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桜井日奈子、振り切った“怪演”への転機となった意識の変化 20代ラストを憧れの劇団☆新感線に捧げる

  • 2026.11.8
桜井日奈子 クランクイン! 写真:高野広美 width=
桜井日奈子 クランクイン! 写真:高野広美

ドラマ、映画、舞台とジャンルを問わず幅広い作品で輝きを放つ桜井日奈子。近年は王道ヒロインにとどまらず、存在感あふれるクセ強キャラでの怪演も話題を集める彼女が、夢だったという劇団☆新感線初参戦を果たす。稽古開始早々の桜井に、人気作『髑髏城の七人』挑戦への意気込みや、俳優としての転機、そして来年迎える30代に向けての思いを聞いた。

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◆劇団☆新感線の舞台には「尊敬と憧れしかない」

劇団☆新感線を代表する演目である『髑髏城の七人』は、7年ごとに繰り返し上演され、そのたびに様々な工夫を凝らし進化をし続けてきた。演じるキャストによって、観劇の視点や見えてくる場面や味わいが変化するという、不思議な魅力を持った作品であり、キャラクターの魅力が俳優の魅力も引き上げる多面性のある戯曲ともいえる。物語の舞台は戦国時代、織田信長亡き後の関東の地を舞台に繰り広げる、アクションあり、ロマンあり、笑いありの誰もが楽しめる、壮大なチャンバラアクション時代劇だ。

1990年の『髑髏城の七人』初演から36年、これまで11バージョン上演してきた本作を今回「LAST STAND」と題し、劇団☆新感線としては最後の上演とすることとなった。

――舞台『シャイニングな女たち』での桜井さんの振り切ったお芝居が最高でした。今回、『髑髏城の七人 LAST STAND』にご出演と聞いた時に、「ぴったり!」と楽しみになったのですが、ご自身はどんなお気持ちでしたか?

桜井:オファーをいただけたことがとてもうれしかったですし、本当に信じられなかったです。新感線は初めてですし、『髑髏城の七人』の“LAST STAND”という大事な公演に呼んでいただけたことが本当にうれしくて。やれることは全部やろう!と思いました。

――劇団☆新感線は憧れだったとのことですが、新感線のどんなところに魅力を感じたのでしょう。

桜井:初めて観た新感線の作品は生田斗真さん主演の『偽義経冥界歌』でした。私、デビュー作が舞台で、その作品で主演を務められていた中山優馬さんがご出演されていたので観に行かせていただいたんですけど、今までに観たどれにも属さない、新しいジャンルの舞台を観た!という感覚で、とにかく胸が熱くなったんです。音もすごいし、光もすごい。演じられている皆さんの気迫もすごいし、目の前で繰り広げられる世界観に本当に圧倒されました。

誰が見てもハイカロリーで(笑)、 目の前に命がけで戦っている人たちがいる。しかもそれを何十公演もやるって、正気の沙汰じゃないというか(笑)。2ヵ月の公演ですら「もうしんどい!」って言うくらいの私ですから、それを何ヵ月もやるって本当に命がけだと思うし、46年もやり続けられているというのは生半可な気持ちじゃやれないこと。尊敬と憧れしかないんですよね。

――『髑髏城の七人』の印象はいかがですか?

桜井:『偽義経冥界歌』とはまた世界観が全然違って。裏切り合戦というか、「えー!」「そうなの!?」の連続でした。

ある人物の裏切りには、裏切る原因に男のロマンというか、義理や人情を一切投げ捨てて自分のロマンを追い求める熱量を感じたんです。あの人もこの人も裏切っていて、ただそれだけをやっているとコメディーになっちゃうんですけど、観た時に「そうだよな」って納得させられるだけの熱量があって、すごく印象に残っています。

…でも、こうやって喋ってますけど、自分なんかが新感線を語っちゃいけないんじゃないかっていう思いにもなるんですよね。それくらい私にとって新感線は特別な存在なんです。

◆演じたことのないタイプの沙霧役で世の中のイメージを裏切りたい

――今回演じられる沙霧というキャラクターはどんな人物だと捉えられましたか?

桜井:清野菜名さんが演じられていた少年っぽい沙霧が好きなんです。一族を髑髏党に殺されて恨んでいるけど、自分は非力だからどうすることもできない。でも、非力さを嘆いているような弱い子ではなくって、なんなら啖呵を切って立ち向かうような、そういう強いところが好きですね。

今までこういう役をやったことがないんです。どちらかというと、ちょっと女の子っぽかったりする役が多くて。

――正統派ヒロインが多い印象です。

桜井:世の中的には沙霧のようなイメージはないと思うんです。でも実は今、私の中で「世の中のイメージを裏切っていこう!」という期間で(笑)。そんな中で沙霧という役はやりたかった役だったし、「私ならどう演じられるだろう?」と楽しみに感じている役でもあります。

沙霧にはカッコいいだけに収まらない、観ている人をクスっとさせるようなコメディー的なお芝居もある。そういうお芝居は大好きなので、どんな沙霧を演じられるのか、本当に楽しみですね。

でも、まだ沙霧を分かりきってはいない気がする。きっと稽古を重ねて、皆さんとの関係性の中で出来上がっていくんだと思います。百戦錬磨のすばらしい皆さんがそろわれていますから、せっかくご一緒できますしいろんな方にアドバイスをいただき、沙霧という役を豊かに演じられるように励んでいきたいと思います。人見知りですけど(笑)。

――新感線といえば、殺陣やアクションも見どころです。

桜井:運動神経、ちょっと自信があるんですよ(笑)。

――映画『SAKAMOTO DAYS』でのアクションは、最初桜井さんだと気づかなかったくらい、体もバキバキに鍛え上げられていてすごかったです。

桜井:4ヵ月くらい稽古をたくさんして頑張ったのでうれしいです!

今回の沙霧役でも、そうしたこれまで見たことのない姿をお見せできればと思うので、ちょっと気合いが入っています。

――ご自身と沙霧に共通点はありますか?

桜井:沙霧は一本気と説明されるくらい真っすぐで、人のことを疑うよりも信じて生きてきた子だと思うんです。

自分で自分のことを真っすぐというのはどうなのかと思うんですけど(笑)、私も簡単に人を信じちゃうので、そこは似ているかもしれません。

◆振り切った“怪演”が話題に 意識が変わったきっかけとは?

――先ほどもお伝えしましたが『シャイニングな女たち』『SAKAMOTO DAYS』と桜井さんに衝撃を受ける作品が続いたのですが、個人的に「桜井日奈子、おもしろいんじゃ…?」と感じ始めたのが、『キスマイBUSAIKU!?』でKis-My-Ft2の宮田俊哉さんと「半沢直樹」コントをやられている振り切った桜井さんの姿で。

桜井:恥ずかしい!(笑)

――最近は様々な作品での“怪演”ぶりがネットでも話題で、やっとみんな気づいたか!とうれしいです(笑)。

桜井:ありがとうございます(笑)。『マル秘の密子さん』で演じたクセの強い秘書役くらいから、いただける役が変わってきたように思います。それまでは学生役が多かったのですが、もう来年には30歳になるので学生を卒業して役の幅が広がった感じですね。

昔は初めましての方とご一緒することの方が多かったのですが、最近は昔お世話になった方にまた呼んでいただけることが増えたんです。また桜井のお芝居を見てみたいと思っていただいてお声をかけてもらえてるのかなと思うと本当にうれしくて。ご一緒した方の期待に応えたいという気持ちもあって、最近は本当にお芝居も楽しいです。

――いろいろな作品で楽しそうにお芝居されている桜井さんが印象的なのですが、そう変わられたきっかけは何かあったのでしょうか?

桜井:デビュー当時からずっと担当してくれていたマネージャーさんと、一度お別れしたことがきっかけかもしれません。それまでは、その方が全部決めてくれていたし、その方に言われた通りにやるのが正解だと思って、あまり自分の意思を大事にしていなくて、与えられたことをやることに専念していたんです。その方にはめちゃくちゃ感謝しているんですけど、訳あって離れることになった時に「あ、うかうかしていたら、この仕事できないかも」ってやっと気づいて。

――お仕事自体は、楽しくてお好きだったんですよね?

桜井:楽しかったんですけど、でも、楽しいというよりは義務感、やらなきゃいけないっていう感覚の方が強かったんですよね。自分の意思っていうのが大事で、どんなことをしたいのか、どういう俳優になっていきたいのかというのをちゃんと考えるようになると、仕事に対する向き合い方が変わってきました。それまでは本当にのらりくらりやっていたというか。

あとはご一緒する方々に影響を受けたのもあります。黒柳徹子さん、戸田恵子さんや、最近ですと内田有紀さん。お芝居の現場でずっと第一線で活躍され続けているキャリアの長い先輩方の背中を見ていると、自分もゆくゆくはそうなりたいと思うようになりました。

――先ほどお話もありましたが、来年30歳というのが驚きでした。30代はどう変わっていきたい、どうなっていきたいという思いはありますか。

桜井:ガシガシ仕事をしていたいですね。周りの友達を見ても30歳になると結婚して家庭を持って…というフェーズに入っていくと思うんですけど、自分もゆくゆくは家庭を持ちたいという思いはありますが、でも今上り調子の勢いというのを自分でも感じていて。やっと俳優としてスタートラインに立ったぞ!くらいの気持ちなんです。もっとお芝居をしたいし、期待もされたいし、期待してください!っていうだけの自信もちょっとずつ付いてきている。この調子のまま30代を迎え、ひとりでも多くの方に期待してもらえる、そしてその期待を裏切らない俳優でいられるように、役の幅を広げていくのが目標です。

――『髑髏城の七人 LAST STAND』は、そんな上り調子の20代を締めくくる作品になりますね。

桜井:4月2日が誕生日なので、終わってすぐに30歳になります。20代のラストを捧げます!

――楽しみにしています! それでは最後に公演を楽しみにしているみなさんへメッセージをお願いいたします。

桜井:『髑髏城の七人』という新感線の中でも名作と呼ばれる作品が今回“LAST STAND”ということで最後になります。これまでに『髑髏城の七人』という作品を観たことがある方にももちろん観ていただきたいですし、観たことがないという方にも観てよかった!と言っていただけるような作品に絶対になると思います。これまで皆さんが繋げてきてくださった思いを胸に、最高の形でラストを飾れるようみんなで戦いたいと思いますので、ぜひその勇姿を劇場で見届けていただけたらうれしいです。

(取材・文:近藤ユウヒ 写真:高野広美)

2026年劇団☆新感線46周年興行・冬公演 いのうえ歌舞伎『髑髏城の七人 LAST STAND』は、11月14日~12月25日に東京・新橋演舞場、2027年1月21日~24日に長野・ホクト文化ホール、2027年2月8日~14日に石川・金沢歌劇座、2027年2月25日~3月11日に大阪・フェスティバルホールにて上演。

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