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婚活ストーリー「とにかく結婚したかった 36歳・佳代の話」#第1話

  • 2016.9.20
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26歳からの10年間、必死に婚活を頑張ってきた佳代。現在36歳となり、最近結婚を考えはじめた後輩の貴子に自身の婚活体験記を語るストーリー。

 

■登場人物:

加藤佳代:36歳女性。これまで製造業メーカーや人材系企業、大手ネット企業へと転職しながら営業職としてキャリアを築いてきた。26歳から36歳まで、体当たりの婚活をしてきた婚活経験者。

佐藤貴子:佳代の人材系企業時代の後輩で現在30歳。そろそろ結婚を考えているが相手はいない。

 

■佳代36歳。婚活を語る

「先輩、わたし婚活しようと思ってるんです」神楽坂の創作鉄板居酒屋でそう語るのは貴子。彼女はわたしが前職の人材系企業に勤めていた時の後輩で、わたしにとっては初めての部下でもある。

当時も今も激務で知られる会社だが、貴子は新卒で入社してからずっと営業として頑張っている。わたしが会社を辞めてもこうしてちょくちょく飲む、今では友人の一人だ。

「わたしも去年から課長になったんですけど、部下たちは予算未達でもヘラヘラしてて。毎日会社でイライラしてばかりなんです。わたしもうすぐ31だし、結婚して仕事以外の大切なものが見つかれば何か変わるのかなって。前に佳代さん婚活してるって言ってたじゃないですか。だからまずは佳代さんに婚活のこと聞きたかったんです!」

ここまで一気に話すと、貴子は目の前の中ジョッキを空にした。すかさず追加注文をする貴子。それじゃあ、とわたしはゆっくりと話し始めた。

 

■10年前、佳代が26歳で婚活を始めたときの話

「じゃあ、わたしが26歳のときの話からね。その頃わたしは新卒で入った製造業の会社の営業部にいたの。地味な仕事だったし、毎日決まったお客さんのところを回るだけで出会いもなくて。当時は『婚活』なんて言葉もなかったから合コンやお見合いパーティで彼氏を探すのがほとんどだったんだけど、ちょうど街コンが流行り始めていたから、何かいい出会いがないかなと思って参加したの」

「街コンってよく聞くけど、行ったことないなぁ。どういうものなんですか?」

「だいたいは同性同士で二人一組で参加するのね。わたしが参加したのは、地方の商店街が地域活性化のためにやっていたもので、参加費を払えば商店街で協賛したお店で食事をしながら参加者と話せるっていうシステム。気に入らなかったら別のお店に移ってもOKなんだけど、街コンで結果を残すにはポイントがあって……」

貴子は興味津々といった様子だ。

「街コンはなんといってもその場でのノリが大事! 気になる人がいたらどんどん積極的に連絡先を交換したほうが上手くいくことが多いわ。今は趣味ごとに集まる趣味コンや、カフェや飲食店が主催しているプチ街コンまでいろいろな種類があって、ポータルサイトもあるから見てみるといいわよ。その時も、最初のうちはピンとくる人がいなかったんだけど、何件目かでよさそうな人と連絡先を交換できたの」

出汁のたっぷり効いたおでんをほうばりながら、貴子はもう次のビールを注文していた。

 

■成否の分かれ目は五穀米?街コンで出会ったリア充男子

「へぇ~連絡先ゲットしたのはどんな人だったんですか」

「1部上場のネット広告代理店で営業やってる人。学生時代はフットサルやってたらしくて、身長も高くて顔も彫りが深くてすっごく好みだった。渋谷や恵比寿のおいしいお店もたくさん知ってて。当時勤めていた会社では絶対いないような人だったから、最初は婚活ってこんな出会いもあるんだ!って思ったわ」

「そんな優良物件と、どうして付き合わなかったんですか!?」

実はこの質問、もう何度答えたかわからない。だから答えもすらすら出てくる。

「彼が言うには、この業界いつどうなるかわからないから、結婚相手は絶対共働きがいいって。それもパートとかじゃなくてちゃんと総合職で、それなりの会社で正社員として働いていてほしいって。でも自分が帰る時には家の電気をつけて、夕食作って待っていてほしい、自分の仕事のグチも聞いて褒めてほしいって言うの」

「なんだか、思いっきり頭突きしたくなりますね、そいつ」

こんなふうに言われるのも、もう何度目かだ。

「あと、もう一つ決定的な出来事があって。実は一度、わたしの家に泊まりに来たことがあったの。その時に健康を考えて五穀米入りのごはんを出したんだけど、『付き合ってもないのに重い! 俺はこんな時に一緒にラーメンでも食べに行ける彼女と付き合いたい』って言われて」

「泊まりに来たのに、付き合ってなかったんですか!?」

「わたしは付き合ってたつもりだったんだけど……彼はそんなつもりじゃなかったみたい。結局それがきっかけで自然消滅しちゃった。でもこの話にはオチがあって、半年後ぐらいに雑誌読んでたら、彼が『わたしたち結婚します』みたいな感じで彼女と登場してて。結局遊ばれていただけみたい」

「じゃあ結局、街コンにはあまりいい人はいないってことなんですか」

「当時わたしもそう思って。街コンじゃない、これからはネットだって、ネット婚活を始めることにしたの」

わたしがそう言うと、貴子は一刻も早く続きが聞きたいという感じでビールを注文した。まだまだ、わたしの婚活ストーリーは始まったばかりだ。

【筆者略歴】

※ 婚活ライター清志郎・・・自身も様々な婚活を経験し、傷だらけになりながらも結婚に至った婚活ライター。男女の気持ちの両方に寄り添える視点と、実際の体験談をもとにしたリアリティのある記事に定評がある。

【画像】

※ Syda Productions / Shutterstock

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