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仕事のストレスが限界を迎え、逃げ込んだ菜の花畑で「天使」と出会う。人生に迷うふたりの女性をつなぐ、食と器と絆の物語【書評】

  • 2026.11.5

【漫画】本編を読む

仕事に追われ、食事もおろそかになり、自分が何をしたいのかさえわからなくなってしまった。2026年8月19日に第1巻が発売された『陽がのぼり菜の花は咲く』(アケガタユウ/ぶんか社)は、そんな毎日に限界を迎えた女性が、見知らぬ土地で出会ったひとりの女性と紡ぐ、人生を再生していく物語だ。食事や器を通して育まれていくふたりの関係が、やわらかなタッチで描かれていく。

26歳の加藤咲は、パッケージデザインの仕事をしていた。ずっと夢見ていた仕事であったが、求められるのは売れている他社の商品と似たデザインばかり。自分の意見を出せば「余計なことするな」とことごとく切り捨てられ、残業続きで体調を崩すほどに追い詰められていく。周囲からも仕事なんてそんなものと割り切ることを求められ、耐え切れなくなった咲は衝動的に会社を飛び出してしまう。

逃げるように乗り込んだ電車の窓から見えたのは、鮮やかな黄色い景色だった。導かれるように電車を降り、咲がたどり着いたのは視界いっぱいの菜の花畑。目の前に広がる景色を天国と思うほど、その美しさに心を奪われる。すると突然、目の前に背の高い黒髪の女性・川口陽菜が現れる。彼女を「天使」と思ったその直後、咲は倒れてしまう。

倒れた咲を助け、自宅であたたかな食事を振る舞ってくれた陽菜もまた、行き詰まった事情を抱えている女性だった。祖母が遺した陶器屋をひとりで守っているものの、このまま店を続けるべきか悩んでいたのだ。そこで咲は、陽菜のためにできることがないかを考え始める。こんな形で出会ったふたりだったが、やがてかけがえのない存在になっていって——。

咲と陽菜が食卓を囲み、少しずつ距離を縮めていく様子がとてもあたたかい。陽菜の手料理や大切に使われてきた器など、丁寧に描かれる暮らしの風景も目を引くだろう。ふたりがこれからどんな日々を重ねていくのか、菜の花が咲く穏やかな景色とともに見守っていきたい。

文=つぼ子

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