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ソン・ソック、永山瑛太、パク・ヘジュンらが新作への熱い想いを語る!日本未公開の秀作が集結した釜山国際映画祭を現地レポート

  • 2026.11.3

10月6日から15日まで開催された第31回釜山国際映画祭(BIFF)。すでに海外配給が決定している大作も期待が高まるが、やはり映画好きなら“ここでしか観られない逸品”にも注目したいところだ。PRESS KOREAでは今年もBIFFを現地取材。今回ご紹介するのは、韓国での公開は決まっているものの、日本での劇場公開が未定の作品を中心とした注目作の数々。Netflixでの世界配信が決まっている作品も含め、いずれも見応えのある秀作揃いだけに、いまからチェックしておきたい。

【写真を見る】夏から秋へと移り変わる季節感も美しい『昼と夜は互いに』

一軒のカフェで繰り広げられる、4組の男女による会話劇『昼と夜は互いに』

BIFFのオープニングを飾った『昼と夜は互いに(原題:낮과 밤은 서로에게)』は、夏から秋にかけて一軒のカフェを訪れる4組の男女の会話と、その合間に垣間見える感情の機微を描いている。見知らぬ者同士のほんのわずかな出会い、中学時代の友人の予期せぬ再会、ウェブ小説作家と映画監督の初対面、別れの予感が漂う恋人同士の時間。そんな様々な瞬間が、それぞれ異なる時間軸で繰り広げられる。

【写真を見る】夏から秋へと移り変わる季節感も美しい『昼と夜は互いに』 [C]BIFF
【写真を見る】夏から秋へと移り変わる季節感も美しい『昼と夜は互いに』 [C]BIFF

『夜明けの詩』(21)などのキム・ジョングァン監督は、ワンシチュエーションの会話のなかからつむがれる関係を捉える匠だ。開幕式に先立ち開かれた記者会見で監督は「ささいなことのなかにある意味と美しさに焦点を当てました」と説明。特に冒頭で登場する時計を例に、「時計というものは、小さな世界を作り上げていて、そのなかに美しさがある。この映画も、そんな発想から作られました。一般的に映画は、数日、数か月、数年にわたる出来事を積み重ねながら物語を作り上げますが、この映画は4つの対話劇だけで成り立っています。観客はそれぞれのほんの一面を垣間見ることになりますが、登場人物たちがどこから来て、どこへ去っていくのかを想像してほしいです」と、本作が目指したものを述べた。そしてタイトルにかけて「昼と夜は全く異なり、離れているように見えるが、結局は同じ空間にともにいて、互いに繋がっている。この映画が他者を理解する映画になることを願う気持ちもあった」と明らかにした。

大好きだった監督の作品に参加した喜びを語るキム・ミンハ [C]BIFF
大好きだった監督の作品に参加した喜びを語るキム・ミンハ [C]BIFF

キム・ミンハは、今回の作品が自分にとって特別なものだと話した。カナダ・トロントで別の作品を撮影していた際に本作の脚本を受け取った彼女は、「幼い頃から監督のファンで、GVもたくさん観に行ったんです。脚本を受け取った時は夢のようでした」と振り返った。さらに、「実は私が出演するエピソードの撮影日が、ちょうど私の誕生日でした」と明かし、作品への参加自体が「プレゼントだった」とうれしそうに語った。また、「人生に起こるささやかな幸せや波乱を振り返る機会をくれた、私の人生に二度とない贈り物を受け取ったような気持ちです」と、作品への深い想いをにじませた。

牛を守るため、不仲の兄弟が大奮闘!エクストリームな家族劇『ジョン家の人々』

繊細な演出に定評があるキム・ジヒョン監督の長編映画デビュー作『ジョン家の人々(原題:정가네)』。30年間口を聞くことなく、それぞれ牧場を営んできた兄マンスと弟ビョンス。牛の品評会では長年兄の後塵を拝してきたビョンスだったが、ある日、初めて兄を破って優勝を果たす。ところがその夜、マンスはビョンスの牛が口蹄疫に罹患していることを知る。殺処分の危機が迫るなか、唯一生き残った子牛の“長寿(チャンス)”を守ろうと、疎遠だった兄弟が協力し奮闘を繰り広げる。

大切な子牛をめぐって繰り広げられるホームドラマ『ジョン家の人々』 [C]BIFF
大切な子牛をめぐって繰り広げられるホームドラマ『ジョン家の人々』 [C]BIFF

「ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語」をはじめ市井に生きる人々を演じさせたら随一のリュ・スンリョンと、近年好演が続くパク・ヘジュンの共演作だ。 オープントークにはキム・ジヒョン監督、リュ・スンリョン、パク・ヘジュン、オン・ソンウ、イ・サンヒが登場した。キム・ジヒョン監督は作品について「家族同士で喧嘩が絶えなくても、ともに生きる意味や、そばにいる大切な人を守ろうとする尊さを、温かく問いかける映画です。ただそれだけではなく、スペクタクルムービーでもあります。俳優の皆さんの追走劇は、苦労しながら撮影しました」と話した。

オープントークの盛り上がりで撮影現場の良い雰囲気が感じられた [C]BIFF
オープントークの盛り上がりで撮影現場の良い雰囲気が感じられた [C]BIFF

無愛想な兄マンスを演じたリュ・スンリョンは「マンスは胸の内には言いたいことをたくさん抱えているけれど、それを表に出さない。でも、徐々に自分の本当の気持ちに気づき、兄らしく生きるようになる人物です」とキャラクターを紹介。続けて、見どころについて「激しく言い争っていたマンスとビョンスが、突然全裸で抱き合うシーンです」と明かし、観客の関心を引いた。

マンスに対して意固地になってしまう弟ビョンス役のパク・ヘジュンは「兄に強いコンプレックスを抱いていて、言いたいことはなんでも言う厄介者です。牛の品評会で一度も1位になれないことに不満を抱く一方で、『俺はこんなところで牛の世話をしているような人間ではない』とも考えてもいる。そんな二面性が魅力的な人物です」とコメント。

そして本作の“もう1人の主人公”ともいえる、実際の牛が演じた長寿にも、キャスト陣から愛情たっぷりの称賛が続いた。「最近はAIで生成された映像も多いですが、長寿は私たちにとって贈り物のような存在でした。どんな俳優よりもはるかに優秀でしたし、私に近寄ってきてなめてくれる姿は、まるで子犬のようでした」と目じりを下げたのはリュ・スンリョン。パク・ヘジュンも「監督は牛を撮影する時、モニターを撫でたりしていました。俳優にはそんなことしませんから、自分は牛以下なのかと思いましたよ(笑)」と、撮影現場のほほえましいエピソードを披露した。

韓国の大学入試センター試験をめぐり巻き起こるコメディ『修能、出題の秘密』

『修能、出題の秘密(原題:수능, 출제의 비밀)』は、韓国の二級国家機密として扱われる大学修学能力試験(日本の大学入学共通テストに相当、通称「修能」)の出題本部を舞台にしたミッションコメディ。出題委員たちが外部との接触を断たれ、40日間にわたって隔離生活を送りながら激しい議論を繰り広げるこの場所に、地方都市で国語教師を務めるボラムがひょんなことから加わることになり、物語が動きだす。オープントークには、イ・ヨンジェ監督とイ・ソンビン、ユ・ジェミョン、キム・ヨンミン、チョン・ソクホが参加。『シークレット・ジョブ』(20)の脚本を務めたイ・ヨンジェ監督のコメディセンスが光る本作について、「編集しながら1000回以上も観ましたが、映画祭で観客の皆さんと一緒に鑑賞した昨日と一昨日が一番楽しめました。皆さんがすごく笑ってくださっていたので、勇気が出ました」と、劇場公開に向けて自信をのぞかせた。

韓国の若者を悩ませる“修能”をテーマにしたコメディ『修能、出題の秘密』 [C]BIFF
韓国の若者を悩ませる“修能”をテーマにしたコメディ『修能、出題の秘密』 [C]BIFF

イ・ソンビン扮する国語教師ボラムは、“一切間違いのない完璧な問題”を作ろうと奔走する人物だ。そんなボラムについてイ・ソンビンは、「失敗しようが空気が読めなかろうが、ボラムの真心を理解してくれる人にとっては愛らしく見える人です」と紹介。さらに撮影現場については、「カメラが回る前からみんなふざけ始めてしまい、カットがかかってもそのテンションが続くので、アクションとカットの区別がつきませんでした」と、いいムードで撮影が進んだことを振り返った。

修能を控えた若者たちへの暖かいメッセージにもなりそうな作品 [C]BIFF
修能を控えた若者たちへの暖かいメッセージにもなりそうな作品 [C]BIFF

作品のテーマである修能は、毎年11月中旬に実施される。そんな大事な時期を控えた受験生たちへ、俳優陣からは温かいエールが送られた。ユ・ジェミョンは「あまりストレスをためず、これまで頑張った分を出せるよう全力を尽くしてほしいです。無事に終えたあと、家族と一緒に映画を観ながら率直に話す時間ができればいいですね」と激励。 イ・ヨンジェ監督は「まもなく出題委員が集まると思います。受験生が磨き上げた実力を十分に発揮できる、問題のない問題を出してほしいです」と、問題を作る側の大人たちにも注文を付けることを忘れなかった。

ソン・ソック×永山瑛太の強烈なケミストリーに期待!Netflix「プルンギル -青の道-」

Netflix新シリーズとして11月20日より配信される「プルンギル -青の道-」も、今回のBIFFで一部が先行配信された。ソウル警察庁機動捜査隊の刑事ソクと、東京警視庁捜査第一課の刑事イノセが合同捜査本部で出会い、猟奇的な連続殺人事件をともに追っていくハードボイルドの犯罪捜査劇だ。オープントークには、Netflix新シリーズ「クルアルバ -おいしいバイト-」と「プルンギル -青の道-」の両作品でメガホンを取ったハン・ジュニ監督をはじめ、ソン・ソック、永山瑛太、キム・シンロクが出席した。

ソン・ソックと永山瑛太が国境を越えてバディを組むことになる「プルンギル -青の道-」 [C]BIFF
ソン・ソックと永山瑛太が国境を越えてバディを組むことになる「プルンギル -青の道-」 [C]BIFF

韓国ドラマ初出演となった永山は、出演を決めた理由について「ハン・ジュニ監督のファンだったからです」と熱い想いを口にした。さらに「とても信頼している監督だったので、どのようなディレクションがきても疑うことなく従いました。現場では誰よりもイノセというキャラクターを愛し、関心を持つべきだと思いながら演じていました」と、監督への厚い信頼と役柄への深い愛情をにじませた。

韓国ドラマ初出演となった永山瑛太 [C]BIFF
韓国ドラマ初出演となった永山瑛太 [C]BIFF

そんな永山についてソン・ソックは、初対面から相性の良さを強烈に感じたようだ。「日本で撮影した時、最初のセリフを交わした瞬間に『なにかが違う』と感じました。そしてハン・ジュニ監督に『彼を信頼していけば大丈夫です』と伝えました。俳優同士というのは、どんなに努力しても相性がうまくいかない時があります。でも私たちは上手くいくと感じました」と振り返った。

繊細な人に見えるようにと役作りでの減量を明かしたソン・ソック [C]BIFF
繊細な人に見えるようにと役作りでの減量を明かしたソン・ソック [C]BIFF

永山もまた、ソン・ソックとのケミストリーに自ら太鼓判を押す。「彼の演技をたくさん観てきたんです。そんな人が目の前にいるという緊張感もあったんですが、考えないようにして演技しました」と、以前から注目していた俳優との共演を喜んだ。

ハン・ジュニ監督、永山瑛太、ソン・ソック、キム・シンロクがオープントークに登壇 [C]BIFF
ハン・ジュニ監督、永山瑛太、ソン・ソック、キム・シンロクがオープントークに登壇 [C]BIFF

まるで運命に導かれるように共演を果たした2人だが、ハン・ジュニ監督としては「この作品は率直にかっこよく撮りたかったんです」とキャスティングの理由を明かした。続けて「ハードボイルドに合う画を撮りたかったです。それでまずソン・ソックさんに連絡しました。永山さんについては、おそらく私が彼の作品を一番たくさん観ているんじゃないでしょうか(笑)。本当に上手な俳優なので、ぜひとも彼の顔を作品で見せたかったんです。後半へ進むにつれ、彼の“顔”がじっくり見られるはずです」と語った。

そんな監督の言葉を受け、ソン・ソックは「第1〜第3話が2人の刑事の推理劇だとすれば、第4話からは2人の友情と時代を象徴するドラマになります。楽しんでご覧ください」と、観客の期待感をあおった。

取材・文/荒井 南

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