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結婚のために「80平米・3LDK」を買ったのに…年収600万円の男性が直面した「持ち家が結婚を遠ざける」悲しい現実

  • 2026.10.30

どんな資産を持っていれば、婚活は有利になるのか。主宰する結婚相談所でカウンセラーを務めている大屋優子さんは「男性会員のなかには、マンションや高級車を持っていることを自慢げに語る人もいるが勘違いしてはいけない。結婚後の生活を考えた場合、これらの資産を持っていることでむしろ婚活で不利になってしまう場合がある」という――。

※なお、本稿は個人が特定されないよう、相談者のエピソードには変更や修正を加えている

落ち込んで外の階段に座っている男性
※写真はイメージです
婚活のためにマンションを買ったが…

結婚相談所のプロフィールには、学歴や身長、年収、資格などが記載される。「資産」の欄に載るのは、その人が持つ預貯金や不動産などだ。不動産などの資産を持つ人は、それを婚活の強みだと考えるかもしれない。だが、相手の暮らし方や希望によっては、せっかく手に入れた資産が結婚の足かせになることもある。

43歳で大学院卒、年収1000万円の男性が、私のもとへ婚活相談に来た。彼は安定した会社に勤めるスポーツマンタイプで、こう言った。

「僕、マンションを持っています」

私が場所を尋ねると、彼は千葉県内の町の名前を挙げた。私はその町になじみがなく、場所を調べた。その町は都心からかなり離れていた。

「結婚するなら家くらい持っていないと」

彼はそう考え、相談に来る前年にマンションを購入したのだという。彼は胸を張った。だが私は、マンションを持っていることが、そのまま結婚相手の安心材料になるとは限らないと伝えた。大切なのは、二人がその家で無理なく暮らせるかどうかだからだ。

郊外の奥地にある「徒歩20分の新築マンション」

別の男性は36歳で、大卒、年収600万円だった。大学卒業後から同じ信用金庫に勤め続けている、真面目な人だ。彼は上司から「35歳までに住宅ローンを組まないとならない」と言われ、マンションを購入していた。

彼のマンションは、埼玉県と茨城県の県境近くにあった。つくばエクスプレスの沿線ではなく、最寄り駅までは急ぎ足で徒歩20分かかるという。

彼が買ったのは、80平方メートルを超える新築の3LDKだった。彼は、周辺は緑が豊かで、子育てにもよい環境だと話していた。

彼が重視した条件は二つあった。結婚後に4人家族でも住める広さと、自分が借りられる住宅ローンの範囲内で買える価格だ。彼はその条件に合う物件を探し、このマンションを選んだという。だが、自宅から都心までは1時間以上かかる。結婚相手が都心で働き、今の仕事を続けたいと思っていたら、長い通勤時間が負担になるかもしれない。

私は彼に、結婚後もこのマンションに住むつもりか、相手の通勤時間をどう考えているかを尋ねた。

彼は言葉を失った。相手の通勤までは考えたことがなかったという。彼は、自分の収入で無理なく返済できる家を買えば、婚活にも有利になると思っていた。だが、その家が相手の選択肢を狭めるかもしれない。そこまで想像できなかったのだ。

駅近でも相手が住みたいとは限らない

では、都内で駅に近いマンションなら、婚活で有利な資産になるのか。

たとえば、東京都世田谷区の経堂や、東京スカイツリーがある墨田区の押上に、マンションがあるとしよう。同じ都内でも、相手の実家や勤務先によって、暮らしやすさは変わる。千葉県の市川や船橋に実家がある人と、世田谷区に生活の基盤がある人とでは、希望する場所も違うだろう。

住宅街
※写真はイメージです

広さも重要だ。仮に、予算内で買えるのが50平方メートルほどの1LDKだったとする。二人暮らしにはよくても、子供を迎えれば手狭に感じるかもしれない。自分が育った場所や、なじみのある土地が、結婚相手にとっても住みたい場所とは限らないのだ。

実際に、上場企業で働く36歳の女性が、マンションを持つ男性と前向きに交際していた。彼女の勤務先は東京・丸の内。一方、男性のマンションは、彼の実家に近い八王子にあった。

彼女によれば、八王子のマンションから丸の内の勤務先までは、片道1時間半以上かかる。彼女は、結婚後も、妊娠・出産後も、福利厚生の整った今の職場で働き続けたいと考えていた。そのため、結婚後に彼のマンションへ移り住むのは現実的ではないと悩んでいた。

「持ち家を貸せるか」という判断基準

そこで私は彼女に、マンションを貸せるか彼に尋ねるよう勧めた。

「いまお持ちのマンションを貸すことはできますか?」

私は、彼が持ち家に住み続ける以外の方法も考えられるか、彼女に確かめてほしかった。ただし、住宅ローンが残る家を自由に貸せるとは限らない。賃貸を検討するなら、所有者である彼が、借入先の金融機関に契約条件や必要な手続きを確認する必要がある。

貸せる場合でも、家賃でローンを返せるかどうかは別の問題だ。二人は、ローン残高や返済額だけでなく、見込める家賃や維持費なども確かめ、収支を検討する必要がある。

貸せる条件が整えば、二人は、その家を貸して通勤しやすい場所に新居を借りる方法も検討できる。彼女は、この質問への返事から、彼が住まいの問題を一緒に考えてくれるかも確かめられる。

残念ながら、この男性は今のマンションに住むことにこだわった。彼は地元への愛着が強かった。加えて、そのマンションを貸しても、家賃収入ではローン返済を賄えない事情があった。二人の希望は折り合わず、ご縁はつながらなかったのだ。

結婚後にどこで暮らし、どう働き、家事や育児をどう担いたいのか。住まいは、そうした二人の生活を支えるためのものだ。持ち家のある人は、自分が先に買ったマンションに、相手の仕事や暮らしを合わせてもらおうとしていないかに注意したほうがいい。

「自慢の赤いベンツ」に女性が抱いた不安

婚活で足かせになりうる資産は、マンションだけではない。

40代、実家暮らし、年収800万円の男性がいた。彼の宝物は、12年落ちの真っ赤なメルセデス・ベンツ「SLK」。2人乗りで、屋根を開けて走れる車だ。

赤いメルセデス・ベンツ SLK250
※写真はイメージです

彼は20代の頃から車が好きで、数年前、貯金をためて憧れのベンツを中古で購入した。当時は、実家に車を置く場所があった。

結婚後に住む場所が変われば、彼は車を置く場所も考えなければならない。車を持ち続けるなら、保険料や車検費用、ガソリン代なども引き続きかかる。故障すれば、修理費も必要になる。

彼と交際していた堅実な女性会員は、車の維持費を心配していた。

「車の維持費は、彼の年収でも払っていけるのでしょうか?」

彼が結婚後も無理なく車を維持できるかは、年収の数字だけでは判断できない。二人は住居費や生活費を見積もり、車の維持費も払えるかを考える必要がある。また、二人に子供が生まれれば、家族全員で2人乗りの車に乗ることはできない。「愛車命」の彼は、結婚後の暮らしに合わせて車を乗り換える気持ちがあるのだろうか。

交際相手よりも愛車を選んだ

私は彼女に、車を手放す意思が彼にあるか聞いてみるよう勧めた。

「結婚したら、車を売る気はありますか?」

大屋優子、現代洋子『余計なお世話いたします 半年以内に結婚できる20のルール』(集英社)
大屋優子、現代洋子『余計なお世話いたします 半年以内に結婚できる20のルール』(集英社)

大事なのは、彼が車を持っているかどうかだけではない。彼が結婚後の出費や車の使い方を、彼女と話し合えるかどうかだ。

二人は、お見合い後に相性を確かめる「仮交際」の段階だった。2回目のデートでドライブに出かけた帰り道、彼女はこの質問を投げかけた。彼の答えは「NO」。彼は愛車を手放すつもりはなく、ファミリーカーは「カッコ悪い」と言ったのだ。

彼女は、すぐに交際終了を申し出た。好きな車を大切にすること自体が、問題なのではない。彼女には、結婚後の暮らしに合わせて考え直そうとする彼の姿勢が見えなかったのだろう。

彼が独身時代の暮らしを変えるつもりもなく、相手の心配にも向き合わないのなら、二人で家庭を築いていけるだろうか。

資産より大切なのは歩み寄れる人柄

婚活では、資産が学歴や年収に加えて強みになることは確かだ。だが、注意したいのは、結婚相手の選択肢を狭める可能性がある「モノ」である。本人が自慢にしているマンションや外車を、結婚相手も喜んでくれるとは限らない。

「35歳までに」と買った家も、長年憧れた高級車も、本人には大切な買い物だろう。だが、二人の暮らしに合わなければ、婚活の足かせになりうる。

交際相手がマンションや車を持っているなら、早い段階で「貸せますか? 売れますか?」と聞いてみてほしい。その場で貸したり売ったりする約束を求める必要はない。相手が別の解決策をあなたと一緒に考えてくれるかを見てほしい。

・相手の持ち家から、二人とも無理なく通勤できるか。
・家族が増えたときの住まいや車について、二人で考えられるか。
・相手の住宅ローンや車の維持費が、二人の生活費を圧迫しないか。
・住み替えや車の買い替えも含めて、相手と話し合えるか。

結婚後の暮らしは、二人で協力して築いていくものだ。どちらかが一人で決めた条件に、もう一人が合わせるのが当然ではない。

そのために必要なのは、歩み寄り、話し合いができる人柄である。マンションや車を持つ人には、相手の暮らしに目を向けてほしい。自分の資産を優先するばかりでは、その資産が幸せな結婚の足かせになってしまうのだ。

大屋 優子(おおや・ゆうこ)
結婚カウンセラー
1964年生まれ、株式会社ロックビレッジ取締役。ウエディングに特化した広告代理店を30年以上経営のかたわら、婚活サロンを主宰。世話好き結婚カウンセラーとして奔走。著書に『余計なお世話いたします 半年以内に結婚できる20のルール』(集英社)がある。

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