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入手困難の大人気ビオラ‘すみれ図鑑’はどう生まれた?「グリーンに見える色」の秘密と誕生ストーリー

  • 2026.11.5

入手困難の大人気ビオラ‘すみれ図鑑’はどう生まれた?「グリーンに見える色」の秘密と誕生ストーリー

多種多様な花色や花形で私たちを魅了し、選ぶ楽しみが尽きないビオラ。多くの花が登場しているなかで、いま話題をさらっているのが、ビオラ‘すみれ図鑑’です。この花を生み出した石川周太さんに、その誕生までのストーリーをうかがいました。

石川周太さん

いしかわ・しゅうた●神奈川県の園芸店「グリーンファーム金沢本店」に勤務し、20年以上にわたって園芸に携わる。個人のインスタグラムのほか、幅広いテーマを取り上げて情報発信をしているハイポネックス ジャパンのYouTube「石川しゅーたの花が100 倍好きになる!」も大人気。
Instagram @shutaishikawa
YouTube「石川しゅーたの花が100 倍好きになる!」https://www.youtube.com/playlist?list=PLxSecB2S2YsKpqKxvCECGHCI0yBBF5xjl

争奪戦を生んだグリーンのビオラ

2024年のプレ販売時からビオラ愛好家の間で大きな話題を呼び、入手困難になるほどの人気を博したビオラ‘すみれ図鑑’。その花が放つ独特のグリーンという色合いは、多くの人に驚きと感動を与え、発売直後から高い人気を集める存在となりました。人々を惹きつけるその花を生み出したのが、石川周太さんです。

「写真を見た人から、“画像の色を加工しているんですか?”と聞かれたことがあります。もちろんそんなことはしていないですよ(笑)。個体差はあるものの、花の色変わりがすごくて、その咲き途中にグリーンが出るんです。ただ、ビオラの花びらには緑色の色素(葉緑素)がほとんど含まれていないそうです。‘すみれ図鑑’の花がグリーンに見えるのは、青色と黄色の色素が重なり合い、その反射光を人間の目が緑色として認識しているためなのです」

そう話す石川さんは、普段は園芸店に勤務しているという、育種家としては異色の経歴をもちます。長く資材部や花担当のバイヤーとして経験を積み、ECサイトの担当に。花農家や育種家のもとを訪ねて話を聞く機会が増えたことで、育種の奥深い世界を知るようになりました。

「最初に行ったのは、人気のビオラ‘華あられ’やパンジー‘シエルブリエ’を作出した花日和さんです。育種家の川上竜一さんの話を聞いて、こういう世界があるんだ、と思いましたね。興味本位で“どうやってやるんですか?”と聞いてみたら、目の前で説明してくれたんです。これはおもしろいなと思いましたね」

多くのビオラ愛好家の心をとらえた‘すみれ図鑑’。「2025 年度は予想以上の反響で、自分も驚きました。この秋~冬はもう少し多くの方に手にとっていただける予定です」。

石川さんが勤める「グリーンファーム金沢本店」。店舗のデザインなども積極的に手掛け、多肉植物コーナーのディスプレー棚などは設計と施工まで自身で担当した。
https://green-farm.co.jp/

先輩たちから学んだビオラ育種の道筋

「育種を始めた当初は、“おもしろそうだからやってみようかな”くらいの気軽な気持ちでした」と話す石川さん。育種や生産を手掛ける先輩方と接する機会を重ねるなかで、少しずつ意識が変わっていきました。特に、「育種をするならテーマ(目標)を掲げて、それを目指して進めるのが最短ルートになる」という、フラワーハーツ八ヶ岳の田中俊行さんの言葉を聞いて、自分の育種の目標を定めるようになります。

「もともとブルーイング(低温により花弁に青みがかかる現象)を見ていて、いい青だなと思っていたんです。それで自分は極端にブルーイングが強い花を目指そうと決めて取り組みました。その最終形が‘パルプンテ’で、完成までに6年ほどかかっています」

今回の『園芸ガイド』の表紙にもなっているビオラ‘パルプンテ’。品種名のつけ方にも、多彩な趣味をもつ石川さんならではの遊び心が表れている。

そしてさらにこの紫から青に色移りするビオラの中に、‘すみれ図鑑’のもととなる花が出現しました。

「といっても、最初は緑色とは程遠くて。桂楓園の高山晃さんに“緑色のビオラは存在しない”と聞き、‘パルプンテ’から出た青系と黄色系をかけたら緑が出るかを相談したところ、やってみるとおもしろいかも、というアドバイスをいただき、年月をかけてできたのがʼすみれ図鑑ʻです。ほかにもガルテン湘南の髙橋昇さんと美千子さんなど、先輩方に多くのことを教えていただきました」

採種用の親株が並ぶハウスは、石川さんの秘密基地。すでに完成している品種のほか、選抜中のものや試作中のものなど、お宝株が所狭しと並ぶ。

採取したタネが混在しないよう、株にさした封筒にタネを入れている。封筒には「すみれ3組」などの文字が。「保育園のクラス分けみたいでおもしろいでしょ?」。

「‘すみれ図鑑’がポテンシャルを発揮するのは2月中旬から。ぜひその花数の多さも体験して楽しんでいただきたいですね」。

撮影/佐山裕子(主婦の友社)
写真協力/石川周太
協力/グリーンファーム金沢本店

※この記事は『園芸ガイド』2026年 秋・特大号の記事を、WEB用に再編集したものです。

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