歳を過ぎてたから、もういい加減やばいとは思っててね。もう一回婚活しようと思って、facebookの婚活アプリを始めたの」

 

■“facebookで出会える”は本当か?

「『omiai』や『ペアーズ』みたいなアプリですよね。よく広告を見かけるんですけど、あれって出会えるんですか!?」

貴子が興奮気味に聞いてくる。

「仕組みはどこでも大体同じなんだけど、登録している人に『いいね!』みたいなボタンを押して、相手も押してくれたらマッチングが成立して、メールのやり取りをしていく、みたいな感じ。登録している人が多いから結構出会える数は多かったわ」

「でも、facebookのアプリって前に先輩がやっていた婚活サイトよりは本気度が低いような気もしますけど」

「そうなの。だからあまりやる気がない人も結構多かったわね。でも、当時転職したばかりだったからめちゃくちゃ忙しかったの。だから婚活サイトみたいなのはちょっとムリだったから、ちょうどよかったんだよね」

「じゃあ、そこではいい人と出会えたんですか?」

「それがね。結局会ったのは28歳で『弁護士目指してる』とかいって仕事しながら専門学校通ってる男なんだけど」

 

■「オレ、弁護士目指してる」けど、i-tunesカードが買えない問題

もうすぐグラスは空になりそうだ。でも、話は熱気を帯びてきている。

「なんか、20代だったら絶対選ばなさそうな男ですよね」

「そうなのよ。多分、選ばなかったと思う。でもそのときは年下だし、自分が彼を応援すればいいって思っちゃったんだよね。今から思えばそのときの自分を殴りたいけど」

「その男、ちゃんと学校通ってました?」

もう酔っているはずなのに的確にツッコミを入れてくる貴子。

「通ってなかった」

一呼吸おいてわたしは言葉を続ける。

「通ってなくて、土日も全然勉強してなくてね。“友達”としょっちゅう遊びに行ってた。でも2人でいるときには、結構夢を語るの。それにつられてわたしもついつい飲み代とか出しちゃってて。結局1年ぐらい付き合っていたんだけど、泊りがけで旅行に行ったときに」

「なんだか、すごくカップルっぽいですね」

「珍しく彼が車を出してくれて2人で箱根に行ったんだけど、その途中のコンビニで『i-tunesカード買いたいからお金ちょうだい』って言いだして」

「あの、コンビニとかでよくおいてあるやつですよね」

「そう。で、なんだか一気に気持ちが覚めてしまって……結局、別れることにしたの。箱根の宿に着いて彼がお風呂に行くって言ったから、『別れる』って一言書置きして、そのまま置いて帰ってきたの」

「電話とかなかったですか?」

「すぐ着信拒否にしたからわからないけど、メールは100通ぐらいきたわね」

その後、職場にまでおしかけてきた彼と別れるため、私は職を変え、住所も変えることになったのだが、それはまた次の話。30歳を過ぎて、わたしの婚活はいよいよ迷走し始めた。

【筆者略歴】

※ 婚活ライター清志郎・・・自身も様々な婚活を経験し、傷だらけになりながらも結婚に至った婚活ライター。男女の気持ちの両方に寄り添える視点と、実際の体験談をもとにしたリアリティのある記事に定評がある。

【画像】

※ Jacob Lund / Shutterstock

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