1. トップ
  2. 恋愛
  3. ダイエットのプレッシャーが、もっとあなたを太らせる?

ダイエットのプレッシャーが、もっとあなたを太らせる?

  • 2016.10.24
  • 12175 views


自分の外見がとても気になり始める思春期。特に太ってもいないのに、ダイエットをしたことがある、という人も少なくないのでは?


今回コスモポリタン アメリカ版からお届けするのは、かつて自身も過剰なダイエットから摂食障害に陥った経験のある神経科学者、サンドラ・オーモットさんが語る、ダイエットのプレッシャーと肥満についての、意外だけど納得の関係。

太っているときは、体を見ないようにして服で隠しました。痩せているときは自信が湧いてきたけれど、お腹を空かせていました。どちらにしても、自分の体重について敏感になっていたと思います。​


「何年も前、私はある友人夫婦がとても可愛がっている10代の娘さんに会いに行きました。彼女は思春期を境に体重が増え続けていて、ご両親はどうしたらいいのか途方に暮れていたのです。彼らは娘に食事量の調節や運動をすすめました。特別なメニューも作ってあげました。でも、何をしても、痩せっぽちの子どもだった彼女が、どんどんふくよかになっていくのを止めることはできませんでした。ほかの家族は常に痩せ型だったので、ご両親は彼女の体重増加が何らかの疾患によるものか(実際はそうではなかったのですが…)、あるいは単にそういう体型に生まれたというだけなのか、考えてみることさえしなかったのです。


神経科学者として、私は彼女のご両親の善意による心配が、この問題をこじらせているのだとわかりました。彼女は家族と一緒に食事をとりたがらず、共に食事をしたときはほとんど何も食べなかったそうです。でも父親によると、夜の間に食べ物が冷蔵庫から消えていたそうで、彼女の体重は増え続けました。彼女は摂食障害に陥っていることがうかがえました。


私もかつて同じことを経験したので、彼女の葛藤が理解できました。不器用で自意識過剰(実際の見た目は普通なのですが)な若者だったころ、私は自分がうまく世間に溶け込むには、体のほぼすべてを変える必要があると思い込んでいました。


13歳のとき、母が私に体重に気をつけるように言ったので、最初のダイエットをしました。新聞配達で貯めたお金でサラダとメロンを買い、地下室に置いておきました。他の人が食べているものを見て、誘惑されないようにです。どうやって1日800キロカロリーという目標を設定したのか覚えていませんが、雑誌か、学校の誰かから聞いたのでしょう。もちろん、私はそれが体に必要なエネルギーの半分に満たないことも、(無茶なダイエットをすると)体重を元に戻そうとする脳の働きについても知りませんでした。


10代と20代の頃は、リバウンドしては、毎年5kgから7kgぐらい落とすことを繰り返していました。友達の多くが同じことをしていて、ダイエットは女性が必ずするもの、くらいに思っていました。太っているときは、体を見ないようにして服で隠しました。痩せているときは自信が湧いてきたけれど、お腹を空かせていました。どちらにしても、自分の体重について敏感になっていたと思います。


たび重なるダイエットは、ついに悪い結果をおよぼしました。ストレスの多かった20代の中頃、過食が始まったのです。眠れないとき、大体夜中の3時に、私は大容量のアイスクリームを食べ尽くすか、クラッカー 一箱をバターを塗りながら平らげました。吐いても、また食べ続けるのです。その年は1年で9㎏太りましたが、ストレスが減ると自然に過食を止めることができたのは幸いでした。


痩せなくてはいけないというプレッシャーは、子どもたちに強い影響を与えます。ご両親が意図したものとは違う方向で。体重を気にかけ、ダイエット歴があり、家族の中に子どもが太っていることをからかう人がいた場合、将来体重が増えて摂食障害に陥る可能性があります。長期間にわたる研究<プロジェクトEAT>によると、(元々肥満だったかどうかにかかわらず)ダイエットを繰り返し、家族に体重のことを笑われた経験のある女の子は、そういった経験がない子たちに比べて、その後10年の間に体重が2倍に増えるそうです。もう1つの研究によれば、思春期の始めの頃に頻繁にダイエットをした女の子たちは、その後2年間のうちに、標準体重から"太りすぎ"になる可能性がほぼ5倍に上がるそうです。また、ノルウェーでも、『自分の体重は適正』と感じていたティーンエージャーたちに比べ、『自分たちは太っている』という思い込みのあったティーンエージャーたちは、その後の11年間で体重がより増えました。そして、9歳の女の子が両親からダイエットするようアドバイスされた場合、実際にダイエットを行った子たちには、15歳の時点でかなりの体重増加が見られるようです。


これらの研究は、体重についてからかわれることと度重なるダイエットが、過食のリスクを高めていることも示しています。また、全体的に見て、ダイエッターの35%が病的なダイエットに陥っており、さらにそのうちの20~25%が摂食障害を発症しています。こうした背景から、将来の摂食障害を未然に防ぐため、エリック・スタイス博士らが立ち上げたのが<ボディ・プロジェクト>です。ティーンエージャーたちに「痩せている」ことは本当に重要なのかを考えてもらうことで、意識改革を行っています。驚くのは、順序立てて考えるうちに、彼女たちがそれまで信じていたことを疑い始めることです。つまり、痩せることはそれほど重要ではないと考えるようになり、自分自身について、自分で判断できるようになるのです。


このプログラムは実に効果的です。プログラム参加者たちの3年後の摂食障害発症リスクは、同じように自分の体型に不満を持つ高校生たちに比べ、60%も低かったという調査結果が出ています。また、効果は落ちるものの、オンラインバージョンのプログラムでも摂食障害リスクは減少しており、痩せることへのプレッシャーが、長い目で見ると摂食障害や体重増加の可能性を高めていることがわかります。


いいセラピストのおかげで、友人のお嬢さんは規則正しい運動と食事制限なしの健康的な食生活を実践するようになり、食べものと良い関係を持ちながら、体重を一定に保てるようになりました。彼女のご両親も彼女の体について心配しなくなりました。もし私たちがみんなこれを実践すれば、きっとより健康的に、そして幸せになれるはずです」


※この翻訳は抄訳です。


Translation:mayuko akimoto


COSMOPOLITAN US


の記事をもっとみる