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山形をめぐり、物語と出会う、23日間の芸術祭。「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016」

  • 2016.8.28
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一足早い秋の訪れと共にスタートするのは、2014年に続き2回目の開催となる『みちのおくの芸術祭山形ビエンナーレ2016』。アートをきっかけに街をめぐり、作品を通して山形と出会う芸術祭に足を運んでみませんか?

「物語」を五感で楽しむ芸術祭

山形ビエンナーレでは、みんなが主人公になって街を歩いてほしい。つまり芸術祭ぜんたいが、それぞれにとっての「絵本のようなもの」。古い物語も、はじまったばかりの物語も描かれていて、それを楽しみ分かち合う体験のまわりに、現実の、あたらしい日常がつくられていくってことなんだ。
(談荒井良二/山形ビエンナーレ芸術監督)みちのおく百計36「絵本のようなもの」より引用

出典:https://biennale.tuad.ac.jp

芸術監督を務める絵本作家の荒井良二さんがこう語るように、今回のプログラムは、どこか物語を感じるものばかり。その中でも、オススメの見どころをご紹介します。

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荒井良二さんと山形の高校生が、まだどこにもない一冊の絵本を作るプロセスを記録映像で紹介する「荒井センパイと絵本の学校」や、タイポグラフィーを基軸としたアートディレクションで注目を集める大原大二郎さんによるモビールシリーズ「もじゅうりょく」の現地制作では、絵本や言葉や文字が形を成していく過程をひとつの物語として楽しむことができそう。

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また、実在のお店や名物店主が登場する地図小説『ブックトープ山形』も必見。フィクションなのかノンフィクションなのか、その狭間を楽しみながらリアルな街をめぐれば、自分も物語の一部になったような気分です。

目撃したいその場限りのパフォーマンス

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新たな作品が生まれる瞬間や、アーティスト同士で科学反応が起こる瞬間を目撃できるのも、この芸術祭ならでは。初日と最終日に実施される小説家いしいしんじさんの即興パフォーマンス「その場小説」は、目の前で小説原稿が一文字一文字と書き上げられ、それが同時に読み上げられていく小説創作のライブ。留まることなく流れるように物語が生み出されるそのスピード感、そして、その場、その時、その街という今をどんどん織り込んでいく様も圧巻です。

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また、影絵師の川村亘平斎さんは、2千本の竹で組み上げた特設の芝居小屋「BAMBOONEST」にて、東北芸術工科大学こども芸術大学に通う15組の親子と一緒に新作影絵芝居を上演します。こどもたちも一緒に作り上げる影絵芝居がどんなふうにできあがっているのでしょう。

出典:

https://biennale.tuad.ac.jp/yamabiko

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東北芸術工芸大学のキャンパスを開放した2日間限定のフリーフェス「山びこ」のオープニングでは、ニューヨークを拠点に世界中で活躍しているタップダンサーの熊谷和徳さんと卓越したテクニックを誇るアフリカンパーカッショニストのラティールシーさんによるセッションライブを開催します。この2人の熱いエネルギーが交差するパフォーマンスは、山形ビエンナーレ2016の華々しい幕開け。一度きりのパフォーマンス、その場限りの生のエネルギーを、ぜひ目撃してください。

街を歩いて、街を巡って、街の声を聞く

出典:

https://biennale.tuad.ac.jp/ichi

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山形ビエンナーレの開催エリアにもなる山形市中心市街地は、かつて定期的に「市(いち)」が開かれていた場所。その名残は今でも「七日町」「十日町」などの町名として残っています。その〈市の街〉で、文化資源を意欲的に「消費」し再活性化していくことを目指して、手仕事や農作業、アートや服や本というさまざまなジャンルの「市」を開く「市プロジェクト」も見どころのひとつ。山形の伝承野菜やブランド品種の販売も行う「ふうどの市」やファッションデザイナーの飛田正浩さんによる「spokenwordsproject」が山形の企業と展開するオリジナルウェア「山形衣市iiti」など、山形の人の暮らしに密着したクリエイティビティを手にとって楽しめるプログラムです。

出典:

https://biennale.tuad.ac.jp/shop

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その他、季節のおいしさをいただける食堂「nitaki」や、修験道や縄文文化から着想を得た羊羹や甘酒を楽しめる和菓子屋「森羅万象茶屋」など、ユニークな食スポットで山形の食を満喫したり、東北の自然と生きるライフスタイルから誕生したインテリアや雑貨などを販売する「山の形ストア」で思い出の一品を選ぶのもいいですね。

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「山形ビエンナーレ」は、新鮮さと同時に懐かしさやあたたかさも感じられる芸術祭。存分に山形の街の中でアートと触れあいながら、どこか自分の中の記憶や故郷とも繋がっていけそうです。

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