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不倫にはならない? “パパ活”をする夫と離婚できる可能性と法的問題点

  • 2016.10.16
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【ママからのご相談】

先日テレビを見ていたら、“パパ活”というものがはやっているという特集をやっていました。

女性がパトロンを探し、いわゆる愛人契約のようなものを結んで男性から毎月お金をもらうことをパパ活といい、 特徴は肉体関係がないことだそうです。

そんなことをテレビで特集しているのにも驚いたのですが、もっと驚いたのは「肉体関係がないから不倫ではない」と言っていたことです。

そんなことをする人ではありませんが、もしも私の夫がパパ活と称して他の女性に毎月お金を渡していたとしたら、私としては絶対に許せないのですが、不倫でないのであれば離婚はできないのでしょうか?

●A. 肉体関係がなくても離婚できる可能性はあります

ご相談ありがとうございます。アディーレ法律事務所弁護士の篠田恵里香です。

今回ご相談のケース、肉体関係がなく不倫とは認められないケースでも、離婚原因になる可能性はあります。

●肉体関係がないと不倫ではない?

法律上の離婚原因とされる“不倫”は、法的には「不貞行為」と言います。

法律上の離婚原因は、民法770条1項に列挙されていますが、1項1号にはズバリ「不貞行為があったこと」が離婚原因として規定されています。

不貞行為は、「既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つこと」 とされています。

このような不貞行為があれば、法律上の離婚原因がありますので裁判上も離婚が認められる可能性が高くなります。

肉体関係がない場合には不貞行為には当たりませんので、民法770条1項1号を理由に離婚を請求することは難しいことになります。

また、“不貞行為”があった場合、仮に夫婦が離婚しなくとも夫や不倫相手に慰謝料請求ができるとされています。

これは「円満な夫婦関係に亀裂を生じさせた」ことが不法行為(民法709条)と評価され、これに基づく損害賠償が可能と考えられるからです。

逆に、肉体関係がない男女の交際関係については、これによっていかに妻が嫌な思いをしようとも、夫婦が離婚するに至らない以上は、基本的に慰謝料請求は難しい と言えます。

過去に大阪地裁で、“肉体関係のない男女の関係”があり、“夫婦も離婚に至らなかったケース”で慰謝料40万円を認めた判決がありましたが、これは極めて異例な判決であり一般化するとはあまり考えられないでしょう。

●“パパ活”を理由に離婚ができる可能性

“パパ活”は相手女性と肉体関係がないことが前提ですので、法律上の離婚原因となる“不貞行為”には当たりません。

しかし、パパ活について「婚姻を継続しがたい重大な事由」と評価される場合には、民法770条1項5号を根拠に離婚が認められる可能性があります。

婚姻を継続しがたい重大な事由についてはさまざまな事由が考えられますが、「さすがにそんな状況では夫婦関係継続は無理だよね」と言えるような事由 が必要です。

たとえば、DVやモラハラ(精神的虐待)、性交渉拒否などは典型例ですが、別居期間が長期に渡るような場合もこの事由の判断要素となります。

女性に夢中で家庭をかえりみない、家計が苦しくなるほどお金を渡している、やめてほしいと何度言っても聞いてくれない、といった事情があれば、「肉体関係はなくとも、そんな女性との交際関係は夫婦関係に大きな亀裂を生じさるものとして許されない」と判断される可能性は高いです。

その場合、「婚姻を継続しがたい事由がある」として離婚が認められ、かつ“離婚の原因を作った男女ふたり”に対して 慰謝料請求も認められる可能性が高いです。

●パパ活の法的問題は?

パパ活は、基本的には肉体関係をお金で買う“売春”には当たりません。

未成年と性的関係を持つと青少年保護育成条例違反となりますが、性的関係等がなければ同条例違反にも当たりません。

したがって、パパ活自体が法的に規制されているということにはなりません 。

ただし、女性にお金をつぎ込んで遊んでいること自体、夫婦間に亀裂を生じさせる行為として不法行為となり得ますし、夜間に未成年を連れ出すような行為は条例違反に発展する可能性もありえます。

こちらが罪を犯していなくても、逆に相手の女性に騙されたというトラブルに巻き込まれる可能性も少なくありません。

●まとめ

このように、パパ活については法的にズバリ犯罪となるわけではありません。

しかし、奥さんが嫌な思いをするのは当然ですし、場合によっては大きな法的問題に発展する可能性もあります。

ご主人はそんなことをする人ではないということなので一安心ですが、肉体関係がないからといってイコール離婚できないということではありません。

万が一の場合は離婚できる可能性は十分にありますので、我慢せずきちんと話し合い、解決の糸口を探しましょう。

●ライター/篠田恵里香(アディーレ法律事務所:東京弁護士会所属)

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