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「うちの子は記述できる?」難関校の【中学受験】で差がつく時事問題の「因果関係対策」

  • 2026.10.29

2027年中学入試の合否を左右する社会の時事問題。用語をただ丸暗記するだけでは、近年の思考力を問う入試には太刀打ちできません。

ドラマ『二月の勝者』の監修も務めた中学受験専門塾「ジーニアス」松本亘正先生に、出題対象となる2026年の注目ニュースと、難関校の記述問題にも対応できる学習のコツを伺いました。

(全2回の後編)

佐野倫子(さの・みちこ)

東京生まれ、早稲田大学卒。現在、東京大学大学院情報学環教育部在学中。航空業界・出版社勤務を経て作家・教育ジャーナリストに。おもな著書に『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)。2人の男の子の母。現在中受伴走2周目中。

松本亘正(まつもと・ひろまさ)

中学受験専門塾「ジーニアス」代表。慶應義塾大学総合政策学部卒業。ラ・サール中学高校を卒業後、慶應義塾大学在学中の2004年に中学受験専門塾「ジーニアス」を開校。東京、神奈川に10校舎を展開し、首都圏の中学を中心に高い合格実績を誇っている。ドラマ『二月の勝者』監修。

① 最重要テーマは衆議院総選挙 公民の仕組みと結びつけて理解する

――いきなりですが、2027年入試で出題される最重要トピックを挙げてください。

松本亘正先生(以下、松本先生):最重要トピックとして挙げられるのは、2026年2月の衆議院議員総選挙です。前年2025年の女性初の総理大臣、高市政権誕生に続き、2026年は衆議院選挙で与党が大勝しましたね。このトピックを切り口に、選挙のことはしっかりと理解しておきたいところです。

――選挙の結果だけでなく、そこから派生した問題に答えられるように、国会や内閣の仕組みと結びつけておくのですね。

松本先生:衆議院選挙の争点や、結果を受けて政権・国会がどう動くのかを公民の学習につなげます。細かな数字を覚えるよりも、ニュースの意味を説明できるといいですね。

② 物価高と金利引き上げ 日銀の金融政策と経済の因果関係を押さえる

松本先生:もう一つの注目は金利です。物価が上がり続けるとき、日本銀行は物価を安定させるために、政策金利を引き上げることがあります。

金利が上がると、銀行からお金を借りるときの金利も上がりやすくなります。住宅ローンや企業の借り入れの負担が増えるため、家を買うのを控えたり、企業が新しい設備への投資を見送ったりすることがあります。

すると、買い物や投資に使われるお金が減り、物やサービスを買いたいという「需要」が弱まります。需要が落ち着けば、企業も値上げをしにくくなり、物価上昇を抑える方向に働くのです。

松本先生:金利を上げて景気や物価を抑えることを「金融引き締め」、反対に金利を下げてお金を借りやすくし、景気を支えることを「金融緩和」といいます。

入試では、「金利が上がると、借り入れや消費・投資はどうなるか」「物価を抑えるには、金融緩和と金融引き締めのどちらか」といった、原因と結果のつながりを問う問題が考えられます。

用語だけでなく、金利上昇→借り入れを控える→消費や投資が弱まる→物価上昇を抑えやすくなるという流れで理解しておくとよいでしょう。

――用語だけではなく、こうした因果関係を記号選択で問う学校もありそうですね。

松本先生:まずは「物価上昇を抑えるために金利を上げる」という基本を押さえましょう。金利を上げすぎれば景気の後退に影響すること、日本銀行は政府から独立した組織として判断することも、あわせて確認できればいいですね。

③ 熊本地震から10年 過去の震災の特徴と防災・減災の視点

――2026年は地震や水害など、辛い自然災害も多く記憶に残っていますね。子どもたちはどのように学んでいくとよいのでしょうか。

松本先生:熊本地震から10年となる今年2026年、また規模の大きい地震が起きました。自然災害から学び、将来の対策につなげていくのは大切なことなので、入試にも出る可能性があります。発生場所や、被害の特徴を知っておくことが求められます。

例えば、東日本大震災は津波、阪神・淡路大震災は建物の倒壊、古くは大正時代の関東大震災は火災というように、被害の特徴がありますから、それを整理しておきましょう。そのうえで、避難や延焼対策など、防災・減災の考え方までつなげます。

写真を見て、津波避難タワーの役割を説明する問題が過去に出題されたこともあります。地震の名称と発生場所を覚えるだけでなく、「何が起きたか」「被害を減らすために何をしたか」まで考えることがポイントです。

④ 2027年入試の注目キーワード 干支・五輪・世界情勢の背景に目を向ける

【ひのえうまと干支】

松本先生:2026年は60年ぶりの「ひのえうま」の年でした。干支や十二支は教養としても大切ですから、近年の入試で取り上げられることも。人口減少や出生数、迷信と現代の価値観について話が及ぶ可能性があります。

【オリンピック・パラリンピック】

松本先生:2026年2月に行われた「冬季オリンピック・パラリンピック」の開催地は、イタリアのミラノ・コルティナでした。国名と都市名を確認し、イタリアの地理にも広げておきます。イタリアの位置が問われるかもしれません。地図で見ておきましょう。

【ホルムズ海峡・石油】

松本先生:私たちの生活にも影響がでましたし、重大な世界情勢の問題なので構造を理解しておくべきです。難関校では、難民や紛争で苦しむ人々など、弱い立場の人々の視点が問われることがあります。イランやホルムズ海峡の位置だけではなく、イスラエルとパレスチナ、物価上昇に苦しむ低所得者など、その問題や事象の背景にいる人にも目を向けましょう。

【国際刑事裁判所(ICC)】

松本先生:「ICC」は戦争犯罪などの重大な犯罪を扱う国際的な裁判所。略称や名称だけでなく、どんな役割を担うのかが問われる可能性があります。赤根智子所長が米国の制裁対象となったニュースは、裁判所の独立性や国際社会のルールを考えるきっかけにもなります。

難関校の記述問題対策 過去問演習とプロによる添削指導を活用

――時事問題の用語だけを暗記するのでは太刀打ちできない問題を出す学校もありますか?

松本先生:ありますね。例えば、筑波大学附属駒場中学校では、しばしば世界情勢や政治をテーマとして扱い、社会問題について考えている子を求める姿勢がみられます。一方、海城中学校、三田国際科学学園、広尾学園などでは、資料を読み、条件に沿って長めに記述する問題が頻出しますね。

ただ、記述問題は最初から書ける子ばかりではありません。何に注目してまとめるのかを教わり、添削を受けながら練習を重ねる必要があります。このあたりは塾で演習して力がついていくはずです。過去問でこのような問題が出たら、先生に添削してもらうようにしましょう。

───◆───◆───直前期は時事問題に時間をかけることは避けて、これまで積み上げてきた勉強を優先する姿勢が吉。秋に出た時事問題の本を読んで、頭を整理する。学校が扱う時期と形式を見極め、ニュースを学習内容につなげる。この2点が限られた時間を生かす、6年生の時事問題対策のコツです。

受験生の皆さん、応援しています! がんばってください。

撮影/日下部真紀

取材・文/佐野倫子

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