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【女子中学生の青春物語】『みんなと同じ』じゃないとダメですか?

  • 2026.10.29
cocreco写真:アフロ

──みなさんは思い出したくないほどのつらい経験をしたことはありますか?──

思い出したくないほどではなくとも、心の中に引っ掛かり続ける経験は誰にでもあるでしょう。そして、つらい経験をしたとき、人は無意識に、あるいは意識的にその状況を避けようとします。

この記事では、どこか息苦しさを感じたことがある方へ、少しのエールを与えてくれる一冊をご紹介。

「人と違うこと」を認める難しさ

中学校という閉じられた空間で、「人と違う部分」を持つことは『悪』。

過去のトラウマからそんなふうに思い、自分の好きなものがホラー映画であるということを隠してしまう主人公のひより。

由木と出会って、悩みながらも自分がどうありたいかに向き合って成長していく姿に、思わず自分を重ねながら読んでしまいます。

『放課後死体クラブ(仮題)』

作:ひなたきな

第66回(2025年度)講談社児童文学新人賞受賞作

〈あらすじ〉過去のトラウマから本音を隠して過ごすひよりは、周囲を気にせず堂々と振る舞うクラスメイトの由木(ゆき)に惹かれていく。二人は、共通の趣味であるホラー映画を通じて意気投合。ひよりの過去を知る由木から「死体」の演技指導を頼まれたことで、二人は「放課後死体クラブ」を結成。異なる傷を抱える二人が、支え合いながら唯一無二の絆を築いていく物語。

cocrecoひなたきな作『放課後死体クラブ(仮題)』

「人と違うこと」は『悪』?

『放課後死体クラブ(仮題)』の主人公であるひよりも、小学校時代に所属していた劇団内のある出来事から「人と違うこと・人から嫌われること」に大きなトラウマを抱きます。

「みんなと違う部分を見せることが『悪』だとされていることを、わたしは痛いほど知っている。」

(『放課後死体クラブ(仮題)』より引用)

学校などのコミュニティにおいて、趣味、好きなコンテンツ、思い出……。なんでも「同じであること」を求められているような息苦しさを覚えたことが、この記事の筆者もあります。

ひよりは、「人と違うこと」を恐れるあまりに人の顔色をうかがい、自分の意見を言えなくなってしまいます。

しかし、ホラー好きであることを隠さず、ひとりで立っているように見える由木に出会い、葛藤しながら少しずつ自分の「好き」に向き合うことができるようになっていきます。

「強さ」はトラウマの裏返し

一方で、強く見える由木にも、ある「トラウマ」がありました。

「あたし、マイナスの感情に正面から向き合うのが苦手みたい。無意識に避けちゃうというか、ごまかしちゃうというか……」

(『放課後死体クラブ(仮題)』より引用)

強く見えるのは、過去に受けた傷の裏返し。

無意識に、自分の心の柔らかい部分から目をそらしていました。

「傷つくことからは逃げないんだから、弱いんだか強いんだか」(『放課後死体クラブ(仮題)』より引用)

そんな由木も、傷つくことから逃げないひよりと関わっていくうちに、自分の傷を自覚してその傷に向き合っていきます。

自分の傷と向き合うことには、勇気が必要だと思います。

主人公たちも周りに流されて、後悔して、苦しんで……。

『放課後死体クラブ(仮題)』は、傷を抱えた人に淡い光を与えてくれる作品です。

ぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょうか?

『放課後死体クラブ(仮題)』

cocrecoひなたきな作『放課後死体クラブ(仮題)』

第66回(2025年度)講談社児童文学新人賞を受賞した、中学校を舞台に、それぞれが抱えた傷と向き合いながら、唯一無二の友情を築いていく物語『放課後死体クラブ(仮題)』は、全国の書店やネット書店にて発売中です。

自分の本音を押し込めて過ごすひよりと、周りを気にせず堂々と振る舞う由木は、「ホラー映画」という共通の趣味から、意気投合。そして「放課後死体クラブ」というホラー映画の死体役を目指すクラブを結成します。それまで関わりのなかった二人がクラブ活動を通じて、互いにかけがえのない友情を築いていきます。正反対だった二人が向かうその先にあるものは──。

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